【渡す】と【あげる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「渡す」(読み方:わたす)と「あげる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「渡す」と「あげる」という言葉は、どちらも一方の側からもう一方の側へと動かすことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「渡す」と「あげる」の違い

「渡す」と「あげる」の意味の違い

「渡す」と「あげる」の違いを分かりやすく言うと、「渡す」は所有権は移動せず受け取った側が占有するだけのこと、「あげる」は所有権が受け取った側のものになることという違いです。

「渡す」と「あげる」の使い方の違い

一つ目の「渡す」を使った分かりやすい例としては、「会長の座を彼に渡す」「ロープを隅から隅へ渡す」「川に新しく橋を渡すことに成功しました」「経営権を息子に渡す」「捜査資料を彼に渡す」「彼は家を息子に手渡しました」どがあります。

二つ目の「あげる」を使った分かりやすい例としては、「物価が高騰しているので商品の値段をあげる」「荷物を三階へあげる」「彼女に誕生日プレゼントをあげる」「高速道路に入ったのでスピードをあげる」「この時計を君にあげる」などがあります。

「渡す」と「あげる」の使い分け方

「渡す」と「あげる」はどちらも一方の側からもう一方の側へと動かすことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「渡す」はこちらの手から相手の手へ移すことを意味しており、所有権は移動せず受け取った側が占有するだけのことの場合に使います。

一方、「あげる」はある行為をなさることを意味しており、所有権が受け取った側のものになることの場合に使うといのが違いです。

例えば、「姪っ子にお菓子を渡す」とすると、その姪っ子はお菓子を食べずに返さなければいけない場合がでてきますが、「姪っ子にお菓子をあげる」とすると、返す必要はないので食べてしまっても問題ありません。

「渡す」と「あげる」の英語表記の違い

「渡す」を英語にすると「hand」「transfer」「give」となり、例えば上記の「彼は家を息子に手渡しました」を英語にすると「He transferred his house to his son」となります。

一方、「あげる」を英語にすると「give」「raise」「improve」となり、例えば上記の「この時計を君にあげる」を英語にすると「I will give you this watch」となります。

「渡す」の意味

「渡す」とは

「渡す」とは、こちらの手から相手の手へ移すことを意味しています。その他にも、人や荷物を舟で向こう岸に運ぶこと、物の上を越えて一方から他方へ物がとどくようにすること、自分の持っているものや権利などを他の人に与えることの意味持っています。

表現方法は「物を渡す」「書類を渡す」

「物を渡す」「書類を渡す」などが、「渡す」を使った一般的な言い回しになります。

「渡す」の使い方

「若い世代にバトンを渡して現役から退く」「船を使って人を渡す」などの文中で使われている「渡す」は、「こちらの手から相手の手へ移すことや人や荷物を舟で向こう岸に運ぶこと」の意味で使われています。

一方、「綱を渡すことに成功しました」「土地を人手に渡す」などの文中で使われている「渡す」は、「物の上を越えて一方から他方へ物がとどくようにすることや自分の持っているものや権利などを他の人に与えること」の意味で使われています。

「渡す」は複数の意味を持つ動詞ですが、どの意味でも使われています。

「渡す」の特徴

「渡す」は「向こう岸へ人を渡す」「彼に資料を渡す」などのように、人や物などの物理的なものだけではなく、「会長の座を渡す」「仲直りの橋を渡す」などのように、抽象的なものに対しても使うことができるというのが特徴です。

「渡す」は日常生活やビジネスシーンなどの様々な場面で使うことができますが、敬語表現ではないので目上の人に対してそのままの形で使うことはできません。もし、目上の人に対して使いたいのであれば、「お渡しいたします」のような形で使うようにしましょう。

「渡す」の類語

「渡す」の類語・類義語としては、物や人をある場所から他の場所へ移すことを意味する「運ぶ」、自分の物、地位、権利などを他人に与えることを意味する「譲る」、権利、財産、法律上の地位などを他人に譲り渡すことを意味する「譲渡」があります。

