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【命じる】と【命ずる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「命じる」(読み方:めいじる)と「命ずる」(読み方:めいずる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「命じる」と「命ずる」という言葉は、どちらも立場が高い人から立場が低い人に命令をするという共通点があり、使う場面は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




命じると命ずるの違い

命じると命ずるの意味の違い

命じると命ずるの違いを分かりやすく言うと、辞書に載っている現代風の読み方か、古い読み方かの違いです。「命じる」と「命ずる」は、どちらも同じ意味を持つ言葉で、現代では「命じる」の方を一般的な読み方として使用しています。

命じると命ずるの使い方の違い

一つ目の命じるを使った分かりやすい例としては、「部下に残業を命じる上司」「裁判所が賠償を命じる判決を出した」「海外出張を命じる」「この土地の調査を命じられました」などがあります。

二つ目の命ずるを使った分かりやすい例としては、「職員に時間外勤務を命ずる」「研修の受講を命ずる」「3ヶ月の休職を命ずる」などがあります。

命じると命ずるの2つが存在する理由

なぜ、命「じる」と命「ずる」という二種類の語尾が存在するのか。これは、日本語の口語文法と文語文法の決まりによる違いがあるからです。口語文法とは、しゃべり言葉のことで、文語文法とは、文章で書く際の言葉という意味です。

これらの日本語文法には「活用法」という考え方があります。活用法とは、文章の流れによって単語の語尾を違和感のないように変えることを意味します。

まさしく「命じる」「命ずる」のように、最初の言葉は同じであっても語尾が違う言葉が存在するのは、活用法によって文脈に合うかたちで語尾が変えられているからです。

命じる、命ずるという言葉は「サ行変格活用」という活用法によって、語尾を変えています。サ行変格活用では、文章の流れによって語尾をサ行の言葉である「さしすせそ」を元にして変えていきます。

「命じる」「命ずる」という言葉の場合、「命」という先頭の言葉はそのままに、語尾を「未然形:じ」「連用形:じ」「終止形:じる・ずる」「連体形:じる・ずる」「仮定形:じれ・ずれ」「命令形:じろ・じよ・ぜよ」という風に変化させます。

語尾の変化の形である未然形や連用形などの名称は、その言葉がどのような文脈で使われているかの形のことを指しています。例えば「未然形」というのは「まだそうなってはいない」という意味を持ち、否定形と一緒に使われます。

つまり、命じるの未然形の表現は「命じない」となります。変化しない先頭の「命」に未然形の「じ」をつけて、最後に否定形の「ない」を付けた形です。

このように、日本語には、様々な文法上の決まりがあります。「命じる」「命ずる」というのは、両方ともこの文法で言うところの「終止形」です。

終止形というのは、言い切りの形という意味があります。文章ではなく、ひとつの単語として使う際には終止形を使います。

命じると命ずるの使い分け方

「命」の終止形には「じる」と「ずる」の二種類があります。これが「命じる」と「命ずる」の違いです。二種類の語尾がある場合、どちらを使っても間違いではありませんが、どちらか一方が、一般的に使われているものであることがほとんどです。

「命」の場合、辞書に記載されているのは「命じる」という言葉です。こちらが、現代では一般的に使用されている言葉であり、「命ずる」というのは古い言い方になります。

しかし、意味に違いはありませんし、どちらも文法的には使えるものですので、個々人の好みや文章の前後の文脈などを考えて、自由に使い分けが出来るものであると言えます。

命じるの意味

命じるとは

命じるとは、立場が高い人から立場が低い人に命令をすることを意味しています。

表現方法は「仕事を命じる」「残業を命じる」「時間外労働を命じる」

「仕事を命じる」「残業を命じる」「時間外労働を命じる」などが、命じるを使った一般的な言い回しです。

命じるの使い方

命じるを使った分かりやすい例としては、「子供におつかいに行くように命じた」「業務命令で早退を命じる」「スピード違反で罰金を命じられた」「厳しいトレーニングを命じられた」「会社から海外勤務を命じられ」などがあります。

「肝に命じる」は誤字

よくある間違いに「肝に命じる」という言葉がありますが、これは漢字の使い方の間違いで正解は「肝に銘じる」です。このビジネスシーンで使われることの多い言葉である「肝に銘じる」は、しっかりと自分の心に刻み決して忘れないようにすることを意味しています。

