似た意味を持つ「保護者」(読み方:ほごしゃ)と「親権者」(読み方:しんけんしゃ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「保護者」と「親権者」という言葉は、どちらも「父親や母親」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
保護者と親権者の違い
保護者と親権者の意味の違い
保護者と親権者の違いを分かりやすく言うと、保護者とは父母や養父母に限られない、親権者とは父母や養父母に限られるという違いです。
保護者と親権者の使い方の違い
一つ目の保護者を使った分かりやすい例としては、「事情により明日の保護者会は欠席します」「保護者会の服装はきれいめカジュアルが無難です」「英語教育に熱心な保護者が増えています」などがあります。
二つ目の親権者を使った分かりやすい例としては、「親権者として子どもの財産管理をしています」「親権者である父母が法定代理人になります」「家庭裁判所に親権者変更の審判を申し立てる」などがあります。
保護者と親権者の使い分け方
保護者と親権者という言葉は、どちらも両親や養子縁組みによって親となった者を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
保護者とは、弱い立場にある者を保護する役割を果たす人を意味し、日常用語として使用されています。保護者は子供の親や養親を指すことが多くありますが、その役割を担っていれば祖父母や第三者であったも「保護者」と言うことができます。
親権者とは、未成年の子に対して親権を行う者を意味する法律上の言葉です。原則として父母や養父母が共同して親権者となりますが、父母が離婚をする時はいずれか一方を親権者と定めなければならなりません。親権者の死亡等で未成年者に対し親権を行う者がない場合は、未成年後見人を選任します。
つまり、保護者は父母や養父母以外でもなれますが、親権者は父母や養父母に限られます。また、保護者とは日常的に用いられる言葉ですが、親権者は法律用語として使われています。これらが二つの言葉の明確な違いになります。
保護者と親権者の英語表記の違い
保護者を英語にすると「protector」「guardian」「parent」となり、例えば上記の「保護者会」を英語にすると「parent committee」となります。
一方、親権者を英語にすると「person in parental authority」「person who has parental authority」「legal guardian」となり、例えば上記の「親権者として」を英語にすると「as a legal guardian」となります。
保護者の意味
保護者とは
保護者とは、未成年者などを保護する義務のある人を意味しています。
保護者の使い方
保護者を使った分かりやすい例としては、「小学生までは保護者のサポートが何かと必要です」「保護者との続柄の書き方がわかりません」「精神保健福祉法の改正により保護者制度が廃止になりました」などがあります。
その他にも、「PTA役員なので保護者会の案内文書を作成しています」「法律上の保護者とは誰になるのだろう」「スマホの保護者による使用制限を有効にする」「保護者による使用制限解除方法を調べています」などがあります。
保護者の定義
保護者の「保護」は、弱い者を危険などから助け守ることを表します。保護者とは、未成年者などを保護する義務のある人を意味し、子どもの親や親に代わる者を指していうことが多い言葉です。児童福祉法では、親権を行う者や未成年後見人など児童を現に監護する者を「保護者」と定義しています。
表現方法は「精神保健福祉法上の保護者制度」
上記例文にある「精神保健福祉法上の保護者制度」とは、精神障害者に必要な医療を受けさせ、財産上の保護を行うなど、患者の生活行動一般における保護の任に当たらせるために設けられた制度のことです。家族の高齢化などに伴い負担が大きくなっているなどの理由から、平成26年に廃止されました。
保護者の対義語
保護者の対義語・反対語としては、両親の間に生まれた者や親が養い育てる者を意味する「子」などがあります。
保護者の類語
保護者の類語・類義語としては、父親と母親を意味する「両親」、父と母を意味する「父母」、養子縁組みによって親となった者を意味する「養親」、養父と養母を意味する「養父母」、父と母や両親を意味する「二親」、親や両親を意味する「ペアレント」などがあります。
親権者の意味
親権者とは
親権者とは、親権を行う者を意味しています。
親権者の使い方
親権者を使った分かりやすい例としては、「市役所に親権者変更の届出を提出しました」「仕方なく親権者同意書にサインをしました」「親権者は子どもが何歳まで面倒をみなくてはいけませんか」などがあります。
その他にも、「家裁に親権者変更調停を申し立てる」「祖父母が孫の親権者になることはできますか」「未成年者の宿泊には親権者の同意書が必要です」「海外英語研修に参加するため親権者同意書をダウンロードしました」などがあります。
親権者の「親権」は、父母が未成年の子に対して有する身分上および財産上の監督保護を内容とする権利義務の総称です。親権者とは、簡単に言うと親権を行う者のことであり、原則的に父母が共同して行います。もし一方が行えないときは他の一方、また養子に対しては養親が行います。
表現方法は「親権者同意書」
親権者を用いた日本語には「親権者同意書」があります。親権者同意書とは、未成年者が契約などの法律行為を行う際に、親権者の同意を得ていることを証明する書類です。未成年者の賃貸借契約締結やエステ契約あるいはホテルの宿泊などで必要になります。
親権者の対義語
親権者の対義語・反対語としては、親がもうけた子を意味する「子供」、養子縁組みによって子となった者を意味する「養子」などがあります。
親権者の類語
親権者の類語・類義語としては、子供と生活を共にして身の回りの世話をする人を意味する「監護者」、親子や兄弟など非常に近い血縁関係にある人を意味する「肉親」、血縁の近い親族を意味する「近親」、血縁関係や婚姻関係のある人々を意味する「親族」などがあります。
保護者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、弱い立場のものを保護する人、特に少年に対して法律上監護教育の義務を有する者を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「学校教育法上の保護者」とは、子に対して親権を行う者を意味し、親権を行う者のない場合は未成年後見人と定義されています。
親権者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、未成年の子に対して親権を行う者を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある親権者と監護者の違いは、親権者は未成年者の身上監護権だけでなく財産管理権も持ちますが、監護者は身上監護権のみを有する点にあります。
保護者と親権者という言葉は、どちらも「父親や母親」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、父母や養父母だけでなく未成年を保護する者を表現したい時は「保護者」を、親権を持つ父母や養父母を表現したい時は「親権者」を使うようにしましょう。