似た意味を持つ「削減」(読み方:さくげん)と「低減」(読み方:ていげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「削減」と「低減」という言葉は、どちらも「減らすこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
削減と低減の違い
削減と低減の意味の違い
削減と低減の違いを分かりやすく言うと、削減とは意図的に削り取って減らすことを表し、低減とは意図的に数量や価格を減らすことや自然に減ることを表すという違いです。
削減と低減の使い方の違い
一つ目の削減を使った分かりやすい例としては、「人件費を削減する」「製造原価は削減しにくいコストです」「使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいます」「削減できる経費はあるはずです」などがあります。
二つ目の低減を使った分かりやすい例としては、「温室効果ガスの排出削減に寄与する」「原発依存は可能な限り低減すべきです」「許容電流低減率をエクセルで計算する」「原価低減の具体策を検討しています」などがあります。
削減と低減の使い分け方
削減と低減という言葉は、どちらも何かを減らすことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
削減とは、現在あるものを削って減らすことを意味し、予算や軍備などを減らすことを表します。す。ある範囲内にあるものの中から、意識的に一部分を切り取って取り除くことにより数量を減らす場合に使用される言葉です。
低減とは、「温室効果ガスの排出削減」「原価低減の具体策」のような使い方で、意図的に何かを減らしたり、値段を下げることを意味します。また、「許容電流低減率を計算する」のような使い方で、自然現象としてそれらが減っていく場合にも使うことができます。
つまり、削減とは意図的に一部を削り取って減らすことであり、低減とは数量や価格を減らすことや自然に減ることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
削減と低減の英語表記の違い
削減も低減も英語にすると「reduction」「decrease」「cut」となり、例えば上記の「人件費を削減する」を英語にすると「reduce labor cost」となります。
削減の意味
削減とは
削減とは、現にあるものを、削って減らすことを意味しています。
削減の読み方
削減の読み方は「さくげん」です。誤って「ざくげん」「さくへる」などと読まないようにしましょう。
削減の使い方
削減を使った分かりやすい例としては、「学校で食品ロス削減に取り組む」「会社の人員削減でリストラされました」「このイラストのテーマはコスト削減です」「削減率の出し方が分かりません」などがあります。
その他にも、「事業所別にCO2削減量を把握する」「英語の学習内容を3割削減する」「物流コスト削減を官民一体で推進する」「CO2排出削減率の計算方法を習いました」「昨年度の環境負荷の削減貢献量を算出しました」などがあります。
削減の「削」は訓読みで「けずる」と読み、一部分を取り除いて全体の量を減らすことを表します。「減」は訓読みで「へる」「へらす」と読み、量や程度などが少なくなることを表す漢字です。削減とは、削り減らすことを意味し、何かを減らすことや少なくすることを表します。
「温室効果ガス排出削減目標」の意味
削減を用いた日本語には「温室効果ガス排出削減目標」があります。温室効果ガス排出削減目標とは、二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの排出量を減らす目標であり、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の参加国は、自主的に目標を掲げて取り組むことになっています。
削減の対義語
削減の対義語・反対語としては、あとからつけ足すことを意味する「追加」、増して大きくすることや次第に加わり大きくなる状態を意味する「増大」などがあります。
削減の類語
削減の類語・類義語としては、数量や経費などを切り詰めることを意味する「節減」、数や量などが急にひどく減ることを意味する「激減」、半分に減るこや半分に減らすことを意味する「半減」などがあります。
低減の意味
低減とは
低減とは、減ること、減らすことを意味しています。
その他にも、「値段が安くなること、安くすること」の意味も持っています。
低減の読み方
低減の読み方は「ていげん」です。同じ読み方をする熟語に「逓減」や「提言」などがありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
低減の使い方
「電流低減率の求め方を教えてください」「英語に対する抵抗感を低減する」「ドライバーの疲労を軽減して事故のリスクを低減する」などの文中で使われている低減は、「減ることや減らすこと」の意味で使われています。
一方、「これ以上の原価低減は無理です」「省エネ家電で電気料金の低減を図る」「大幅な価格低減を要求する」などの文中で使われている低減は、「安くなることや安くすること」の意味で使われています。
低減とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。低減の「低」は程度や価値などがひくいこと、「減」は量が少なくなることや減らすことを表す漢字です。
「エネルギー環境負荷低減推進税制」の意味
低減を用いた日本語には「エネルギー環境負荷低減推進税制」があります。エネルギー環境負荷低減推進税制とは、「グリーン投資減税」とも呼ばれ、バイオマス利用装置や電気自動車などエネルギーの有効な利用促進に資する設備を導入した企業に対して、特別償却または税額控除を認める制度です。
低減の対義語
低減の対義語・反対語としては、数量が増えることや増やすことを意味する「増加」などがあります。
低減の類語
低減の類語・類義語としては、減らして少なくすることを意味する「減少」、負担や苦痛などを減らして軽くすることを意味する「軽減」、数量がしだいに減ることを意味する「逓減」などがあります。
削減の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一部分を削って少なくすることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある減少と削減の違いは、減少は自然に減って少なくなる現象を表し、削減は意識的に減らすことを表す点にあります。
低減の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数量が減ることや減らすこと、価格が下がることや下げることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある逓減と低減の違いは、逓減は徐々に減ることを表し、低減は単純に減ることをを表す点にあります。
削減と低減という言葉は、どちらも「減らすこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、意図的に削り取って減らすことを表現したい時は「削減」を、意図的に数量や価格を減らすことや自然に減ることを表現したい時は「低減」を使うようにしましょう。