似た意味を持つ「受刑者」(読み方:じゅけいしゃ)と「囚人」(読み方:しゅうじん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「受刑者」と「囚人」という言葉は、どちらも「刑務所に収容されている人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
受刑者と囚人の違い
受刑者と囚人の違いを分かりやすく言うと、受刑者とは法的な正式名称、囚人とは古い名称という違いです。
一つ目の受刑者を使った分かりやすい例としては、「女性受刑者に対する人権侵害が問題になっています」「受刑者の就職支援は再犯防止に繋がります」「受刑者のアート作品を販売する」「精神疾患のある受刑者は増加傾向にあります」などがあります。
二つ目の囚人を使った分かりやすい例としては、「殺人犯ら囚人10人が脱獄しました」「護送中だった囚人が反乱して船を乗っ取った」「監獄実験で看守役は囚人役に罰を与える」「囚人が独房で拷問を受けていました」などがあります。
受刑者と囚人という言葉は、どちらも法を犯して刑務所に拘禁されている者を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
受刑者とは、刑の執行を受けている者を意味し、刑務所に収容されて刑罰を受けている人々を指します。刑事収容施設法は懲役受刑者、禁錮受刑者、拘留受刑者の自由刑受刑者を総称して「受刑者」と定義しています。
囚人とは、広義では「捕らえられた人」を意味し、刑事施設に収容されている被収容者を意味する古い用語です。囚人という言葉は、昔の刑法で用いられていましたが、改正法により「囚人」という表現は廃止され、現行法令上は用いられていません。
つまり、受刑者とは刑務所に収容されている者を表現する法律上の正式名称であり、囚人とは古い言い方です。また、受刑者は執行のために刑務所に収容されている人を指しますが、囚人は受刑者だけでなく未決勾留者や死刑確定者など広範囲な意味があることも、二つの言葉の違いになります。
受刑者も囚人も英語にすると「prisoner」「convict」となり、例えば上記の「女性受刑者」を英語にすると「a female prisoner」となります。
受刑者の意味
受刑者とは、確定判決に基づいて刑の執行を受けている者を意味しています。
受刑者を使った分かりやすい例としては、「日本の刑務所に収容されている受刑者は何人ですか」「原則として受刑者にも年金が支給されます」「受刑者の職業訓練の一環として美容室を併設している」などがあります。
その他にも、「受刑者の収容先は選べません」「受刑者の生活はとても健康的です」「許可なく受刑者と面会することはできません」「受刑者の選挙権に関する意見書を提出した」「英語が話せない外国人受刑者が増えています」などがあります。
受刑者とは、文字通り「刑罰を受ける者」であり、また自由刑(懲役・禁固・拘留)の執行を受けている者を意味します。「服役囚」とも呼ばれ、死刑の言い渡しを受けて拘置されている者は「死刑確定者」と区別されることが多くなっています。
受刑者の生活は規則正しく、平日は時間ごとにスケジュールされています。懲役受刑者には強制的に作業が科され、その他の受刑者は申し出により作業につき、作業報奨金が与えられます。特定の衣料・食料・雑具などが給与され、余暇時間には各種クラブ活動も用意されています。
受刑者の対義語・反対語としては、刑務所等の刑事施設に勤務する官吏を意味する「刑務官」などがあります。
受刑者の類語・類義語としては、死刑の言い渡しを受けて拘置所に収容されている人を意味する「死刑囚」、男性の囚人を意味する「男囚」、女の囚人を意味する「女囚」、流罪の刑に処せられた人を意味する「流人」などがあります。
囚人の意味
囚人とは、獄につながれている者を意味しています。
その他にも、「刑務所や拘置所などの刑事施設に収容されている受刑者・被疑者・被告人などを意味する古い用語」の意味も持っています。
「囚人コスプレはハロウィンの定番となっています」「どうしてアメリカの囚人服は明るいオレンジ色なのだろう」「囚人のイラスト素材を無料でダウンロードする」などの文中で使われている囚人は、「獄につながれている者」の意味で使われています。
一方、「有名なギャングであったアルカポネの囚人番号を知っていますか」「投獄された囚人は名前が書かれたボードを持って写真を取ります」などの文中で使われている囚人は、「刑務所や拘置所などの刑事施設に収容されている受刑者や被告人など」の意味で使われています。
囚人の読み方は「しゅうじん」の他に「めしうど」「めしゅうど」とも読みますが、一般的には「しゅうじん」と読まれています。
囚人とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。囚人の「囚」は訓読みで「とらえる」「とらえられる」と読み、罪人をつかまえて獄に入れることを表す漢字です。
囚人を用いた日本語には「囚人のジレンマ」があります。「囚人のジレンマ」とは、ゲームの理論における重要な概念の一つです。個人の最適化を図ろうとした選択が、結果として全体の最適選択とはならないことを示唆しています。
囚人の対義語・反対語としては、他の支配や拘束を受けず自分の意志で行動できる人を意味する「自由人」、刑務所で囚人の監視や監獄事務などに携わる職員を意味する「看守」などがあります。
囚人の類語・類義語としては、有罪の判決が確定して刑の執行を受けている受刑者を意味する古い用語を意味する「既決囚」、刑が確定するまで刑事施設に拘禁されている被疑者・被告人を意味する古い用語を意味する「未決囚」などがあります。
受刑者の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自由刑の執行を受けている者を表現したい時などが挙げられます。
例文5の「元受刑者」とは、刑務所や拘置所で刑罰を受けていた人が、刑期を終えて社会に出た状態の人を指す言葉です。
囚人の例文
この言葉がよく使われる場面としては、捕らえられて獄につながれている人、法令によって刑務所に拘禁されている既決囚および未決囚を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「囚人服」とは、囚人が着用することを定められている服のことであり、「獄衣」とも言います。映画やアニメにおいての囚人服は、白と黒の縞模様でデザインされることが多くなっています。
受刑者と囚人という言葉は、どちらも「刑務所に収容されている人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、法的な正式名称で表現したい時は「受刑者」、古い名称で表現したい時は「囚人」を使うようにしましょう。