【過労】と【疲労】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「過労」(読み方:かろう)と「疲労」(読み方:ひろう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「過労」と「疲労」という言葉は、どちらも「疲れ」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




過労と疲労の違い

過労と疲労の意味の違い

過労と疲労の違いを分かりやすく言うと、過労とは睡眠などで回復しない蓄積した疲れ、疲労とは睡眠などで回復する日常の疲れという違いです。

過労と疲労の使い方の違い

一つ目の過労を使った分かりやすい例としては、「過労から病気になることがあります」「働き盛りの父が過労で倒れました」「残業の過労死ラインは月80時間です」「教員の5人に1人が過労死ラインを越えています」などがあります。

二つ目の疲労を使った分かりやすい例としては、「十分な睡眠が取れず疲労感が抜けない」「母親の介護で疲労困憊です」「働きすぎは疲労の原因になります」「毎日の疲労度を測定するアプリを使っています」などがあります。

過労と疲労という言葉は、どちらも肉体的あるいは精神的な活動により疲れていることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

過労と疲労の使い分け方

過労とは、体や精神を使い過ぎて、疲労が蓄積することを意味します。食事や睡眠などで回復できないような疲れであり、過労により健康を損なってしまったり普段の生活が送れなくなったりします。

疲労とは、仕事やスポーツなどの活動によって、その身体能力や精神の働きが低下した状態を意味します。「疲労回復」とは疲れた状態をもとに戻すことであり、良質な睡眠や休息を取ったり、栄養価の高い食事を摂ることで疲れを回復させることができます。

つまり、過労とは食事や睡眠などで回復できない蓄積された疲れであり、疲労とは食事や睡眠で回復できるような日常の疲れのことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

過労と疲労の英語表記の違い

過労を英語にすると「overwork」「strain」となり、例えば上記の「過労から病気になる」を英語にすると「become ill from overwork」となります。一方、疲労を英語にすると「tiredness」「fatigue」「exhaustion」となり、例えば上記の「疲労感」を英語にすると「疲労感」となります。

過労の意味

過労とは

過労とは、身心を損ねるほど働きすぎて疲れがたまることを意味しています。

過労の読み方

過労の読み方は「かろう」です。誤って「すろう」などと読まないようにしましょう。

過労の使い方

過労を使った分かりやすい例としては、「有名イラストレーターが過労で倒れました」「過労死の原因をご存知でしょうか」「過労死の前兆に不眠があります」「過労死ラインは労災認定の基準になっています」などがあります。

その他にも、「過労によるうつ病の労災申請をしました」「管理職の過労自殺が増えています」「過労が原因でめまいを起こして倒れる」「病気と過労との間に因果関係が認められる」「健康診断で過労であるか分かりますか」などがあります。

過労の「過」は訓読みで「すぎる」と読み、ある範囲や基準をこえることを表し、「労」は精を尽くして働くことや精が尽きて疲れることを表す漢字です。過労とは、身体や精神を使い過ぎること、その結果として疲労が蓄積することを意味します。

表現方法は「過労死ライン」

過労を用いた日本語には「過労死ライン」があります。過労死ラインとは、病気や死亡あるいは自殺に至るリスクが長時間労働に起因するものだと認定する基準です。厚生労働省は、月80時間の時間外労働で健康障害のリスクが高まるとしています。

過労の対義語

過労の対義語・反対語としては、心身の活動がきわめて強くすぐれているさまを意味する「精力絶倫」などがあります。

過労の類語

過労の類語・類義語としては、心身が疲れて弱ることを意味する「疲弊」、民衆などが苦しみ疲れることを意味する「困弊」、心身が疲れてだるいことを意味する「倦怠」、あれこれと気を使って、精神的に疲れることを意味する「気苦労」などがあります。

