似た意味を持つ「出家」(読み方:しゅっけ)と「得度」(読み方:とくど)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「出家」と「得度」という言葉は、どちらも「僧侶になること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
出家と得度の違い
出家と得度の意味の違い
出家と得度の違いを分かりやすく言うと、出家とは世俗を捨てて仏道に入ること、得度とは僧侶になるための儀式という違いです。
出家と得度の使い方の違い
一つ目の出家を使った分かりやすい例としては、「思いたって出家することにしました」「髪の毛をそって出家しました」「本場のインドで出家したいです」「出家するにはどうしたらいいですか」などがあります。
二つ目の得度を使った分かりやすい例としては、「高野山で得度講習会を受けました」「得度習礼でお経を読みました」「曹洞宗の得度式には年齢制限があります」「得度を受ければ女性でも僧侶になれます」などがあります。
出家と得度の使い分け方
出家と得度という言葉は、どちらも悟りを求めるために世俗を捨てて僧侶になることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
出家とは、家を出て仏門に入ること、俗世を離れ僧となって仏道を修行することを意味します。出家を端的に説明すると、家族も財産も持たないで仏門に専念することであり、普通の生活をしながら仏門に入る「在家」と対になる言葉です。
得度とは、本来は仏陀の悟りの世界に渡ることを意味しましたが、現代では仏教における僧侶となるための出家の儀式を指す言葉になっています。得度式の内容は宗派によりますが、一般的には、剃髪をして法名を授かり、戒律の遵守を誓うことなどを行います。
つまり、出家とは家を出て仏陀の弟子になることを表し、得度とは僧侶となるための出家の儀式を指します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
出家と得度の英語表記の違い
出家も得度も英語にすると「priest」「monk」となり、例えば上記の「出家する」を英語にすると「become a priest」となります。
出家の意味
出家とは
出家とは、世俗の生活を捨て僧となって仏道を修行すること、また、その人を意味しています。
出家の使い方
出家を使った分かりやすい例としては、「英語講師を辞めて出家しました」「出家したばかりの弟子の世話をする」「古文では出家の話がよく出てきます」「出家への具体的な方法を教えてもらいました」などがあります。
その他にも、「平安時代は多くの貴族が出家しました」「私が出家得度をした理由をお話します」「出家して僧や尼になることを夢見ています」「出家したいと考えている女性は少なくありません」などがあります。
出家の読み方
出家の読み方は「しゅっけ」です。誤って「でけ」「すいけ」などと読まないようにしましょう。
出家とは、「家を出る」と書き、家庭生活を離れて仏門に入り、もっぱら仏法修行の道に入ることを意味します。仏教では、人は欲を断って仏の弟子になることで、悟りを得られると考えられています。
「出家得度」の意味
出家を用いた日本語には「出家得度」(読み方:しゅっけとくど)があります。出家得度とは、仏門に入り、その証となる度牒を受けて僧尼になることを意味します。現代では、寺に入って剃髪の儀式を挙げることを指します。
出家の対義語
出家の対義語・反対語としては、出家せずに普通の生活をしながら仏教に帰依することを意味する「在家」などがあります。
出家の類語
出家の類語・類義語としては、出家して仏道を修行する人を意味する「僧侶」、寺坊のあるじである僧を意味する「坊主」、僧を親しみ敬っていう語を意味する「坊さん」、仏法によく通じ人々を導く師となる者を意味する「法師」などがあります。
得度の意味
得度とは
得度とは、生死の苦海を渡って涅槃 (ねはん) の彼岸に至ることを意味しています。
その他にも、「出家して僧や尼になること」の意味も持ってます。
得度の使い方
「どうしたら得度できるだろうか」「12歳未満は得度できないそうです」「そう簡単に得度することはできません」などの文中で使われている得度は、「生死の苦海を渡って涅槃 (ねはん) の彼岸に至ること」の意味で使われています。
一方、「得度習礼を修了しなければ得度式を受けられません」「得度を受けるにはいくらぐらい費用がかかりますか」「念願かなって得度受戒をさせていただきました」などの文中で使われている得度は、「出家して僧や尼になること」の意味で使われています。
得度とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「出家して僧や尼になること」の意味で用いられています。また、仏教において僧侶となるための儀式の意味で使用されることもあります。
得度の語源
得度の語源は、サンスクリット語の「ターラヤティ」の訳語である「度」に由来します。「度」は渡ることを表し、得度とは迷いの世界を超えて悟りの世界に渡ることを意味します。転じて、在家者が剃髪し、出家して僧となることを意味する言葉になりました。
得度の対義語
得度の対義語・反対語としては、一度出家した者がもとの俗人に戻ることを意味する「還俗」などがあります。
得度の類語
得度の類語・類義語としては、信者が仏の定めたそれぞれの戒律を受けることを意味する「受戒」、高貴な人が髪をそり落として仏門に入ることを意味する「落飾」、寺が得度した僧に書き与える身分証明書を意味する「度牒」、宗教を信仰しその信者になることを意味する「入信」などがあります。
出家の例文
この言葉がよく使われる場面としては、家を出て仏門に入ること、俗世を離れ仏法修行の道に入ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、出家という言葉は、仏門に入るという限定的な場面で使用されています。
得度の例文
この言葉がよく使われる場面としては、迷いの世界を超えて悟りの世界に渡りうること、在家者が剃髪し出家して僧となることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「在家得度」(読み方:ざいけとくど)とは、一般社会人として生活しながら仏道を歩んでいくことを表します。例文4の「得度習礼」とは、僧侶としての基本的な知識と作法を学ぶための研修を指します。
出家と得度という言葉は、どちらも「僧侶になること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、世俗を捨てて仏道に入ることを表現したい時は「出家」を、僧侶になるための儀式を表現したい時は「得度」を使うようにしましょう。