【始動】と【開始】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「始動」(読み方:しどう)と「開始」(読み方:かいし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「始動」と「開始」という言葉は、どちらも「始めること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




始動と開始の違い

始動と開始の意味の違い

始動と開始の違いを分かりやすく言うと、始動とは動き始めること、開始とは物事が始まることという違いです。

始動と開始の使い方の違い

一つ目の始動を使った分かりやすい例としては、「エンジン始動時に違和感を覚える」「始動電流を考慮してブレーカーを選定しましょう」「経産省は起業家を支援するプロジェクトを始動させた」などがあります。

二つ目の開始を使った分かりやすい例としては、「年金の支給開始年齢が引き上げられました」「会議の開始時間を早めることはできますか」「来年度から開始される制度について調べています」などがあります。

始動と開始の使い分け方

始動と開始という言葉は、どちらも始めることや始まることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

始動とは、「プロジェクトを始動させる」のような使い方で、動きはじまることを意味します。何かをしようとして動き出すことを表す言葉です。また、「エンジン始動」のような使い方で、機械が動きはじめることも意味します。

開始とは、「支給開始」「開始時間」のような使い方で、物事が始まることや物事を始めることを意味します。物事が行っていない状態から行う状態になることを意味し、物事の状態の変化を表現する言葉です。

つまり、始動とは動きとして始まることであり、開始とは状態として始まることを表します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

始動と開始の英語表記の違い

始動も開始も英語にすると「start」「initiate」となり、例えば上記の「エンジン始動時」を英語にすると「starting an engine」となります。

始動の意味

始動とは

始動とは、動きはじめること、また、動かしはじめることを意味しています。

その他にも、「機械が動きはじめること、機械の運転をはじめること」の意味も持っています。

始動の使い方

「画期的な英語研修プログラムがいよいよ始動します」「始動Next Innovator 2024にエントリーしました」「始動アルムナイの交流会に参加する」などの文中で使われている始動は、「動きはじめること」の意味で使われています。

一方、「電動機の始動方式を確認してください」「始動電流の計算方法を教えてください」「始動電圧が誘導モータの始動トルクを決める」「リアクトル始動器のカタログをダウンロードしました」などの文中で使われている始動は、「機械が動きはじめること」の意味で使われています。

始動とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。始動の「始」は物事を新たに行うことや新たに動作を起こすこと、「動」は位置や状態が移りかわることを表す漢字です。

「始動電流」の意味

上記例文にある「始動電流」とは、電気機器類の電源を入れた直後に、回路に突発的に流れる大きい電流を意味します。通常の電流との差が大きすぎる場合、電子部品の破損や故障の原因となります。「突入電流」「インラッシュカレント」とも呼ばれています。

始動の対義語

始動の対義語・反対語としては、動いていたものが途中で止まることを意味する「停止」、動きを止めることを意味する「ストップ」などがあります。

始動の類語

始動の類語・類義語としては、動きや働きを起こすことを意味する「起動」、大きな機械を作動させることを意味する「運転」、動き始めることや活動を始めることを意味する「発動」、物事を始めることや車などが動き始めることを意味する「スタート」などがあります。

開始の意味

開始とは

開始とは、始めること、また、始まることを意味しています。

開始の使い方

開始を使った分かりやすい例としては、「英語のテストの開始時間を確認する」「国際的なバスケットボールの大会が開始しました」「タスクの開始日または終了日を設定する」「開始コドンと終止コドンは重要な役割を担う塩基配列です」などがあります。

その他にも、「インターネットでイラスト素材の販売を開始する」「ビジネスマナー講座の申込み受付を開始します」「開始貸借対照表をエクセルで作成する」「来年より英語による運転免許の学科試験が開始されます」などがあります。

開始の「開」は訓読みで「ひらく」「あける」と読み、物事が行っていない状態から行う状態になることを表します。事の起こりを表す「始」と結びつき、開始とは、物事が始まること、また、物事を始めることを意味します。

「開始コドン」の意味

開始を用いた日本語には「開始コドン」があります。開始コドンとは、遺伝情報を担う塩基配列の一種です。開始コドンはmRNA上でタンパク質の合成開始を指定するコドンのことであり、終止コドンまで来るとその前でアミノ酸の合成は終了します。

開始の対義語

開始の対義語・反対語としては、物事がすっかり終わることを意味する「終了」、終わってまとまることを意味する「完結」などがあります。

開始の類語

開始の類語・類義語としては、時期がきてある物事が始まることを意味する「開幕」、物事の始まりや幕開けを意味する「幕開き」、時期がきて、ある物事が始まることを意味する「手始め」、封を切ることや物事のしはじめを意味する「封切り」などがあります。

始動の例文

1.文化と外交を学ぶ英語プログラムが、ニューヨークで本格的に始動しました。
2.10年ぶりの再始動を発表したシンガーソングライターが、全国ツアーの開催を発表した。
3.従来のブレーカーの選定では、モーターの始動電流により、誤作動を起こす可能性があります。
4.ジムのトレーナーに、ランニングマシンの使い方と始動時の注意点を教えてもらいました。
5.バッテリーがあがったときにエンジンを再始動する方法を、電話で説明してもらいました。

この言葉がよく使われる場面としては、最初に動かすこと、最初に動くこと、機械などの運転を開始することを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2の始動は、「最初に動かすこと、最初に動くこと」の意味で用いられています。例文3から例文5の始動は、「機械などの運転を開始すること」を表しています。

開始の例文

1.年明けに実施するイベントについて、本日から参加申込の受付を開始します。
2.最適な英語学習の開始時期については諸説あるので、どれを信じてよいのか分かりません。
3.消費税の更なる引き上げに反対する住民運動が、全国各地で開始されています。
4.初心者のための中国語講座は、来週月曜日から申込みを開始します。
5.ネットショップは簡単に始めることができましたが、販売開始後はさまざまな問題に直面しました。

この言葉がよく使われる場面としては、物事を始めること、物事が始まることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、開始という言葉は、日常会話からビジネスシーンまで幅広い場面で使用されています。

始動と開始という言葉は、どちらも「始めること、始まること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、動きとして始まることを表現したい時は「始動」を、状態として始まることを表現したい時は「開始」を使うようにしましょう。

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