命じるの類語

命じるの類語・類義語としては、指で指して示すを意味する「指示を出す」、無理やり命令して人を動かすを意味する「指図する」、申し付けることを意味する「言いつける」などがあります。

命じるの命の字を使った別の言葉としては、立場が高い人から立場が低い人に強く指示を出すことを意味する「命令」があります。

命ずるの意味

命ずるとは

命ずるとは、命じるという言葉の少し古い言い方を意味しています。命ずるというのは「命ず」という言葉のサ行変格活用の終止形です。

表現方法は「出向を命ずる」「業務停止を命ずる」「財産分与を命ずる」

「出向を命ずる」「業務停止を命ずる」「財産分与を命ずる」などが、命ずるを使った一般的な言い回しです。

命ずるの使い方

命ずるを使った分かりやすい例としては、「営業活動の一切の停止を命ずる」「子会社への出向を命ずる」などがあります。

命ずるは辞書に載っていない

意味としては、命じると全く同じものであり、文章の前後の文脈などによって使い分けることが出来るものです。辞書には「命じる」は載っていても、「命ずる」という言葉は載っていないことが多く、命ずるは現代語よりも少し古い表現です。

しかし、意味は同じであるので、「命じる」「命ずる」のどちらを使っても間違いではありません。古風な雰囲気を出したい時などには、あえて「命ずる」という言葉を使うのも良いでしょう。

他にも、例えば「命ず」という言葉の命令形を考えてみると、現代風の言い方であれば「命じろ」となりますが、古風な言い回しになると「命じよ」または「命ぜよ」となります。

この「命じよ」「命ぜよ」と同じ雰囲気を持つのが「命ずる」であると考えると、わかりやすいでしょう。

命じるの例文

1.社長から部下の指示をもう少し積極的にするように命じられた。
2.労災で企業に賠償金500万円の支払いを命じる判決が出た。
3.海外出張とは違い、国内出張を命じる場合は社員の同意は必要ない。
4.36協定を結んでいないと、会社は社員に残業を命じることはできない。
5.残業を拒否する社員に懲戒処分を命じるのは労働基準法違反だ。
6.学校のガラスを不注意で割ってしまった息子は、先生から二週間の奉仕活動を命じられた。
7.ワンマン経営で有名な当社においては、ある日突然窓際部署への異動を命じられても、社員に拒否権はないのが実情だ。
8.誰かに命じられたわけでもないのに、彼は朝早く起きて渋谷周辺のゴミ拾いを始めるようになった。
9.人に何かを命じるのは気楽で簡単なことのように見えるが、その分重責を伴うことを決して忘れてはならない。
10.プログラミングというのは決められた文字列を打ち込んでコンピュータに指令を命じるようなものだ。

この言葉がよく使われる場面としては、立場が高い人から立場が低い人への命令を表現で表したい時などが挙げられます。

具体的には例文1や例文4のように会社からの辞令や上司からの指示、他にも例文2のように裁判所の判決などでもよく使われます。

このようにビジネスシーンでは頻繁に目にする言葉となっていますが、普段の生活の中でこの言葉を使ったり使われたりすることはまずありません。

命ずるの例文

1.相続に関して、家庭裁判所から財産分与を命ずるという結果が出た。
2.本社への配属を命ずるという辞令が出たので、これまで以上に頑張らなければならない。
3.今回の災害の被害状況を受けて、国から助成金の支援のもと営業時間の短縮を従業員に命ずる旨の文書が届いた。
4.「9月1日より◯◯県支社での勤務を命ずる」との辞令を受け取ったのは、なんと8月30日だった。
5.教員の都合で映画研究部の廃部を命ぜられたのだが、私達はそれに反抗するために、それ自体を映画にすることになったのだ。
6.大しけの船上で男は呪文を用いて海に沈黙をするよう命ずるとたちどころに波は穏やかになり雲間から日が差し込んだのだ。
7.戦争の犠牲について神風特攻隊の隊員はもちろんのこと、特攻を命ずる上官もさぞかし辛かったろう。
8.仕事で重大なミスをした同僚はインドネシア支社の転勤を命ずると書かれた辞令を渡されて意気消沈していた。

この言葉がよく使われる場面としては、命じるという言葉を少し古風な表現で表したい時などが挙げられます。

上記の例文を見れば分かる通り、「命ずる」を「命じる」に置き換えても全く文章としての問題はありません。

言葉の使い方の例文
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