【尾行】と【追跡】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「尾行」(読み方:びこう)と「追跡」(読み方:ついせき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「尾行」と「追跡」という言葉は、どちら「特定の人のあとを追うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




尾行と追跡の違い

尾行と追跡の意味の違い

尾行と追跡の違いを分かりやすく言うと、尾行とは気付かれないようにあとを追うこと、追跡とは追いかけて捕まえることという違いです。

尾行と追跡の使い方の違い

一つ目の尾行を使った分かりやすい例としては、「尾行される理由がわかりません」「芸能人は尾行のまき方が身についています」「週刊誌がやっている尾行や盗撮が許せない」「気になる人を尾行するのはストーカー行為になりますか」などがあります。

二つ目の追跡を使った分かりやすい例としては、「荷札のバーコード情報から送った荷物を追跡する」「追跡調査への参加は任意です」「レターパックは追跡サービスを利用できます」「少年のバイクは白バイが追跡中に自損事故を起こした」などがあります。

尾行と追跡の使い分け方

尾行と追跡という言葉は、どちらも特定の人のあとを追いかける行為を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

尾行とは、相手に気づかれないように、密かにあとをつけていくことを意味します。多くは、浮気現場を押さえたり素行調査をするなど、相手の行動を探ることが目的で行われています。

追跡とは、逃げてゆく者のあとを追いかけることを意味します。事件捜査において警察が容疑者の追跡するなど、対象者を捕まえたり見つけ出したりする目的で行われることが多くあります。また、「荷物を追跡する」のような使い方で、物事をたどって調べることの意味もある言葉です。

つまり、尾行とは相手に気付かれないようにあとを追うことを表し、追跡とは逃げる者のあとを追いかけて捕まえることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

尾行と追跡の英語表記の違い

尾行を英語にすると「tail」「follow」「shadow」となり、例えば上記の「尾行される」を英語にすると「be tailed」となります。一方、追跡を英語にすると「chase」「tracking」「follow‐up」となり、例えば上記の「荷物を追跡する」を英語にすると「track the package」となります。

尾行の意味

尾行とは

尾行とは、相手の行動を探ったり監視したりするために、気付かれないようにあとをつけて行くことを意味しています。

尾行の使い方

尾行を使った分かりやすい例としては、「ナンパした女性を尾行して部屋に侵入した」「警察の尾行がバレることもあります」「尾行は法律で禁じられていないのですか」「妻に尾行されて楽しい時間を台無しにされた」などがあります。

その他にも、「なんとか尾行をまくことができた」「インターネットで尾行調査の費用の相場を調べています」「友達とふざけて英語の先生を尾行しました」「尾行された場合の正しい対処法をご存知でしょうか」などがあります。

尾行の「尾」は訓読みで「お」と読み、動物のしっぽや物事の終わりを表します。向こうへ移動することを表す「行」と結び付き、尾行とは、人のあとをつけて行くことを意味し、特に対象者に気づかれないようにこっそり後を追うことを表現します。

表現方法は「尾行をまく」

上記の例文にある「尾行をまく」とは、自分を尾行している人に、自分を見失わせること意味します。「尾行をまく」は漢字で「尾行を撒く」と書き、「撒く」は連れの者などの目をくらまし故意にはぐれることを表す漢字です。

尾行の対義語

尾行の対義語・反対語としては、逃げて身を隠すことを意味する「逃亡」、つかまらないようにあちこち逃げることを意味する「逃げ回る」などがあります。

尾行の類語

尾行の類語・類義語としては、あとをつけて行くことを意味する「追尾」、しつこくあとを追いまわすことを意味する「付け回す」、人や車などのあとを悟られないようについて行くことを意味する「跡をつける」などがあります。

追跡の意味

追跡とは

追跡とは、逃げる者のあとを追いかけることを意味しています。

その他にも、「物事の経過をたどって調べること」の意味も持っています。

追跡の使い方

「車で逃げた凶悪犯をパトカーで追跡する」「白バイの追跡から逃走していた車が川に転落した」「追跡をかわして目的地にたどり着く」などの文中で使われている追跡は、「逃げる者のあとを追いかけること」の意味で使われています。

一方、「郵便物の配送状況の確認や追跡はネット上で可能です」「クロネコヤマトの追跡番号はどこに書いてありますか」などの文中で使われている追跡は、「物事の経過をたどって調べること」の意味で使われています。

追跡とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。追跡の「追」は前に行く者のあとをおいかけること、「跡」は人や動物が歩いたあとに残る足あとを表します。

表現方法は「追跡調査」

追跡を用いた日本語には「追跡調査」があります。追跡調査とは、ある対象のその後の状態を継続的に調査することを意味します。たとえば、手術をした患者を数年後に生存確認をし、治療効果や予後を把握するなどがあります。

追跡の対義語

追跡の対義語・反対語としては、逃げ去ることを意味する「逃走」、後まで追いつかれないで逃げ終えることを意味する「逃げ切る」などがあります。

追跡の類語

追跡の類語・類義語としては、逃げまわるもののあとを追いかけることを意味する「追い回す」、先に行くものや去ってしまったものをあとから追ってついて行くことを意味する「跡を追う」、激しく追いかけることを意味する「猛追」などがあります。

尾行の例文

1.車にGPSを取り付ければ、相手を尾行することなく位置情報を把握することができます。
2.車での尾行調査は徒歩の尾行よりも難易度が高く、高度な運転テクニックが要求されます。
3.探偵業をしている友人に、尾行をまくコツを教えてもらいました。
4.たとえ精神的苦痛を感じても、法律に則って素行調査をしている探偵を訴えることはできません。
5.自分で尾行するのはバレると思ったので、浮気調査はプロに依頼することにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、相手に気づかれないように後をつけていくこと、後をつけて行動を監視することを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「尾行調査」とは、調査対象者を尾行しながら、行動を記録して証拠をつかむ行為です。おもに浮気調査や不倫調査で行われます。

追跡の例文

1.特殊詐欺事件の容疑者は、パトカーの追跡から車で逃走する際に交通事故を起こして救急搬送されました。
2.国際郵便の追跡サービスは、送り先の情勢により情報反映に時間を要することがあります。
3.レターパックの追跡方法がわからなくて、郵便局の窓口で教えてもらいました。
4.ホームページ上の検索システムに追跡番号を入力して、荷物の配送状況を確認しました。
5.30年間の年月をかけて1万人を追跡調査した結果、認知症になりやすい生活習慣が明らかになりました。

この言葉がよく使われる場面としては、逃げる者のあとを追って行くこと、物事の行なわれたあとをたどったり、理屈の筋道をたどったりすることを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある追跡は、逃げる者のあとを追って行くことの意味で用いられています。例文2から例文5の追跡は、物事の行なわれたあとをたどったり、理屈の筋道をたどったりすることの意味で使用されています。

尾行と追跡という言葉は、どちらも「ある人のあとを追うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、気付かれないようにあとを追うことを表現したい時は「尾行」を、追いかけて捕まえることを表現したい時は「追跡」を使うようにしましょう。

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