似た意味を持つ「頑張る」(読み方:がんばる)と「張り切る」(読み方:はりきる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「頑張る」と「張り切る」という言葉は、どちらも力を十分に出して努力することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「頑張る」と「張り切る」の違い
「頑張る」と「張り切る」の意味の違い
「頑張る」と「張り切る」の違いを分かりやすく言うと、「頑張る」は周囲の状況に影響される場合に使う言葉、「張り切る」は周囲の状況に影響されない場合に言葉という違いです。
「頑張る」と「張り切る」の使い方の違い
一つ目の「頑張る」を使った分かりやすい例としては、「志望校に受かるためにはもっと頑張る必要があるだろう」「諦めないで最後まで頑張る」「困難に屈せず頑張る」「良い結果を残せるように頑張る」「援軍が来るまで頑張る」などがあります。
二つ目の「張り切る」を使った分かりやすい例としては、「まだまだ若い者には負けれないので張り切る」「彼女は張り切って仕事をしています」「次の試合のレギュラーに選ばれたので張り切る」「張り切り過ぎると失敗するよ」などがあります。
「頑張る」と「張り切る」の使い分け方
「頑張る」と「張り切る」はどちらも力を十分に出して努力することを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「頑張る」は無理や困難な状況で力を十分に出して努力する場合に使う言葉なので、周囲の状況に影響される場合に使います。
一方、「張り切る」は周囲の状況に関わらず、気力満々で力を十分に出す場合に使う言葉なので、周囲の状況に影響されない場合に使う言葉というのが違いです。
例えば、周囲の状況に影響されるので、「困難な状況に屈せず頑張る」とすることはできますが、周囲の状況に影響されない言葉である「困難な状況に屈せず張り切る」とすることはできません。
また、「頑張る」には頑固に意地を張るというニュアンスで使うというのも違いの一つです。
「頑張る」と「張り切る」の英語表記の違い
「頑張る」を英語にすると「hold out」「hang on」「insist」となり、例えば上記の「援軍が来るまで頑張る」を英語にすると「They hold out till reinforcements arrived」となります。
一方、「張り切る」を英語にすると「stretch tight」「spirit」「enthusiastic」「too eager 」となり、例えば上記の「張り切り過ぎると失敗するよ」を英語にすると「It is easy to make mistakes if you are too eager」となります。
「頑張る」の意味
「頑張る」とは
「頑張る」とは、困難にめげないで我慢してやり抜くことを意味しています。その他にも、自分の考えや意志をどこまでも通そうとすること、ある場所を占めて動かないでいることの意味も持っています。
「頑張る」の使い方
「クラス全員で一致団結して頑張る」「終了の笛が鳴るまで諦めずに頑張る」などの文中で使われている「頑張る」は、「困難にめげないで我慢してやり抜くこと」の意味で使われています。
一方、「彼女は頑張って自説を譲ろうとはしません」「出口に警官が頑張っているので脱出することができません」などの文中で使われている「頑張る」は、「自分の考えや意志をどこまでも通そうとすることやある場所を占めて動かないでいること」の意味で使われています。
「頑張る」は複数の意味を持つ動詞ですが、基本的には困難にめげないで我慢してやり抜くことの意味で使うのが一般的です。自分の考えや意志をどこまでも通そうとすることやある場所を占めて動かないでいることの意味は限定的な場面で使う言葉であると覚えておきましょう。
「頑張る」の特徴
「頑張る」は日常生活とビジネスシーンのどちらでも使うことができる言葉ですが、ビジネスシーンにおいてはカジュアルに聞こえてしまう場合もあるので、状況に応じて言い換えることが必要になります。
ではなぜ、「頑張る」がカジュアルに聞こえてしまうのかと言うと、「頑張る」は抽象的で具体性に欠けるので、具体的なイメージを相手に与えにくいのが原因です。
ビジネスシーンにおいて「頑張る」の言い換え表現を上げるのであれば、「全力で取組みます」「尽力いたします」「精進してまいります」などがあります。
「頑張る」の類語
「頑張る」の類語・類義語としては、困難などを切り抜けて進むことを意味する「乗り越える」、元気や気力が満ち溢れることを意味する「張り切る」、気力を出してこらえることを意味する「踏ん張る」、精一杯働くことを意味する「精を出す」などがあります。
「張り切る」の意味
「張り切る」とは
「張り切る」とは、元気や気力が満ち溢れることを意味しています。その他にも、緩みなく十分に張ることの意味も持っています。
表現方法は「張り切る人」「張り切る気持ち」
「張り切る人」「張り切る気持ち」などが、「張り切る」を使った一般的な言い回しになります。
「張り切る」の使い方
「安心すると張り切った気持ちが緩んでしまいます」「学生には負けてられないと張り切る」などの文中で使われている「張り切る」は、「元気や気力が満ち溢れること」の意味で使われています。
一方、「網はピンと張り切っていました」「張り切った意図を指ではじきました」などの文中で使われている「張り切る」は、「緩みなく十分に張ること」の意味で使われています。
「張り切る」は元気や気力が満ち溢れることと、緩みなく十分に張ることの二つの意味を持つ動詞で、前者の意味は抽象的なものに対して使うことが多く、後者は物理的なものに対して使うことが多いと覚えておきましょう。
「張り切る」の語源
「張り切る」は元々、糸などが緩みなく十分に張ることの意味で使われて言葉で、これを心などに置き換えて精神的なニュアンスで使うようになり、元気や気力が満ち溢れることの意味で使われるようになりました。
「張り切る」の特徴
「張り切る」は周囲の状況に関わらず、気力満々で力を十分に出す場合に使うことができるというのが特徴です。また、日常生活とビジネスシーンのどちらでも使うことができます。
「張り切る」の類語
「張り切る」の類語・類義語としては、一つの物事を精神を集中させて続けて行うことを意味する「根を詰める」、自分こそはと意気込むことを意味する「気負う」、一か所に集めることを意味する「集中する」、心が奮い立つことを意味する「勇む」などがあります。
「頑張る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、困難にめげないで我慢してやり抜くことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、自分の考えや意志をどこまでも通そうとすること、ある場所を占めて動かないでいることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は困難にめげないで我慢してやり抜くこと、例文4は自分の考えや意志をどこまでも通そうとすること、例文5はある場所を占めて動かないでいることの意味で使っています。
「張り切る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、元気や気力が満ち溢れることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、緩みなく十分に張ることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は元気や気力が満ち溢れること、例文4と例文5は緩みなく十分に張ることの意味で使っています。
「頑張る」と「張り切る」はどちらも力を十分に出して努力することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、周囲の状況に影響される場合に使うことを表現したい時は「頑張る」を、周囲の状況に影響されないことを表現したい時は「張り切る」を使うと覚えておきましょう。