【推進】と【促進】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「推進」(読み方:すいしん)と「促進」(読み方:そくしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「推進」と「促進」という言葉は、どちらも「物事が進むようにすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




推進と促進の違い

推進と促進の違いを分かりやすく言うと、推進とは主体的に物事を前進させること、促進とは他者に働きかけて物事の進行を速めることという違いです。

一つ目の推進を使った分かりやすい例としては、「計画を見直しながら取り組みの推進を図る」「経験によりプロジェクトの推進力を高める」「推進工事の現地調査を行う」「推進力の強いエンジンを搭載しています」などがあります。

二つ目の促進を使った分かりやすい例としては、「マイナ保険証の利用を促進する施策を打ち出す」「販売促進のアイデアをご紹介します」「投薬でインスリンの分泌を促進する」「雇用促進住宅に申込み資格をチェックする」などがあります。

推進と促進という言葉は、どちらも物事や事業などが前進するようにすることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

推進とは、前におしすすめること、物事がはかどるようにすることを意味します。「推進力の強いエンジン」のように物理的に前進させることや、「プロジェクトの推進」のように事業や運動などを進歩させることを表します。自分自身が主体的に行動するというニュアンスがある言葉です。

促進とは、他者を促して物事の進み方がはかどるようにすることを意味します。「雇用促進」とは、就労の機会を新たに作り出すよう働きかけることです。促進という言葉には、関係者や状況に働きかけて、その進行をはやめるというニュアンスがあります。

つまり、推進とは自分自身が主体となって物事を進めることであり、そのスピードは問題にしていません。一方、促進とは他者が主体となって物事を進めることであり、スピード感のある言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

推進も促進も英語にすると「promotion」「facilitation」となり、例えば上記の「取り組みの推進」を英語にすると「promotion of activities」となります。

推進の意味

推進とは、物を前へおし進めることを意味しています。

その他にも、「事業や運動などを達成するように努めること」の意味も持っています。

「ウォータジェット推進の基本原理を説明します」「推進工法により既設管を新設管に入れ替える」「水泳で推進力を高めるトレーニングをしています」などの文中で使われている推進は、「物を前へおし進めること」の意味で使われています。

一方、「事業推進部本部に異動になりました」「経済産業省はDX推進ガイドラインを公表しています」「プロジェクトリーダーには推進力が必要です」などの文中で使われている推進は、「事業や運動などを達成するように努めること」の意味で使われています。

推進の読み方は「すいしん」です。同じ読み方をする熟語に「水深」や「水浸」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

推進とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。推進の「推」は訓読みで「おす」と読み、前に動かし進めること、「進」は訓読みで「すすむ」と読み、前進することや物事がはかどることを表します。

推進を用いた日本語には「推進工法」があります。推進工法とは、地中の掘進機と推進管を油圧ジャッキで押し進めることで管を埋設する方法を意味します。下水道やガス管などの管きょを地中に埋める工事で用いられています。

推進の対義語・反対語としては、無理やりおさえつけることを意味する「抑圧」、おさえつけて活動などをやめさせることを意味する「抑止」などがあります。

推進の類語・類義語としては、物体を運動方向におしすすめる力を意味する「推力」、物事の勢いなどがいっそう激しくなることを意味する「増進」、そのことをするようすすめ励ますことを意味する「勧奨」、奨励することを意味する「プロモート」などがあります。

促進の意味

促進とは、物事が速くはかどるように促すことを意味しています。

促進を使った分かりやすい例としては、「英語の学習を促進するような環境を整備する」「子どもの成長を促進する魔法の言葉があります」「陣痛促進剤は保険適用になりますか」「陣痛促進剤は痛いと感じませんでした」などがあります。

その他にも、「自社商品の販売促進につなげる工夫を凝らす」「日韓のビジネス交流を促進する」「障碍者の雇用促進を図る取り組みを検討中です」「適度な運動は血行を促進する働きがあります」などがあります。

促進の「促」は訓読みで「うながす」と読み、ある行為をするように仕向けることや、物事の進行をすみやかにさせることを表す漢字です。物事がはかどることを表す「進」と結び付き、促進とは、関係者をうながして物事が速く運ぶようにすることを意味します。

促進を用いた日本語には「陣痛促進剤」があります。陣痛促進剤とは、「陣痛誘発剤」とも呼ばれ、子宮の収縮を促して陣痛を引き起こす薬剤を意味します。微弱陣痛で分娩が長時間に及ぶ場合や、過期妊娠などの場合などに投与されるものです。

促進の対義語・反対語としては、おさえとどめることを意味する「抑制」などがあります。

促進の類語・類義語としては、ある傾向をより著しくさせることを意味する「助長」、ある事柄を人に強く勧めることを意味する「奨励」、物事がうまく運ぶように手助けすることを意味する「助ける」、販売促進のための宣伝資料を意味する「プロモーション」などがあります。

推進の例文

1.モーターボートのプロペラは、エンジンの出力を推進力に変換する唯一の部品です。
2.金融庁は金融教育の推進に取り組んでおり、日々のお金の使い方などをテーマにセミナーを開催しています。
3.当社で実施しておりますコンプライアンス推進活動の進捗状況についてご報告いたします。
4.男性の育休取得を推進する企業には、イクメンを推奨するような社風があります。
5.本校では、中高一貫でグローバル化に対応した英語教育を推進しております。

この言葉がよく使われる場面としては、物を前に進めること、物事が目的の状態に向かってはかどるように努めることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある推進は、物を前に進めることの意味で用いられています。例文2から例文5の推進は、
物事が目的の状態に向かってはかどるように努めることを意味しています。

促進の例文

1.文部科学省は、英語の指導と学習を促進するための政策や計画を発表しました。
2.各自治体は、脱炭素型のビジネススタイルへの転換を促進する補助金を設定しています。
3.高齢者の雇用促進は、働き手の確保だけでなくシニア世代の生きがいをつくり出すというメリットもあります。
4.臨月に入ってからの検診で、産科医から陣痛促進剤のメリットとデメリットの説明がありました。
5.費用対効果が高い販売促進施策の一つに、SNSを活用したキャンペーンがあります。

この言葉がよく使われる場面としては、物事の進もうとする力に更に力を加えることを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「販売促進施策」とは、「セールスプロモーション」とも呼ばれ、商品やサービスの認知度を高め、消費者の購買意欲を促進させるマーケティング活動を指す言葉です。

推進と促進という言葉は、どちらも「物事が進むようにすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、主体的に物事を進めることを表現したい時は「推進」を、他者に働きかけて速く物事を進めることを表現したい時は「促進」を使うようにしましょう。

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