似た意味を持つ「展開」(読み方:てんかい)と「開展」(読み方:かいてん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「展開」と「開展」という言葉は、どちらも「繰り広げること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
展開と開展の違い
展開と開展の意味の違い
展開と開展の違いを分かりやすく言うと、開展よりも展開の方が広い意味を持ち、一般的に使用されているという違いです。
展開と開展の使い方の違い
一つ目の展開を使った分かりやすい例としては、「議論の展開を正確に把握できていますか」「冬には真っ白の雪景色が目の前に展開します」「新しい英語教育の展開を考える」「乗法の展開公式を用いる」「展開図で立体の組み立て方法を把握する」などがあります。
二つ目の開展を使った分かりやすい例としては、「美しい眺めが眼前に開展した」「前方に大パノラマが展開している」「テクノロジーは大きく開展し社会は激変しました」「技術は人類の開展に貢献してきました」などがあります。
展開と開展の使い分け方
展開と開展という言葉は、どちらも繰り広げることや、一面に広げることを表します。この意味で使用されている「雪景色が目の前に展開します」「美しい眺めが眼前に開展した」の展開と開展は、互いに置き換えて使うことができます。
さらに、展開という言葉は、「数学で一つの多項式の形に表すこと」「立体の面を平面上に移すこと」の意味も持っており、この意味で使用されている「展開公式」「展開図」の展開は、開展という言葉に置き換えることはできません。
つまり、展開という言葉は、開展よりも広い意味を持ち、汎用性のある言葉です。また、「繰り広げる」の意味でも、開展より展開という言葉が一般的に使用されており、開展という言葉が使用されることはほとんどありません。
展開と開展の英語表記の違い
展開も開展も英語にすると「development」「evolution」「expansion」となり、例えば上記の「議論の展開」を英語にすると「the evolution of an argument」となります。
展開の意味
展開とは
展開とは、広くひろげること、広くひろがることを意味しています。
その他にも、「物事を繰りひろげること」「次の段階に進めること、次の段階に進むこと」「数学で、単項式と多項式または二つ以上の多項式の積の形を、一つの多項式の形に表すこと」「立体の面を、長さや角度などを変えずに平面上に移すこと」の意味も持っています。
展開の読み方
展開の読み方は「てんかい」です。同じ読み方をする熟語に「転回」や「天界」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「展開する」「展開性が高い」
「展開する」「展開性が高い」などが、展開を使った一般的な言い回しです。
展開の使い方
「田園風景が展開する」の文中で使われている展開は「広くひろげること」の意味で、「マニュアルを社内展開する」の文中で使われている展開は「物事をくりひろげること」の意味で、「今後の交渉の展開を読む」の文中で使われている展開は「次の段階に進めること」の意味で使われています。
一方、「計算機を使って式を展開する」「数学の授業で展開の公式を習う」の文中で使われている展開は「一つの多項式の形に表すこと」の意味で、「展開図の作図方法を教えてください」の文中で使われている展開は「立体の面を平面上に移すこと」の意味で使われています。
展開とは、上記例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。展開の「展」は平らに広げ並べることや伸び広がること、「開」は閉じているものを開け放つことや物事が始まることを表します。
「展開図」の意味
展開を用いた日本語には「展開図」があります。展開図とは、立体の表面を切り開いて平面上に広げたときにできる図形を意味します。多面体では多角形のつながりとして表されます。また、展開の不可能な立体は錐面などに置き換えて近似的な展開を行います。
展開の対義語
展開の対義語・反対語としては、縮まって小さくなることを意味する「縮小」などがあります。
展開の類語
展開の類語・類義語としては、物や勢力などが伸びて広がることを意味する「伸張」、勢力や規模などが伸び広がることを意味する「伸展」、広げて大きくすることを意味する「拡大」、物事がより進んだ段階に移っていくことを意味する「発展」などがあります。
開展の意味
開展とは
開展とは、繰り広がること、一面に広げることを意味しています。
その他にも、「程度が進むこと」の意味も持っています。
開展の読み方
開展の読み方は「かいてん」です。同じ読み方をする熟語に「回転」や「開店」がありますが、意味が異なるため書き間違いに注意してください。
開展の使い方
「目の前には美しい景色が開展している」「運河沿いに開展する工業地帯を眺める」「窓越しに次々と開展する夜景はまるで映画のようです」などの文中で使われている開展は、「繰り広がること」の意味で使われています。
一方、「激しい論争を開展する」「事態がどのように開展するのか注視しています」「プロジェクトは着実に開展しています」「開展はあったものの物別れに終わった」などの文中で使われている開展は、「程度が進むこと」の意味で使われています。
開展とは、上記の例文にあるように二つの意味を持つため、文脈により意味を判断する必要があります。開展は、前述の「展開」と部分的に同じ意味を持ちますが、一般に使用されることは少なく、あまり馴染みのない言葉となっています。
表現方法は「先に開展を求め、後に緊そうに到る」
開展を用いた言葉には、「先に開展を求め、後に緊そうに到る」があります。これは中国武術の基本を表現した言葉であり、「最初は大きく動いて、段々と小さく引き締めた動きににしていきなさい」という意味があります。
開展の対義語
開展の対義語・反対語としては、ひきしまって小さくなることを意味する「収縮」などがあります。
開展の類語
開展の類語・類義語としては、伸びひろがることを意味する「進展」、物事が次第によりよいほうへ進んでいくことを意味する「進歩」、また、活動や作業などを進めることを意味する「進行」、規模などを広げて大きくすることを意味する「拡張」などがあります。
展開の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 広くひろげること、繰り広げられること、次の段階に進むこと、数学で単項式の和として表すこと、立体を一平面上にひろげることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「展開公式」とは、「乗法公式」とも呼ばれ、多項式の積を和の形に直す公式を意味します。多項式を展開するときに使うものです。
開展の例文
この言葉がよく使われる場面としては、繰り広げること、広げてみせること、発達進歩することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文に「開展」は、「展開」という言葉に置き換えても問題ありません。
展開と開展という言葉は、どちらも「繰り広げること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われている「展開」を使用すれば間違いないでしょう。