似た意味を持つ「過渡期」(読み方:かとき)と「黎明期」(読み方:れいめいき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「過渡期」と「黎明期」という言葉は、どちらも時代の変化を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
過渡期と黎明期の違い
過渡期と黎明期の意味の違い
過渡期と黎明期の違いを分かりやすく言うと、過渡期とは移り変わりの途中の時期、黎明期とは新しく始まる時期という違いです。
過渡期と黎明期の使い方の違い
一つ目の過渡期を使った分かりやすい例としては、「大人への過渡期にある青年たち」「人生の過渡期の乗り越えて今がある」「テレビとネットが混在する過渡期である」「キャッシュレス時代への過渡期にある」などがあります。
二つ目の黎明期を使った分かりやすい例としては、「私たちは宇宙時代の黎明期にある」「インターネット黎明期に活躍した技術者です」「会社は黎明期を終えて成長期を迎えた」「古代マヤ文明黎明期の政治経済組織を調べる」などがあります。
過渡期と黎明期の使い分け方
過渡期と黎明期という言葉は、どちらも時代の変化を表す言葉ですが、意味や使い方は異なります。過渡期とは物事が移り変わろうとしていく途中の時期を意味し、黎明期とはある事柄が形になる前の始まりの時期を意味します。
上記の例文の「キャッシュレス時代への過渡期にある」とは、これまで紙幣や硬貨をやり取りする現金払いが一般的だったことが、クレジットカードやスマホのアプリ決済などでの支払いが一般的になる時代へと変遷している途中であることを表します。
また、「会社は黎明期を終えて成長期を迎えた」とは、その会社を興こした段階の時期から、事業を推し進めていき会社を大きくしていく段階の時期に入ったことを表します。なお、このような黎明期から成長期のような移り変わる時期を、過渡期と表現することができます。
過渡期と黎明期の英語表記の違い
過渡期を英語にすると「transit period」「transit period」となり、例えば上記の「過渡期にある」を英語にすると「in a period of transition」となります。
一方、黎明期を英語にすると「dawning of a new era」「dawn」となり、例えば上記の「宇宙時代の黎明期」を英語にすると「the dawn of the Space Age」となります。
過渡期の意味
過渡期とは
過渡期とは、古いものから新しいものへと移り変わっていく途中の時期を意味しています。
表現方法は「過渡期が終わる」「過渡期を迎える」「大人への過渡期」
「過渡期が終わる」「過渡期を迎える」「大人への過渡期」などが、過渡期を使った一般的な言い回しです。
過渡期の使い方
過渡期を使った分かりやすい例としては、「ガソリンから電気へ自動車業界は過渡期の真っ只中にいる」「政権交代過渡期の不安定な状況が続く」「今は会社が過渡期にあり忙しい状況です」「今思うとあの時が過渡期だったのだ」などがあります。
その他にも、「いま教育制度は過渡期にある」「40代はまさに人生の過渡期です」「働き方の変化は過渡期的な様相を呈している」「通信方式は過渡期を迎えている」「社会主義への過渡期が終わる」などがあります。
過渡期という言葉の「過渡」とは、 新しい状態に移っていくことや、その過程を意味します。過渡期とは、古いものから新しいものへと移り変わる中間の時期であり、物事が確立されず安定していない時期を指します。
「過渡期社会」の意味
過渡期を用いた日本語には「過渡期社会」があります。過渡期社会とは、マルクス主義理論において、資本主義から共産主義の低い段階である社会主義への革命的転化の時期を指す言葉です。
過渡期の対義語
過渡期の対義語・反対語としては、物事が落ち着いた状態にある期間を意味する「安定期」、人気や勢力などが最も盛んな状態にある時期を意味する「全盛期」などがあります。
過渡期の類語
過渡期の類語・類義語としては、物事のうつりかわる時期や変遷する時期を意味する「転換期」、企業や社会において変革が盛んに行われている時期を意味する「変革期」、物事の入れ替わりの時期を意味する「端境期」などがあります。
黎明期の意味
黎明期とは
黎明期とは、夜明けにあたる時期、新しい文化や時代などが始まろうとする時期を意味しています。
黎明期の読み方
黎明期の読み方は「れいめいき」です。誤って「そうめいき」と読んだり、「聡明期」と書き表すことがありますが、そのような読み方や言葉はありません。
表現方法は「テレビ黎明期」「インターネット黎明期」「クラウド黎明期」
「テレビ黎明期」「インターネット黎明期」「クラウド黎明期」などが、黎明期を使った一般的な言い回しです。
黎明期の使い方
黎明期を使った分かりやすい例としては、「電気自動車の黎明期に開発された一台です」「明治黎明期における住宅事情」「テレビ黎明期は低俗な番組が多かったらしい」「黎明期から次のフェーズに移る」などがあります。
その他にも、「オンラインゲーム黎明期から事業に携わっています」「クラウド黎明期と成長期を牽引したIT企業です」「新技術は黎明期から過度な期待の時期へと入りつつある」「エジプト文明の黎明期を象徴する建物です」などがあります。
黎明期という言葉の「黎明」とは、夜明けや新しい事柄が始まろうとすることを意味します。黎明期とは、ある事柄が形になる前の始まりの時期や、新しい文化や時代などが始まろうとする時期を表す言葉です。
黎明期の対義語
黎明期の対義語・反対語としては、ある物事の終わる時期を意味する「終期」、ある物事の末の時期や終わりに近い頃を意味する「末期」、ある時代や物事などの終わりの時期を意味する「晩期」などがあります。
黎明期の類語
黎明期の類語・類義語としては、物事の始まりの時期を意味する「草創期」、物事の発展する初期の段階を意味する「揺籃期」、ある物事の初めの時期や始まって間のない頃を意味する「初期」などがあります。
過渡期の例文
この言葉がよく使われる場面としては、古いものから新しいものへと移り変わる中間の時期を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「人生の過渡期」とは、精神面や生活面で変化のある時期を意味し、「人生の転換期」とも言います。過渡期を迎える」とは、変わらなければいけない時期に入ったことや、変化する時代や段階が訪れることを意味する表現です。
黎明期の例文
この言葉がよく使われる場面としては、新しい時代や文化、新しい文学や芸術の運動などが始まろうとする時期を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「インターネット黎明期」とは、パソコン通信からインターネットが普及した時期のことです。例文2にある「プロダクトライフサイクル」とは、製品が市場に投入されてから寿命を終え衰退するまでのサイクルのことであり、「黎明期」ではなく「導入期」と表現されています。
過渡期と黎明期という言葉は、どちらも時代の変化を表しますが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、古いものから新しいものへと移り変わる時期表現したい時は「過渡期」を、夜明けにあたる時期を表現したい時は「黎明期」を使うようにしましょう。