似た意味を持つ「数」(読み方:かず)と「数字」(読み方:すうじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「数」と「数字」という言葉は、どちらも「物の数量」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
数と数字の違い
数と数字の意味の違い
数と数字の違いを分かりやすく言うと、数とは物の数量の概念、数字とは物の数量を記す文字という違いです。
数と数字の使い方の違い
一つ目の数を使った分かりやすい例としては、「テーブルにあるコップの数をかぞえる」「常用漢字の数はどれぐらいありますか」「三桁の数の期待値を求める」「面接は数をこなすと慣れていきます」などがあります。
二つ目の数字を使った分かりやすい例としては、「これまでの成果を数字で示す」「アラビア数字の起源はインドにあります」「今日の宿題は数字の練習プリントです」「数字に強くなるにはどうしたらいいですか」などがあります。
数と数字の使い分け方
数と数字という言葉は、どちらも物を数えたり、物の多少を表したりする際に用いられていますが、意味や使い方には違いがあります。
数とは、物の数量を表す抽象的な概念であり、物の多い少ないの程度を指す言葉です。「コップの数」のように具体的な数量を指すこともありますが、「数をこなす」のように漠然と多くの数量を表現することもあります。
数字とは、数を記すのに用いる記号や文字を意味します。「1、2」などのアラビア数字、「一、二」などの漢数字、「Ⅰ、Ⅱ」などのローマ数字は数字の一種です。転じて、「数字に強い」などの使い方で、統計など数字で表わされる数量的な事柄や知識も表します。
つまり、数とは数量の概念を指す言葉であり、数字とは数量を表すための記号や文字を指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
数と数字の英語表記の違い
数を英語にすると「number」となり、例えば上記の「数をかぞえる」を英語にすると「count the number」となります。一方、数字を英語にすると「figure」「numeral」「numerical character」となり、例えば上記の「数字で示す」を英語にすると「state in figures」となります。
数の意味
数とは
数とは、物の順序を示す語、また、その記号、数字を意味しています。
その他にも、「個々の事物が全体または一定の範囲でいくつ(何回)あるかということを表すもの、数量」「数量や回数が多いこと、多数」「価値あるものとして取り立てて認められる範囲」「同類として数えたてられる範囲、仲間」の意味も持っています。
数の読み方
数の読み方は「かず」の他に「すう」とも読みますが、単独で「数」とあるときは「かず」と読まれることが一般的です。
数の使い方
「トイレに数の単位の早見表を貼って覚える」の文中で使われている数は「物の順序を示す語」の意味で、「星の数をかぞえる」「何度もチェックしたのに数が合わない」の文中で使われている数は「事物がいくつあるかを表すもの」の意味で使われています。
一方、「数ある商品のなかから一つだけ選ぶ」の文中で使われている数は「数量が多いこと」の意味で、「寒さなど物の数とも思わない」の文中で使われている数は「取り立てて認められる範囲」の意味で、「私も数に加えて欲しい」の文中で使われている数は「仲間」の意味で使われています。
数とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。数は抽象的な概念であり、事物などを数える時の量や回数などを表すものです。
表現方法は「場合の数」
数を用いた日本語には「場合の数」があります。「場合の数」とは、数学で、ある事柄の起こりうる場合の総数を意味します。例えば、たとえば、サイコロを振ったときの目の出方の総数や、四個のものを任意に並べたときにできる列の総数などのことです。
数の類語
数の類語・類義語としては、測定の対象となり大小の比較が可能なものを意味する「量」、物の重量や割合などの多い少ないの程度を意味する「分量」、物の大きさや分量を意味する「嵩」(読み方:かさ)、容積分量や量感を意味する「ボリューム」などがあります。
数字の意味
数字とは
数字とは、数を表すのに用いる記号や文字を意味しています。
その他にも、「統計・成績・計算など、数字によって表される事柄」「数個の文字」の意味も持っています。
数字の読み方
数字の読み方は「すうじ」です。誤って「かずじ」などと読まないようにしましょう。
数字の使い方
「数字がきれいに見えるフォントを選ぶ」「数字の単位は英語でいくつまで言えますか」「数字をスペイン語で読むことができます」などの文中で使われている数字は、「数を表すのに用いる記号や文字」の意味で使われています。
一方、「数字に強い子供は論理的思考力に長けています」などの文中で使われている数字は「数字によって表される事柄」の意味で、「エクセルを使って指定した数字を削除する」をの文中で使われている数字は「数個の文字」の意味で使われています。
数字とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。数字の「数」はかずをかぞえること、「字」は言葉を書き表す記号を表す漢字です。
「アラビア数字」の意味
数字を用いた日本語には「アラビア数字」があります。アラビア数字とは、一般に用いられている0,1,2,3,4,5,6,7,8,9の十個の数字を意味します。インドで考案され、アラビアを経てヨーロッパに伝えられました。「インド数字」「算用数字」とも言います。
数字の類語
数字の類語・類義語としては、言葉を表記するために社会習慣として用いられる記号を意味する「文字」、古代ローマ人がラテン語を表記するのに用いた表音文字を意味する「ローマ字」、文字式の中の文字に当てはまる具体的な数を意味する「数値」などがあります。
数の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物の順序を示す記号や数字、数をかぞえること、数量や種類が多いこと、多くの物の中で特にとりたてて数えあげる価値のあるもの、定まった数や特定の範囲にはいる人を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「物の数」とは、かぞえたてる価値がある物を意味し、多くは打消しの語を伴って用いられる言葉です。
数字の例文
この言葉がよく使われる場面としては、数を記すのに用いる記号や文字、統計など数字で表わされる数量的な事柄や知識、いくつかの文字を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「数字に強い」とは数字の意味を素早く理解し、数字を使って物事を考えたり、数字から示唆を出したりすることができる能力を意味します。例文5の数字は、「いくつかの文字」の意味で用いられています。
数と数字という言葉は、どちらも「物の数量」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物の数量の概念を表現したい時は「数」を、物の数量を表す文字を表現したい時は「数字」を使うようにしましょう。