似た意味を持つ「示唆」(読み方:しさ)と「教唆」(読み方:きょうさ)と「暗示」(読み方:あんじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「示唆」と「教唆」と「暗示」という言葉は、それとなく示すことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
示唆と教唆と暗示の違い
示唆と教唆と暗示の使い方の違い
示唆と教唆と暗示の違いを分かりやすく言うと、示唆は具体的な内容を示すことを表現する時に使い、教唆は行動を起こすよう仕向けることを表現する時に使い、暗示は物事を明確にせず示すことを表現する時に使うという違いです。
示唆と教唆と暗示の使い分け方
示唆という言葉は、「新しいプロジェクトに関する示唆を得る」「新型モデルの携帯電話の動画は新色が発売されることを示唆する内容だった」などの使い方で、それとなく知らせることを意味します。
教唆という言葉は、「教唆行為によって動いていた犯人」「先輩の話を聞いていると上司が教唆をしているようにしか思えない」などの使い方で、教えてそそのかすことを意味します。悪事や悪い行いに対して使われることがほとんどです。
暗示という言葉は、「存在が暗示されている登場人物」「未来の出来事が占いによって暗示される」などの使い方で、明確ではないものの手掛かりを与えてそれとなく知らせることを意味します。
また、「自己暗示」のような使い方では、感情や考えが言葉や絵などの間接的な手段によって無意識のうちに変化する現象を指しています。
これらのことから、教唆は示唆や暗示と違って、犯罪などの悪行に使うことがわかります。また、示唆と暗示は、より具体的な内容であるのが示唆、示唆より明確ではないものや、無意識のうちに心情変化をもたらすのが暗示です。
これらが、示唆、教唆、暗示の明確な違いです。
示唆の意味
示唆とは
示唆とは、それとなく知らせることを意味しています。
示唆の読み方
示唆は「しさ」という読み方をしますが、「じさ」という読み方をすることもあります。意味はどちらも同じです。
「米国示唆情報」の意味
示唆を使った言葉として「米国示唆情報」があります。これは「米国示唆情報」とは、アメリカの市民権、永住権、生誕地、現住所、電話番号を指す言葉です。銀行口座を開設する際にこの方法に同意しない人は、口座の開設が許されない姿勢が取られています。
表現方法は「示唆を得る」「示唆される」「示唆に富む」
示唆を使った表現として、「示唆を得る」「示唆される」「示唆に富む」「示唆深い」などがあります。「示唆に富む」と「示唆深い」は、色々なことを暗に意味しているというわけではなく、役に立つことが多くためになるといった意味になります。
示唆の使い方
示唆を使った分かりやすい例としては、「上司から示唆を得るためにタイミングを見定める」「大量のデータから示唆されるものをエクセルにまとめている」「彼氏は知識があるので一緒にいると示唆に富む」などがあります。
示唆の類語
示唆の類語・類義語としては、他のことにかこつけてそれとなく遠回しにさとすことを意味する「諷喩」、暗黙のうちに意思や考えを表すことを意味する「黙示」、物事の始まりや手掛かりを意味する「端緒」、間接的な証拠を意味する「傍証」などがあります。
教唆の意味
教唆とは
教唆とは、あることを起こすように教えてそそのかすことを意味しています。
表現方法は「教唆する」「教唆される」
「教唆する」「教唆される」などが、教唆を使った一般的な言い回しです。
教唆を使った言葉として、「教唆犯」「教唆煽動」があります。
「教唆煽動」の意味
一つ目の「教唆煽動」とは、人を教えそそのかして気持ちを煽り立てることで実際に行動を起こすように仕向けることを意味する四字熟語です。基本的に悪事を働くように仕向けることを指すため、良い意味では使われません。
「教唆犯」の意味
二つ目の「教唆犯」とは、犯罪をおかす意思のない人をそそのかして犯罪を実行させることを指します。ただし、そそのかしても教唆を受けた人が犯行を行わなければ教唆犯は成立しません。
教唆犯には、犯罪を実行した人と同じ刑罰が科せられますが、場合によっては正犯よりも重い罪が与えられることもあります。
教唆の類語
教唆の類語・類義語としては、背後にいて人を援助することを意味する「尻押し」、人に指図して悪事などを行うように仕向けることを意味する「指嗾」(読み方:しそう)、物事を早くするように急き立てることを意味する「促す」などがあります。
暗示の意味
暗示とは
暗示とは、物事を明確には示さず、手掛かりを与えてそれとなく知らせることを意味しています。その他にも、人の感情や考えが、言葉や絵などの間接的な手段によって無意識のうちに変化する現象も意味します。
表現方法は「暗示をかける」「暗示する」「暗示にかかる」
「暗示をかける」「暗示する」「暗示にかかる」などが、暗示を使った一般的な言い回しです。
暗示の使い方
暗示を使った分かりやすい例としては、「息子が勉強をちゃんとするよう暗示をかける」「将来の結婚相手がどんな人なのか暗示する夢を見た」「すぐ暗示にかかる人は騙されやすいので注意が必要である」などがあります。
暗示を使った言葉として、「暗示的看過法」「自己暗示」があります。
「暗示的看過法」の意味
一つ目の「暗示的看過法」とは、話者や作家が言うべきことを言わないと言いながらも、その話題について述べる技法のことです。
例えば、「彼が憎まれ役を買って出たことで皆が一致団結したということを、私は言うつもりはない」「金持ちな彼女が美味しいものを食べているのは言うまでもない」のように言わないと言いながらも話題を出しているような技法を指します。
「自己暗示」の意味
二つ目の「自己暗示」とは、勝利や成功などの目標達成を、心の中で自分に思い込ませることを意味する言葉です。自分で自分に、特定の意識を何度も言い聞かせて成功させるように、もしくはいつもの実力以上の成果になるように仕向けます。
暗示の類語
暗示の類語・類義語としては、言いたいことを間接的に表現する方法を意味する「引喩」、言葉などの表面に現れない深い意味や内容を意味する「含蓄」、ほのめかすことを意味する「諷示」(読み方:ふうじ)などがあります。
示唆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、それとなく知らせほのめかすことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「示唆に富む」とは、色々と教えられることが多いことを意味します。
例文3の「示唆を得る」とは、ヒントや手掛かりを得ることを意味します。
教唆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、教えてそそのかすことを意味する時などが挙げられます。
教唆は悪事悪行に対して使われる言葉であるため、示唆や暗示に置き換えて使うことはできません。
暗示の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を明確には示さないで手掛かりなどをほのめかすことを意味する時などが挙げられます。
例文2や例文3の暗示は示唆に置き換えて使うことができますが、例文1は心情に働きかけて変化を起こすという意味で使われているため置き換えることはできません。
示唆と教唆と暗示どれを使うか迷った場合は、それとなく知らせることを表す場合は「示唆」を、教えてそそのかすことを表す場合は「教唆」を、物事を明確に示さずに手掛かりをほのめかすことを表す場合は「暗示」を使うと覚えておけば間違いありません。