似た意味を持つ「創意工夫」(読み方:そういくふう)と「工夫」(読み方:くふう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「創意工夫」と「工夫」という言葉は、どちらも「よい方法を考え出すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
創意工夫と工夫の違い
創意工夫と工夫の違いを分かりやすく言うと、創意工夫とは新しいアイデアを考え出すこと、工夫とは既存のアイデアを活用することという違いです。
一つ目の創意工夫を使った分かりやすい例としては、「画期的な創意工夫で未来を豊かにしよう」「日本人は創意工夫が得意だと思いませんか」「創意工夫を凝らした快適なマイホームです」「シェフの創意工夫が詰まった料理を堪能する」などがあります。
二つ目の工夫を使った分かりやすい例としては、「巧みな工夫を凝らした作品である」「英語の発音が良くなるように工夫する」「デジタル脳にならないように工夫を講じる」「ちょっとした工夫で家事がぐんと楽になります」などがあります。
創意工夫と工夫という言葉は、どちらも物事をより良くするためや問題の解決策として、よい方法を考え出すことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
創意工夫とは、今までだれも思いつかなかったことを考え出し、それを行うためのよい方策をあれこれ考えることを意味します。創意工夫には新しいアイデアを生み出す力が必要であり、「創意工夫を凝らす」とは、既存の方法に捉われずに方策をあれこれ考えることを表します。
工夫とは、よい方法をみつけようとして考えをめぐらすこと、あれこれ思いめぐらすことを意味します。「工夫する」「工夫を凝らす」のような使い方で、既存の方法やアイデアを使って、問題を解決したり改善を図る場合に使用されることが多くあります。
つまり、創意工夫とはこれまでに無いような新しいアイデアを用いることであり、工夫とはこれまであったアイデアを利用したり活用したりすることを表現する言葉です。二つの言葉を比べると、工夫よりも創意工夫の方が、クリエイティブで独創的な意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
創意工夫を英語にすると「original idea」「ingenuity」「creative originality」となり、例えば上記の「画期的な創意工夫」を英語にすると「an innovative ingenuity.」となります。
一方、工夫を英語にすると「contrivance」「construction laborer」「device」となり、例えば上記の「巧みな工夫」を英語にすると「an ingenious device」となります。
創意工夫の意味
創意工夫とは、考えをめぐらせて新しい方法や手段を見つけ出すこと、また、その方法や手段を意味しています。
創意工夫を使った分かりやすい例としては、「節約のために創意工夫を凝らす必要がありました」「創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開する」「子供たちの英語力アップのために創意工夫を重ねてきた」などがあります。
その他にも、「技術者8人に創意工夫功労者賞が贈られました」「すぐれた創意工夫をたたえる表彰の伝達式が行われました」「製作のプロセスで様々な創意工夫を凝らすべきです」「創意工夫で新しい生活様式を生み出す」などがあります。
創意工夫とは、新しく斬新な考えでいろいろな手段を試みること、適切な方法や能率的な手段を新規に考え出すことを意味する四字熟語です。「創意」とは、新しく考え出した意見や見方、独創的な考えを意味します。
上記例文にある「創意工夫功労者賞」とは、様々な分野において、すぐれた創意工夫によって技術の改善向上に貢献した実績顕著な勤労者を文部科学大臣が表彰するものです。この表彰制度は、科学技術の振興に貢献した人材を励ます目的で昭和35年から行われています。
創意工夫の類語・類義語としては、新しいものを初めてつくり出すことを意味する「創造」、独自の考えで物事をつくり出す能力を意味する「独創性」、新奇な工夫や思い付きを意味する「アイデア」などがあります。
工夫の意味
工夫とは、よい方法や手段をみつけようとして考えをめぐらすこと、また、その方法や手段を意味しています。
その他にも、「仏道修行などに専念すること、特に禅宗で座禅に専心すること」の意味も持っています。
「工夫して計算するやり方を覚えましょう」「あの手この手で工夫を凝らす」「ちょっとした工夫を施すことで美味しくなります」などの文中で使われている工夫は、「よい方法や手段をみつけようとして考えをめぐらすこと」の意味で使われています。
一方、「姿勢を正し呼吸を整えて座禅工夫を行う」「禅宗では工夫を大事にしています」などの文中で使われている工夫は、「仏道修行などに専念すること、禅宗で座禅に専心すること」の意味で使われています。
工夫の読み方は、「くふう」の他に「こうふ」があります。「こうふ」と読むと、工事に従事する労働者という全く異なる意味になるので注意してください。
工夫とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「よい方法や手段をみつけようとして考えをめぐらすこと」の意味で用いられています。工夫の「工」は物を作り出す仕事や巧みな技を表し、「夫」は労働にたずさわる人を表す漢字です。
工夫の語源は、仏教用語に由来すると考えられています。仏教では、一心に仏道修行などに精進努力することを「工夫」と言いました。転じて、じっくりと向かい合い、あれこれと方法を考えるという意味で使われるようになりました。
工夫の類語・類義語としては、今までなかったものを新たに考え出すことを意味する「発明」、工夫して考え出すことを意味する「案出」、趣向を少し変えて工夫することを意味する「一捻り」(読み方:ひとひねり)などがあります。
創意工夫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、考えをめぐらせて新しい方法や手段を見つけ出すこと、考え出した新しい意見や見方を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、創意工夫という言葉は、日常生活からビジネスシーンまでの幅広い場面で用いられています。
工夫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いろいろ思案してよい方法を考え出すこと、あれこれと思いめぐらすこと、一心に仏道修行などに精進することを表現したい時などが挙げられます。
例文1から4にある工夫は、いろいろ思案してよい方法を考え出すことの意味で用いられています。例文5の工夫は、一心に仏道修行などに精進することの意味で使われています。
創意工夫と工夫という言葉は、どちらも「よい方法を考え出すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、新しいアイデアでよい方法を考え出すことを表現したい時は「創意工夫」を、既存のアイデアを活用してよい方法を考え出すことを表現したい時は「工夫」を使うようにしましょう。