似た意味を持つ「不本意」(読み方:ふほんい)と「本意」(読み方:ほんい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不本意」と「本意」という言葉は、どちらも「本当の望み」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不本意と本意の違い
不本意と本意の意味の違い
不本意と本意の違いを分かりやすく言うと、不本意とは本当の望みでないこと、本意とは本当の望みであることという違いです。
不本意と本意の使い方の違い
一つ目の不本意を使った分かりやすい例としては、「不本意ながら認めるしかないだろう」「不本意入学した学生の実態を把握する」「誠に不本意ではございますが料金改定を実施させていただきます」などがあります。
二つ目の本意を使った分かりやすい例としては、「それは私の本意ではありません」「彼女の本意を確かめたい」「本意ではないけどやるしかない」「ビジネスにおいては本意ではない結果になることも多々あります」などがあります。
不本意と本意の使い分け方
不本意と本意という言葉は、どちらもビジネスシーンで使用され、自分の本当の気持ちや本来の望みを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
不本意とは、自分の本来の望みとは異なっていることを意味します。上記例文にある「不本意入学」とは、第一志望の学校の入学試験で不合格になり、他の学校に不本意ながら入学することを意味します。
本意とは、「私の本意」のような使い方で、「本当の気持ち、本心」を意味します。また、「本意ではない結果」のような使い方で、「本当の望み、もとからの考え」も意味する言葉です。
つまり、不本意という言葉は、「本意」に否定する助詞の「不」が付いたものであり、本意とは相反するの意味を持つことを覚えておきましょう。
不本意と本意の英語表記の違い
不本意を英語にすると「protest」「reluctance」「unwilling」となり、例えば上記の「不本意ながら認める」を英語にすると「reluctantly recognize」となります。
一方、本意を英語にすると「real intention」「true will」「original hope」となり、例えば上記の「私の本意」を英語にすると「my real intention」となります。
不本意の意味
不本意とは
不本意とは、自分の本当の望みとは違っていることを意味しています。
表現方法は「不本意ではありますが」「不本意ながら」
「不本意ではありますが」「不本意ながら」などが、不本意を使った一般的な言い回しです。
不本意の使い方
不本意を使った分かりやすい例としては、「不本意にSNSに画像が流出してしまった」「不本意未婚の割合が増えています」「不本意ながら病弱な男を誘惑しちゃったみたいです」「不本意に思うことはたくさんあります」などがあります。
その他にも、「不本意な発言で同僚を傷つけてしまいました」「不本意ながら予備校で英語講師をしています」「不本意非正規雇用労働者の現状を明らかにする」「不本意ではございますが辞退させていただきます」などがあります。
不本意は「不」と「本意」から成る言葉です。「本意」は本当の気持ちや本来の意図を表します。打消しの語である「不」と結びつき、不本意とは、本当の気持ちや望みとは違っていること、 自分が抱いていた本来の意志とは異なるさまを意味します。
「不本意非正規雇用労働者」の意味
不本意を用いた日本語には「不本意非正規雇用労働者」があります。不本意非正規雇用労働者とは、正社員や正規の職員として働く意志はあったものの、その機会がなく非正規雇用で働いている人を指す言葉です。 不本意ながら非正規雇用で働いているため、このように呼ばれています。
不本意の対義語
不本意の対義語・反対語としては、本来の意志や実際の望みを意味する「本意」、真実の気持ちを意味する「本心」などがあります。
不本意の類語
不本意の類語・類義語としては、満足がいかなくて物足りない感じがすることを意味する「残念」、期待したようにならず心残りであることを意味する「遺憾」、心が満ち足りないことを意味する「不満足」、納得がいかず不満に思うことを意味する「不服」などがあります。
本意の意味
本意とは
本意とは、本当の気持ち、本心を意味しています。
その他にも、「もとからの考え、本来の意志」「和歌・連歌・俳諧で物の本質・あり方・情趣、物の美的本性」の意味も持っています。
本意の読み方
本意の読み方は二通りあり、「ほんい」の他に「ほい」とも読みます。「ほい」は古語的な読み方であり古文に出てくる場合に読まれていますが、現代では「ほんい」と読むことが一般的です。
表現方法は「本意ではない」「本意です」「本意ではございません」
「本意ではない」「本意です」「本意ではございません」などが、本意を使った一般的な言い回しです。
本意の使い方
「彼の本意がわからない」「あなたには私の本意を打ち明けます」「あの言葉は本意ではないだろう」「政治家は建前と本意を巧みに使い分けています」をなどの文中で使われている本意は、「本当の気持ち」の意味で使われています。
一方、「自分の本意ではない部署に配属されました」「本意ではありませんが古文を専攻しています」の文中で使われている本意は「もとからの考え」の意味で、「伊勢物語の筒井筒の本意を正確に捉える」などの文中で使われている本意は「物の本質やあり方、美的本性」の意味で使われています。
本意とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。本意の「本」は物事のおおもとや真実を表し、「意」は心の中の思いや考えを表す漢字です。
「本意本情」の意味
本意を用いた日本語には「本意本情」(読み方:ほんいほんじょう)があります。本意本情とは、俳諧の世界において、本来そなわっている性質、本来あるべきあり方を意味する文学用語です。「季語の本意本情は不変である」のように使います。
本意の対義語
本意の対義語・反対語としては、本意に反することを意味する「不本意」などがあります。
本意の類語
本意の類語・類義語としては、本当の気持ちや意向を意味する「真意」、本心からいう言葉を意味する「本音」、もとから抱いている願いを意味する「本懐」、もとから抱いている志を意味する「本望」などがあります。
不本意の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の望むところでないこと、本当の気持ちに合ってないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不本意の慣用的な言い回しには「不本意ですが」「不本意ながら」「不本意ではありますが」などがあります。「不本意ながら」とは、意志とは異なる言動をとる場合に使用される表現です。
本意の例文
この言葉がよく使われる場面としては、まことの心、本当の考え、本来の望み、本来あるべきさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、本意の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「本意です」「本意ではございません」「本意ではありません」などがあります。「本意ではありません」とは、自分の真意や本当の考えとは異なっていることを意味します。
不本意と本意という言葉は、どちらも「本来の望み」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、本来の望みではないことを表現したい時は「不本意」を、本来の望みであることを表現したい時は「本意」を使うようにしましょう。