同じ「ながねん」という読み方の「長年」と「永年」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「長年」と「永年」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
長年と永年の違い
長年と永年の意味の違い
長年と永年の違いを分かりやすく言うと、長年よりも永年の方が、継続性を強調した表現であるという違いです。
長年と永年の使い方の違い
一つ目の長年を使った分かりやすい例としては、「長年にわたってボランティア活動を続けてきました」「長年使っていたマットレスを買い換えました」「娘が長年付き合った彼氏と別れたようです」などがあります。
二つ目の永年を使った分かりやすい例としては、「永年にわたり消防活動にご尽力いただき感謝申し上げます」「永年勤続表彰者を代表して挨拶させていただきます」「永年勤続休暇を利用して海外に行きました」「年会費永年無料のクレジットカードです」などがあります。
長年と永年の使い分け方
長年と永年という言葉は、どちらも長い年月の間や久しいさまを表す同音同義語です。二つの言葉は同じ意味を持ち、基本的には同じように使うことができますが、あえて違いをあげるならばニュアンスが異なることです。
二つの言葉の相違点である「長」と「永」に着目すると、「長」は単純に時間的な長さを表す漢字です。一方の「永」は、ある事柄や時間がいつまでも続くさまや永続性を表します。そのため、長年よりも永年の方が、継続性を強調する言い方になります。
また、永年の読み方には「ながねん」と「えいねん」があり、「えいねん」と読まれることが多くなっています。上記例文にある「永年勤続」「年会費永年無料」の永年は「ながねん」ではなく「えいねん」と読みます。この点も、二つの言葉の違いになります。
長年と永年の英語表記の違い
長年も永年も英語にすると「many years」「long time」となり、例えば上記の「長年にわたって」を英語にすると「over many years」となります。
長年の意味
長年とは
長年とは、長い年月、久しい間を意味しています。
長年の読み方
長年の読み方は、「ながねん」と「ちょうねん」の二通りあります。「ちょうねん」と読む場合、「長生き、長寿」の意味もあるので注意してください。
表現方法は「長年にわたり」「長年の頑張り」
「長年にわたり」「長年の頑張り」などが、長年を使った一般的な言い回しです。
長年の使い方
長年を使った分かりやすい例としては、「長年の定説を覆す研究結果が発表された」「長年の油汚れが落ちません」「長年にわたり毎朝漢字の書き取りをしています」「長年の勤務に対するねぎらいの言葉を考えています」などがあります。
その他にも、「長年にわたりお世話になりました」「長年の友人と縁を切ることにしました」「長年の友達との付き合いに疲れた」「長年放置していたピアノの調律料金はどのくらいですか」「長年愛用したブランドバッグをフリマアプリで売る」などがあります。
長年の期間
長年とは、文字通り「長い年」を意味し、年月の長いことや長い期間などを表します。長年という言葉は、数年から数十年におよぶ期間を表現し、この期間には始まりと終わりがあるというニュアンスがあります。また、一年未満の期間には使用できない言葉です。
「長年にわたり」の意味
長年を用いた言い回しには「長年にわたり」があります。「長年にわたり」とは、物事が長期間続いていること、かなり前から継続しているさまを表現します。読み方は「ながねんにわたり」であり、「ちょうねんにわたり」とは言いません。
長年の対義語
長年の対義語・反対語としては、短い期間や短期間を意味する「短期」などがあります。
長年の類語
長年の類語・類義語としては、多くの年月や長い年月を意味する「多年」、長い年月や月日を意味する「長年月」、100の年数や数多くの年を意味する「百年」、長い期間や長期を意味する「長期間」、久しい年や長い年月を意味する「久年」などがあります。
永年の意味
永年とは
永年とは、長い年月、久しい間、多年を意味しています。
永年の読み方
永年の読み方は二通りあり、「ながねん」の他に「えいねん」とも読みます。一般的には「えいねん」と読む方が「長年」との違いが伝わりやすいでしょう。
永年の使い方
永年を使った分かりやすい例としては、「永年にわたる功労を称えて表彰します」「永年にわたり市民の安全確保に尽力されました」「永年にわたり生存できる微生物を発見した」「永年にわたって地域に貢献されました」などがあります。
その他にも、「勤続20年の社員を称える永年勤続表彰があります」「永年勤続表彰の金一封は課税対象になりますか」「永年の勤続を表彰して記念品を贈呈する」「永年雇用は可能でしょうか」「墾田永年私財法は誰が制定しましたか」などがあります。
永年の「永」は訓読みで「ながい」「とこしえ」と読み、時間が長く続くことや久しいさまを表す漢字です。十二か月を単位とする時間を表す「年」と結びつき、永年とは、ながく積み重ねられた年月を意味します。
「永年勤続」の意味
永年を用いた日本語には「永年勤続」(読み方:えいねんきんぞく)があります。永年勤続とは、一つの会社に長い年月とぎれることなく勤務し続けることを意味します。会社によっては、勤続年数が長い従業員を讃える「永年勤続表彰」という制度があります。
永年の対義語
永年の対義語・反対語としては、きわめてわずかな時間や刹那を意味する「一瞬」などがあります。
永年の類語
永年の類語・類義語としては、年の積もり重なることを意味する「積年」、とこしえや永世を意味する「永代」、限りなく長い年月を意味する「永劫」、苦労を経た上での長い年月を意味する「幾星霜」などがあります。
長年の例文
この言葉がよく使われる場面としては、長い期間、積み重ねられた年月、多年を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある長年と経年の違いは、長年は単純に長い期間を指すことに対し、経年は長い時間が経過したことを表す点にあります。
永年の例文
この言葉がよく使われる場面としては、長い年月の間、久しい年月、多年を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある永年は「ながねん」と読みますが、例文2から例文5の永年は「えいねん」と読みます。
例文3の「墾田永年私財法」(読み方:こんでんえいねんしざいほう)とは、743年に発布された開墾地の永久私有を認めた法令です。
長年と永年という言葉は、どちらも「ながねん」と読む同音同義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、継続性を強調したい時は「永年」を使うようにしましょう。