似た意味を持つ「分解」(読み方:ぶんかい)と「解体」(読み方:かいたい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「分解」と「解体」という言葉は、どちらも「ばらばらにすること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
分解と解体の違い
分解と解体の違いを分かりやすく言うと、分解とは小さなものを要素に細く分けること、解体とは大きなものをばらばらにすることという違いです。
一つ目の分解を使った分かりやすい例としては、「自分で腕時計を分解する方法を調べています」「分解図などのテクニカルイラストを描く」「分解整備記録簿をダウンロードする」「公式を使った因数分解の解き方を説明します」などがあります。
二つ目の解体を使った分かりやすい例としては、「解体工事の届出にはいくつか種類があります」「評判の良い解体業者を探しています」「自治体の補助金で家の解体をしました」「兄は解体工事施工技士として働いています」などがあります。
分解と解体という言葉は、どちらも組み立てられたものをばらばらにすることを表しますが意味や使い方には違いがあります。
分解とは、比較的小さなものを個々の部品や要素に分けることの意味で使われることが多い言葉です。「時計の分解」のような使い方で、修理や清掃の目的で、元の機能を保ったまま部品単位に分けることを表します。
解体とは、大きな建造物やなどをばらばらにすることの意味で用いられることが多い言葉です。「解体業者」とは、家屋やビルの建物などを処分する目的で取り壊し、除去して更地にする専門業者のことです。
つまり、分解とは小さなものを細く分けることを表し、解体とは大きなものをばらばらにして壊すことを表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
分解を英語にすると「disassembly」「decomposition」「analysis」となり、例えば上記の「時計を分解する」を英語にすると「disassemble a watch」となります。
一方、解体を英語にすると「dismantling」「dissolution」「dissection」となり、例えば上記の「解体工事」を英語にすると「demolition work」となります。
分解の意味
分解とは、一つに結合しているものを、要素や部分に分けること、また、分かれることを意味しています。
その他にも、「数学で、考察の対象をより簡単な対象に分けること」「化合物が、化学変化により、2種以上の単体や基礎的な化合物に分かれること」「力や速度などのベクトルで表される量を、その成分に分けること」の意味も持っています。
「菌類や細菌類は分解者です」の文中で使われている分解「一つに結合しているものを分けること」の意味で、「素因数分解のやり方を忘れてしまった」の文中で使われている分解「数学で、対象をより簡単な対象に分けること」の意味で使われています。
一方、「電気分解の反応式一覧をノートに書く」などの文中で使われている分解は「化合物が2種以上の単体に分かれること」の意味で、「分解能は高い方がより細かい計測ができます」の文中で使われている分解「ベクトルで表される量をその成分に分けること」の意味で使われています。
分解とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。分解の「分」は全体をいくつかにわけること、「解」は一つにまとまったものを解き分けることを表します。
分解を用いた日本語には「分解能」があります。分解能とは、器械や装置などで物理量を識別できる能力を意味します。望遠鏡や顕微鏡では二点間の最小距離または視角を、分光器では近接するスペクトル線を分離できる度合いを言います。
分解の対義語・反対語としては、二つ以上のものが結合して一つになることを意味する「合成」、二つ以上のものが結び合わさって一つになることを意味する「結合」などがあります。
分解の類語・類義語としては、分かれて離れることを意味する「分離」、一つのものが分かれていくつかになることを意味する「分裂」、いくつかに分けることを意味する「分割」、化合物に水が作用して起こる分解反応を意味する「加水分解」などがあります。
解体の意味
解体とは、まとまっているものや組み立ててあるものを分解すること、また、ばらばらになることを意味しています。
その他にも、「組織を壊して機能を失わせること、組織がばらばらになって機能を失うこと」「からだを解剖すること、ふわけ」の意味も持っています。
「解体工事の音に悩まされています」「腕のいい解体屋を紹介してもらう」「空き家の解体費用はどれぐらいですか」などの文中で使われている解体は、「まとまっているものを分解すること、ばらばらになること」の意味で使われています。
一方、「なぜ日本は財閥解体を進めたのですか」の文中で使われている解体は「組織をこわして機能を失わせること」の意味で、「生物の授業でカエルを解体しました」「杉田玄白の解体新書を読む」の文中で使われている解体は「からだを解剖すること」の意味で使われています。
解体とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。解体の「解」は一つにまとまったものをばらばらにすること、「体」は組み立てたまとまりのある形や組織を表す漢字です。
解体を用いた日本語には「解体新書」があります。解体新書とは、日本最初の本格的な西洋医学の翻訳書です。オランダ語訳「ターヘル・アナトミア」を前野良沢や杉田玄白らによって漢文訳したものです。本書は、蘭学が発展段階に入るきっかけとなりました。
解体の対義語・反対語としては、二つ以上のものがまとまって一つになることを意味する「合体」、組み立て築くことを意味する「構築」などがあります。
解体の類語・類義語としては、建物や組織などをやぶりこわすことを意味する「破壊」、団体組織を一定の手続きにより解消させることを意味する「解散」、事物の構成要素を細かく理論的に調べることを意味する「解析」などがあります。
分解の例文
この言葉がよく使われる場面としては、結合しているものが細かく分かれること、数学で考察の対象をより簡単な対象に分けること、ベクトルで表わされる量を座標軸方向の成分に分けること、化合物がより簡単な二種以上の化合物や単体に分かれることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「因数分解」とは、整数または整式を、いくつかの整数または整式の積の形に表わすことを意味する数学用語です。
解体の例文
この言葉がよく使われる場面としては、組織だっているものをばらばらにすること、組み立てられたものをばらばらにすること、生物体を切り開いて内部構造や死因などを調べることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「解体工事」とは、建造物の取り壊し工事を意味し、建て替えまたは新築工事をするときに在来の建物を取り壊し撤去する工事を表します。
分解と解体という言葉は、どちらも「まとまっているものをばらばらにすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、構造や仕組みを細く分けることを表現したい時は「分解」を、建造物や組織をばらばらにすることを表現したい時は「解体」を使うようにしましょう。