似た意味を持つ「荒天」(読み方:こうてん)と「悪天」(読み方:あくてん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「荒天」と「悪天」という言葉は、どちらも悪天候を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
荒天と悪天の違い
荒天と悪天の意味の違い
荒天と悪天の違いを分かりやすく言うと、荒天とは雨風が激しい荒れた天気を意味し、悪天とは雨や曇りなどの悪い天気を意味するという違いです。
荒天と悪天の使い方の違い
一つ目の荒天を使った分かりやすい例としては、「強風や荒天の場合にイベントは中止される」「荒天航行動画で転覆原因を検証する」「荒天時の係船対策を確認する」「荒天が予想されるため運行は見合わせだ」などがあります。
二つ目の悪天を使った分かりやすい例としては、「悪天にもかかわらず試合は決行された」「気象庁の悪天予想図が更新された」「悪天候時の作業中止基準を確認する」「悪天のなか航空機を操縦する」などがあります。
荒天と悪天という言葉は、空模様の状態を表す言葉で、日常生活で使ったり聞いたりする馴染みのある言葉なはずです。どちらも悪天候を意味するのですが、荒天は雨風が強い荒れた天気を意味し、悪天よりも更に天気が悪い状態を表します。悪天候のレベルの違いが、この二つの言葉の違いです。
荒天と悪天の定義の違い
荒天も悪天も、雨の量や風の強さなどの厳密な定義はありません。一般的に、荒天は台風などの注意報基準を超える風が吹き、雨または雪などを伴った状態を表しています。悪天は、注意報レベルではない程度の雨や曇りなどで、よくない天気の状態を表しています。
どちらの言葉も、天気予報では用いられません。荒天は、天気が良いことを意味する「好天」と同音のため、悪天は状況などにより意味解釈が難しいためです。荒天と悪天という言葉は通念上の概念ですが、荒天は悪天よりも悪い状態で注意報レベルを表すと理解しておけば良いでしょう。
荒天と悪天の英語表記の違い
荒天を英語にすると「stormy weather」となり、例えば上記の「強風や荒天」を英語にすると「strong winds and stormy weather」となります。一方、悪天を英語にすると「bad weather」となり、例えば上記の「悪天にもかかわらず」を英語にすると「in spite of the bad weather」となります。
荒天の意味
荒天とは
荒天とは、風雨の激しい、荒れた天気を意味しています。
表現方法は「荒天の場合は」「荒天に見舞われる」「荒天をつく」
「荒天の場合は」「荒天に見舞われる」「荒天をつく」などが、荒天を使った一般的な言い回しです。
荒天の使い方
荒天を使った分かりやすい例としては、「荒天に見舞われた週末だった」「荒天で交通機関がマヒしている」「荒天航海における注意事項を周知する」「荒天遭遇時の避難方法を調査する」などがあります。
その他にも、「荒天によるイベント中止メールがきた」「荒天下における航行不能船に対応する」「荒天のまま連休へ突入となる」「台風接近等の荒天時における緊急対応マニュアルを作成する」などがあります。
荒天の読み方
荒天とは、「こうてん」と読みます。「あらてん」「あれてん」ではないので、注意しましょう。荒天という言葉は、天気予報では用いられず「荒れた天気」と表現されます。荒れた天気とは、注意報基準を超える風が吹き、雨や雪が伴った状態を意味します。
荒天の対義語
荒天の対義語・反対語としては、よく晴れたいい天気を意味する「上天気」、空が気持ちよく晴れ渡ることを意味する「快晴」などがあります。
荒天の類語
荒天の類語・類義語としては、天候の状態が悪くなりそうな気配を意味する「荒れ模様」、激しい風を伴った雨を意味する「暴風雨」などがあります。
荒天の荒の字を使った別の言葉としては、あれはてた野原を意味する「荒野」、 荒れ果ててものさびしいことを意味する「荒涼」などがあります。
悪天の意味
悪天とは
悪天とは、よくない天気を意味しています。
表現方法は「悪天のため」「悪天候のため」「悪天の場合は」
「悪天のため」「悪天候のため」「悪天の場合は」などが、悪天を使った一般的な言い回しです。
悪天の使い方
悪天を使った分かりやすい例としては、「今年は悪天が多くて米の生育が悪い」「今日は悪天の特異日だ」「強風域や霧域などの悪天情報を参考にする」「悪天実況図の見方を習った」「これから乱気流など悪天現象が起きる予想だ」などがあります。
その他にも、「梅雨に入り、悪天が続く毎日だ」「頭痛と悪天には関係があるらしい」「悪天の場合は活動場所を変更します」「悪天を避けて登頂日を決める」「悪天時の催行判断を早めに出す」になどがあります。
悪天という言葉は、よくない天気を意味し、一般に雨天や曇り空などを表します。悪天は、意味がいろいろに解釈され誤解をまねきやすいので、天気予報では使われない言葉です。例えば、日照りの時には晴れのほうがよくない天気とも言えるからです。ただし、通常は雨や曇りの天気を表す言葉です。
悪天の対義語
悪天の対義語・反対語としては、よく晴れて何かをするのに都合のよい天気を意味する「好天」、晴れた空を意味する「晴天」などがあります。
悪天の類語
悪天の類語・類義語としては、雨天や強風など天気が良くないことを意味する「天候不良」、雨の降る天気「雨天」などがあります。
悪天の悪の字を使った別の言葉としては、人の道に外れた悪い行いを意味する「悪行」、粗末で質が悪いことを意味する「粗悪」などがあります。
荒天の例文
この言葉がよく使われる場面としては、風雨の激しい、荒れた天気を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「雨天決行、荒天中止」とは、雨が降っても中止にならないけれど、雨が降って強風が吹く荒れた天気の場合は中止になることを表します。例文2にある「荒天準備」とは、天気が良くて波が穏やかな時に、荒天になった場合の準備をしておくことです。
悪天の例文
この言葉がよく使われる場面としては、よくない天気を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある「悪天候」を簡略化した表現が「悪天」であり、「悪天」に置き換えることができます。例文5にある「悪天の特異日」とは、過去の統計から、前後の日と比べて悪天になる確率が高い日です。つまり、晴天が続く時期のなかで、雨や曇りが現れる確率が高い日を意味します。
荒天と悪天という言葉は、悪天候のレベルの違いを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合は、風雨の激しい荒れた天気を表現したい時は「荒天」を、雨や曇りなどのよくない天気を表現したい時は「悪天」を使うようにしましょう。