似た意味を持つ「土偶」(読み方:どぐう)と「埴輪」(読み方:はにわ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「土偶」と「埴輪」という言葉は、どちらも「人や動物の形に作った土製品」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
土偶と埴輪の違い
土偶と埴輪の意味の違い
土偶と埴輪の違いを分かりやすく言うと、土偶とは縄文時代の呪術に用いられた土製品、埴輪とは古墳時代の墳墓に並べられた土製品という違いです。
土偶と埴輪の使い方の違い
一つ目の土偶を使った分かりやすい例としては、「土偶が作られた時代に思いを馳せる」「これは埴輪ではなくて土偶です」「教科書で有名な遺跡や国宝土偶を生で観る」「縄文時代の土偶などを通して当時の暮らしを考察する」などがあります。
二つ目の埴輪を使った分かりやすい例としては、「馬の形をした動物埴輪が発掘されました」「埴輪の作り方は意外と簡単です」「東京国立博物館の埴輪展を観に行く予定です」「踊る人々の埴輪が古墳から発見されました」などがあります。
土偶と埴輪の使い分け方
土偶と埴輪という言葉は、どちらも人や動物をかたどった素焼きの土製品を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
土偶とは、縄文時代に作られた土製品であり、さまざまな形のものがありますが、ほとんどのものは女性像です。特に妊娠している女性を表すものが多く、豊作や子孫繁栄などを願う呪術的な儀式に用いられたと考えられています。
埴輪とは、古墳時代に作られた素焼きの土器であり、人や動物あるいは家などの形をしたものです。古墳の周りに並べられており、装飾や死者の魂を鎮める目的で使用されていたと考えられています。埴輪の種類は円筒埴輪と形象埴輪とに大別することができます。
つまり、土偶と埴輪の違いは、作られた時代と使用目的です。土偶は縄文時代の呪術に用いられ、埴輪は古墳時代に墳墓に並べられました。
土偶と埴輪の英語表記の違い
土偶を英語にすると「earthen figure」「clay figure」となり、例えば上記の「土偶が作られた時代」を英語にすると「the era when clay figure were made」となります。
一方、埴輪を英語にすると「clay image」「burial mound figurine」となり、例えば上記の「動物埴輪」を英語にすると「animal-shaped clay figures」となります。
土偶の意味
土偶とは
土偶とは、土をこねって作った人形を意味しています。
その他にも、「粘土を材料として焼きあげた人形」の意味も持っています。
土偶の使い方
「土偶は日本各地で作られてきた伝統工芸品です」「土偶の素朴な味わいが好きです」「土偶の作り方を動画で紹介しています」などの文中で使われている土偶は、「土をこねって作った人形」の意味で使われています。
一方、「縄文遺跡から中空土偶が出土した」「土偶と宇宙人を結びつけて考える」「土偶のイラスト入りエコバッグを買いました」などの文中で使われている土偶は、「粘土を材料として焼きあげた人形」の意味で使われています。
土偶とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。土偶の「偶」は、土などで人間の形をまねて作ったものを意味する漢字です。
表現方法は「中空土偶」
土偶を用いた日本語には「中空土偶」(読み方:ちゅうくうどぐう)があります。中空土偶とは、内部が空洞になっている土偶を意味します。現在の北海道函館市で出土した中空土偶が有名であり、1979年に重要文化財に指定され、後に国宝となりました。
土偶の類語
土偶の類語・類義語としては、 泥土や粘土で作った人形や土を焼いて作った人を意味する「土人形」(読み方:土人形)、泥をこねて固めた人形を意味する「泥人形」、粘土を焼成して作った素焼きの器物を意味する「土器」などがあります。
埴輪の意味
埴輪とは
埴輪とは、4~7世紀ごろ、古墳の上または周囲に立て並べた素焼きの土製品を意味しています。
埴輪の使い方
埴輪を使った分かりやすい例としては、「国宝に指定されている埴輪もあります」「埴輪の日は年に2回もあります」「インバウンド観光客に英語で埴輪の説明をする」「埴輪のイラスト素材を無料でダウンロードしました」などがあります。
その他にも、「埴輪にはどんな種類があるか知ってますか」「馬をかたどった埴輪が盛んに作られました」「明日は埴輪作り体験をする予定です」「ミュージアムショップで埴輪グッズを買いました」などがあります。
埴輪の「埴」はキメが細かくてねばりけのある黄赤色の土を表し、「輪」は曲げて円形にしたものを表す漢字です。埴輪とは、「土で作った輪」を意味し、古墳の墳丘上あるいは外堤などに立て並べられた素焼きの土製品を表します。
表現方法は「馬形埴輪」
埴輪を用いた日本語には「馬形埴輪」があります。馬形埴輪とは、「形象埴輪」の一つであり、馬をかたどった埴輪です。おもに五世紀以後の東日本の古墳から出土され、ほかの動物埴輪には見られない多様な装具や装飾を備えたものが多くあります。
埴輪の類語
埴輪の類語・類義語としては、土管に似た円筒形で外側に数本の突起した帯をめぐらせた埴輪を意味する「円筒埴輪」(読み方:えんとうはにわ)、家や動物をかたどった埴輪の総称を意味する「形象埴輪」(読み方:けいしょうはにわ)などがあります。
土偶の例文
この言葉がよく使われる場面としては、土で作った人形、土偶人、縄文時代の土製人物像を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「遮光器土偶」とは、縄文晩期の亀ケ岡文化にともなう土偶です。顔の輪郭を超えて大きく表現された目に特徴があります。
埴輪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、古墳の墳丘上に立て並べた素焼きの土製品を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「動物埴輪」とは、動物の形をした素焼きの土製品です。鶏、馬、猪、鹿、牛など日本列島にいた動物の多くがモチーフになっています。
土偶と埴輪という言葉は、どちらも「人や動物の形に作った土製品」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、縄文時代の呪術に使われた土製品を表現したい時は「土偶」を、古墳時代の墳墓に並べられた土製品を表現したい時は「埴輪」を使うようにしましょう。