「あげる」の意味

「あげる」とは

「あげる」とは、自分の所有物を他の人に渡してその人の物とすることを意味しています。

その他にも、そのもの全体または部分の位置を低い所から高い方へ動かすこと、所有者や高位の者の手元に収めること、上の段階や等級へ進ませること、程度を高めること、物事を終わりにすること、人の目についたり広く知られるようにすること、揚げ物を作ることの意味なども持っています。

「あげる」の漢字表記

「あげる」を漢字にすると、「上げる」「揚げる」「挙げる」と表記することができます。

「あげる」の使い方

「妹に洋服をあげる」「箱を棚にあげる」などの文中で使われている「あげる」は、「自分の所有物を他の人に渡してその人の物とすることやそのもの全体または部分の位置を低い所から高い方へ動かすこと」の意味で使われています。

一方、「皆様のご協力のおかげで無事犯人をあげることができました」「娘を大学にあげる」などの文中で使われている「あげる」は、「所有者や高位の者の手元に収めることや上の段階や等級へ進ませること」の意味で使われています。

「あげる」は複数の意味を持つ動詞ですが、どの意味でも使われています。

「あげる」の特徴

「あげる」は、「プレゼントをあげる」「本を棚にあげる」などのように物理的なものだけではなく、「値段をあげる」「名をあげる」などのように、抽象的なものに対しても使うことができるというのが特徴です。

「あげる」は日常生活やビジネスシーンなど、様々な場面において使うことができます。

「あげる」の対義語

「あげる」の対義語・反対語としては、位や階級を低くすることを意味する「下げる」、高い所から低い方へ移すことを意味する「降ろす」などがあります。

「あげる」の類語

「あげる」の類語・類義語としては、自分の所有物を他の人に渡してその人の物とすることを意味する「与える」、目上の者が目下の者に特別に与えることを意味する「授ける」、気の毒に思って金品を与えることを意味する「恵む」などがあります。

「渡す」の例文

1.イベント参加者に受付で資料を渡すのが、今日の私の仕事です。
2.この場所には橋がないので、人や物資を渡す小型船が常駐しています。
3.隣国との友好の橋を渡したのは、現内閣総理大臣です。
4.両親が喧嘩して仲直りしないので、僕が仲直りの橋渡しをすることにしました。
5.今年度いっぱいで引退を考えており、社長の座は息子に渡すつもりです。

この言葉がよく使われる場面としては、こちらの手から相手の手へ移すことを表現したい時などが挙げられます。

その他にも、人や荷物を舟で向こう岸に運ぶこと、物の上を越えて一方から他方へ物がとどくようにすること、自分の持っているものや権利などを他の人に与えることを表現したい時にも使います。

例文1はこちらの手から相手の手へ移すこと、例文2は人や荷物を舟で向こう岸に運ぶこと、例文3は物の上を越えて一方から他方へ物がとどくようにすること、例文4と例文5は自分の持っているものや権利などを他の人に与えることの意味で使っています。

「あげる」の例文

1.友人へ誕生日プレゼントとして、欲しいと言ってた鞄をあげる。
2.前髪を上げておでこを出すようにしてから、周りから可愛いと言われるようになりました。
3.1日の収益をあげるために、常日頃から試行錯誤を行なっています。
4.円安が続いて輸入品が高騰しているので、定番商品の値段をあげる決断をしました。
5.彼は成果をあげたので、来年度から部長への昇進が決まりました。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の所有物を他の人に渡してその人の物とすることを表現したい時などが挙げられます。

その他にも、そのもの全体または部分の位置を低い所から高い方へ動かすこと、所有者や高位の者の手元に収めること、上の段階や等級へ進ませること、程度を高めること、物事を終わりにすること、人の目についたり広く知られるようにすること、揚げ物を作ることを表現したい時にも使います。

例文1は自分の所有物を他の人に渡してその人の物とすること、例文2はそのもの全体または部分の位置を低い所から高い方へ動かすこと、例文3は所有者や高位の者の手元に収めること、例文4は程度を高めること、例文5は人の目についたり広く知られるようにすることの意味で使っています。

「渡す」と「あげる」はどちらも一方の側からもう一方の側へと動かすを表します。

どちらの言葉を使うか迷った場合、所有権は移動せず受け取った側が占有するだけのことを表現したい時は「渡す」を、所有権が受け取った側のものになることを表現したい時は「あげる」を使うと覚えておきましょう。

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