疲労の意味

疲労とは

疲労とは、筋肉や神経などが、使いすぎのためにその機能を低下し、本来の働きをなしえなくなる状態を意味しています。

その他にも、「金属などの材料に、弾性限界より小さい外力であっても繰り返し作用すると、材料の強度が低下する現象、弾性疲労」「貧しくなること、貧乏」の意味も持っています。

疲労の読み方

疲労の読み方は「ひろう」です。同じ読み方をする熟語に「披露」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

疲労の使い方

「夫は疲労困憊の様子で帰宅しました」「疲労骨折の治療期間はどれぐらいですか」「疲労回復によい食べ物を調べています」「パジャマで疲労回復ができるって本当でしょうか」などの文中で使われている疲労は、「筋肉や神経などの使いすぎで本来の働きができない状態」の意味で使われています。

一方、「チタン合金の疲労のメカニズムを論文にする」「疲労破壊の主な原因は微小な欠陥です」などの文中で使われている疲労は「金属などの弾性疲労」の意味で、「職を失って疲労する」の文中で使われている疲労は「貧しくなること」の意味で使われています。

疲労とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。疲労の「疲」は体力や気力がなくなってぐったりとすること、「労」は心身を使ってつとめることや骨折りを表します。

四字熟語「疲労困憊」の意味

疲労を用いた四字熟語には「疲労困憊」(読み方:ひろうこんぱい)があります。疲労困憊とは、疲れ果ててくたくたになること、ひどく疲れて苦しむことを意味します。「困憊」は疲れて弱りきることを表し、同じような言葉を重ねることで意味を強調した四字熟語です。

疲労の対義語

疲労の対義語・反対語としては、元気よく動いたり働いたりする力を意味する「活力」、体の調子がよく健康であることを意味する「元気」などがあります。

疲労の類語

疲労の類語・類義語としては、あれこれ心配して心を使うことを意味する「心労」、疲れや病気を意味する「所労」、心づかいや緊張などのため精神的に疲れるこを意味する「気疲れ」、くたびれることや疲れを意味する「くたびれ」などがあります。

過労の例文

1.倦怠感が続いて何もしたくなくなるのは、過労の初期症状の一つです。
2.過労で倒れる前兆として、頭痛や手のしびれなどの症状が現れるようです。
3.過労とストレスによる睡眠障害と診断され、都内の病院に入院することになりました。
4.家族が働きすぎて過労自殺などしないようにするには、どうすればよいでしょうか。
5.過労によるうつ状態で働けないので、医師に休職診断書を発行してもらいました。

この言葉がよく使われる場面としては、疲労が回復しないうちに次の疲労が加わり、疲労が蓄積した状態を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「過労自殺」とは、長時間労働や仕事での強いストレスにより、うつ病などの精神疾患にかかり自殺することです。

疲労の例文

1.疲れがなかなか取れないので、疲労回復に効果があるというサプリメントを買いました。
2.特に自覚症状はありませんが、疲労蓄積度のセルフチェックを受けることにしました。
3.眼精疲労とは、スマホやゲームのやり過ぎで子どもでも簡単になるものです。
4.ヨガのインストラクターに疲労物質の排出方法を聞いたので、お風呂上りに実践しています。
5.卒業研究のテーマは、金属疲労のメカニズムと金属破損の防止にしました。

この言葉がよく使われる場面としては、運動や作業を続けた結果としてそれらの能力が低下した状態、繰返し応力を与えて材料の構造や性質が変化すること、貧乏なことを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「眼精疲労」とは、物を見ていて目が疲れて痛くなり、物が二重に見えたり、頭痛や嘔吐などを起こしたりする状態です。例文5の「金属疲労」とは、金属材料に外力が繰り返し加わり、無数の微小な亀裂が生じることを意味します。

過労と疲労という言葉は、どちらも「心身の活動による疲れ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、睡眠などで回復できない蓄積した疲れを表現したい時は「過労」を、睡眠などで回復する疲れを表現したい時は「疲労」を使うようにしましょう。

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