似た意味を持つ「幸福」(読み方:こうふく)と「幸福感」(読み方:こうふくかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「幸福」と「幸福感」という言葉は、どちらも「満ち足りていて幸せなさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
幸福と幸福感の違い
幸福と幸福感の違いを分かりやすく言うと、幸福とは客観的に幸せな状態を表し、幸福感とは主観的な幸せの感覚を表すという違いです。
一つ目の幸福を使った分かりやすい例としては、「幸福の絶頂からどん底へ落とされました」「世界の人々の精神的幸福度が低下しています」「幸福という概念を科学的に解明する」「私たちは幸福を求めて生きています」などがあります。
二つ目の幸福感を使った分かりやすい例としては、「幸福感が高まると何事にも意欲的になります」「豊かな暮らしを実現するには幸福感の向上が重要です」「なぜ日本人の幸福感は低いのでしょうか」などがあります。
幸福と幸福感という言葉は、どちらも欲求などが満ち足りていて幸せな様子を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
幸福とは、満ち足りた状態にあって不平を感じないさま、不平不満がなくたのしいことを意味します。人間は生きていくなかでさまざまな欲求をもちますが、そうした欲求が満たされている状態が「幸福」です。幸福度とは、幸福の程度であり、人々の満足度を客観的に評価する指標になるものです。
幸福感とは、幸せの感覚を意味し、満ち足りているという感情を表します。幸福感は、個々人が幸福だと感じることであり、どちらかと言えば主観的な感情です。極端な例を挙げれば、周囲からは幸せに見えなくても、その人が幸福だと感じていれば「幸福感」になります。
つまり、幸福とは幸せな状態を客観的な表現として用いられることが多く、幸福感とは幸せな感覚を主観的な表現で使用されることが多い言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
幸福を英語にすると「happiness」「well‐being」「welfare」となり、例えば上記の「幸福の絶頂」を英語にすると「the peak of happiness」となります。
一方、幸福感を英語にすると「feeling of happiness」「a sense of well‐being」「euphoria」となり、例えば上記の「幸福感が高まる」を英語にすると「increase sense of happiness」となります。
幸福の意味
幸福とは、満ち足りていること、不平や不満がなくたのしいこと、幸せを意味しています。
幸福を使った分かりやすい例としては、「アリストテレスの幸福論に注目する」「四つ葉のクローバー幸福の象徴です」「幸福実現党の政策をチェックする」「世界幸福度ランキングが発表されました」などがあります。
その他にも、「利他的に生きることが幸福への近道だと思います」「SNS全盛時代の幸福論を説く」「幸福の木を室内で育てています」「カスミソウの花言葉は幸福です」「憲法は幸福追求権を保障しています」などがあります。
幸福の読み方は「こうふく」です。同じ読み方をする熟語に「降伏」「降服」などがありますが、意味が異なるため書き間違いに注意しましょう。
幸福の「幸」は訓読みで「しあわせ」と読み、その人にとって望ましいことや不満がないことを表す漢字です。運のよいことや豊かなことを表す「福」と組み合わさり、幸福とは、恵まれた状態にあって満足にたのしく感じることを意味します。
幸福を用いた日本語には「幸福追求権」があります。幸福追求権とは、すべての国民が個人として幸福を追求する権利のことです。日本国憲法第13条では、公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とするとしています。
幸福の対義語・反対語としては、幸福でないことや不幸せなことを意味する「不幸」などがあります。
幸福の類語・類義語としては、非常に幸せなことを意味する「多幸」、この上もない幸せを意味する「至福」、その人にとって望ましくありがたいことを意味する「幸い」、幸福であるさまや嬉しいさまを意味する「ハッピー」などがあります。
幸福感の意味
幸福感とは、満ち足りているという感情、幸せな感覚を意味しています。
幸福感を使った分かりやすい例としては、「幸福感を高める方法を教えてもらいました」「子どもは親に褒められると幸福感を感じるものです」「セロトニンが分泌されると幸福感が高まります」などがあります。
その他にも、「幸福感に関する心理学の論文を読む」「幸福感の尺度は人それぞれ違います」「自信家である彼の幸福感がすごい」「幸福感に包まれるような夢を見ました」「幸福感の法則を意識してより良い人生にしましょう」などがあります。
幸福感とは、心地よいとか満ち足りているという感覚であり、人によって感じ方が異なる主観的な感情です。幸福感は「ウェル・ビーイング」と呼ばれることもあり、心理学的には単に心の状態が良いことだけでなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態と定義されています。
幸福感を用いた日本語には「主観的幸福感」があります。主観的幸福感とは「主観的ウェル・ビーイング」とも呼ばれ、自己申告による幸福感の尺度を意味します。人が自分の生活について行うあらゆる評価と、自身の経験に対して示す感情的反応を含む良好な精神状態のことです。
幸福感の対義語・反対語としては、幸せでないことや幸福でないことを意味する「不幸せ」などがあります。
幸福感の類語・類義語としては、自分の思いどおりに事が運んで満ち足りた感じを意味する「満足感」、非常に幸せな感じや薬物などがもたらす過度の幸福感を意味する「多幸感」、実社会における人間関係や趣味活動を楽しんでいることを意味する「リア充」などがあります。
幸福の例文
この言葉がよく使われる場面としては、恵まれた状態にあって不平を感じないこと、満足できてたのしいことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、幸福という言葉は、プラスイメージを伴って使用されています。
幸福感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心地よいといった感情、良いことをしているという感覚を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、幸福感という言葉は、プラスイメージを伴って用いられる言葉です。
幸福と幸福感という言葉は、どちらも「満ち足りて幸せなさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、客観的に幸せな状態を表現したい時は「幸福」を、主観的な幸せの感覚を表現したい時は「幸福感」を使うようにしましょう。