似た意味を持つ「言伝」(読み方:ことづて)と「伝言」(読み方:でんごん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「言伝」と「伝言」という言葉は、どちらも「伝えたい言葉を第三者に取り次いでもらうこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
言伝と伝言の違い
言伝と伝言の意味の違い
言伝と伝言の違いを分かりやすく言うと、言伝とは「伝えたいことを取り次いでもらうこと」だけでなく「伝え聞いた話」も表し、伝言とは「伝えたいことを取り次いでもらうこと」のみを表すという違いです。
言伝と伝言の使い方の違い
一つ目の言伝を使った分かりやすい例としては、「奥様より言伝を預かっております」「部長の留守中に言伝を預かりました」「クラスメイトに英語の先生からの言伝を伝える」「言伝するところによれば彼は闇バイトをやっているらしい」などがあります。
二つ目の伝言を使った分かりやすい例としては、「取引先から伝言を預かっています」「先方から伝言を承りました」「預かった伝言をメールで伝えました」「イラスト伝言ゲームで盛り上がりました」などがあります。
言伝と伝言の使い分け方
言伝と伝言という言葉は、漢字の前後が入れ替わった熟語であり、どちらも伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうことを意味します。この意味で用いられている「言伝を預かる」「伝言を承りました」の言伝と伝言は、互いに置き換えても意味は変わりません。
さらに、言伝という言葉は、「間接に人から伝え聞くこと、伝え聞いた話」の意味も持っています。この意味は伝言にはないため、「言伝するところによれば」の言伝は、伝言という言葉に置き換えることはできません。
つまり、伝言は「伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうこと」だけでなくのみを意味しますが、言伝は「伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうこと」だけでなく「伝え聞いた話」の意味もあります。
二つの言葉を比べると、伝言よりも言伝の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
言伝と伝言の英語表記の違い
言伝も伝言も英語にすると「message」「rumor」となり、例えば上記の「伝言を預かる」を英語にすると「take a message」となります。
言伝の意味
言伝とは
言伝とは、伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうこと、また、その言葉を意味しています。
その他にも、「間接に人から伝え聞くこと、また、伝え聞いた話」の意味も持っています。
言伝の読み方
言伝の読み方は「ことづて」です。古くは「ことつて」と読みましたが、今では「ことづて」と読むことが一般的になっています。
言伝の使い方
「お得意様から重要な言伝を預かる」「恐れ入りますが言伝をお願いします」「電話番をしていると言伝を預かることがよくあります」などの文中で使われている言伝は、「伝えたい言葉を他の人に取り次いでもらうこと」の意味で使われています。
一方、「言伝したことをそのままお話します」「これは言伝ではなく体験談です」「私の言伝したところでは、彼は離婚したらしい」などの文中で使われている言伝は、「間接に人から伝え聞くこと、伝え聞いた話」の意味で使われています。
言伝とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。言伝の「言」は人が声に出して言ったり文字に書いて表したりする言葉を表し、「伝」は言葉などで知らせることや伝達することを表す漢字です。
表現方法は「言伝を預かる」
言伝を用いた言い回しには「言伝を預かる」 (読み方:ことづてをあずかる)があります。「言伝を預かる」とは、他人からのメッセージや伝達事項を受け取って、それを然るべき相手に伝える役割を担うことを意味します。
言伝の類語
言伝の類語・類義語としては、人に頼んで言葉を取り次いでもらうことを意味する「言付け」(読み方:ことづけ)、取り次いで申すことや語り伝え申し上げることを意味する「申し伝える」、人から伝え聞くことを意味する「伝聞」などがあります。
伝言の意味
伝言とは
伝言とは、人に頼んで相手に用件を伝えること、また、その言葉を意味しています。
伝言の読み方
伝言の読み方は二通りあり、「でんごん」「つてこと」と読みます。「つてこと」と読む場合、「言い伝える言葉」の他に「うわさ」の意味も持ちます。
伝言の使い方
伝言を使った分かりやすい例としては、「伝言の内容を箇条書きにメモする」「伝言板が設置されている駅は少なくなりました」「お客様より伝言を承りましたのでお伝えします」「音声ガイダンスに従って伝言の再生を行う」などがあります。
その他にも、「勤務中は常に伝言メモアプリを設定しています」「災害用伝言ダイヤルを使ったことはありますか」「忘年会で伝言ゲームをやる予定です」「伝言ゲームのルールを忘れてしまいました」などがあります。
伝言とは、人に頼んで先方に用件を伝えることを意味し、ある人に伝えたい事柄を別の人に言ってもらうことを表します。「伝言を預かる」とは、相手から第三者への伝言やメッセージを受け取り、自分がそれをしかるべき相手に届ける行為を表す言い回しです。
伝言の対義語
伝言の対義語・反対語としては、面と向かって直接に言うことを意味する「直言」などがあります。
伝言の類語
伝言の類語・類義語としては、命令や情報などを口頭などで相手に伝えることを意味する「伝達」、事務や命令などの内容を後任者に伝えることを意味する「申し送り」、手紙や使者に託して伝達される言葉を意味する「メッセージ」などがあります。
言伝の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人を通じて意志や用件を先方に伝えること、他人からの話によって伝え聞くことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の言伝は、「他人を通じて意志や用件を先方に伝えること」の意味で用いられています。例文5の言伝は、「他人からの話によって伝え聞くこと」の意味で使用されています。
伝言の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言い伝える言葉を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「災害用伝言ダイヤル」とは、大規模な災害が発生した場合に利用できる、被災地の方の安否を音声で確認できるサービスです。例文4や例文5の「伝言ゲーム」とは、グループ内で人から人へメッセージを順に伝え、正確に伝えられるかどうかを競う遊びのことです。
言伝と伝言という言葉は、どちらも「伝えたいことを他の人に取り次いでもらうこと」を表します。さらに言伝という言葉には、「人から伝え聞くこと、伝え聞いた話」の意味もあることを覚えておきましょう。