似た意味を持つ「魔法」(読み方:まほう)と「魔術」(読み方:まじゅつ)と「魔導」(読み方:まどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「魔法」と「魔術」と「魔導」という言葉は、超常的な現象やそれを発生させる力という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
魔法と魔術と魔導の違い
魔法と魔術と魔導の意味の違い
魔法と魔術と魔導の違いを分かりやすく言うと、魔法は現象や体系を表現する時に使い、魔術は知識や技術を表現する時に使い、魔導は学問や研究を表現する時に使うという違いです。
魔法と魔術と魔導の使い方の違い
魔法という言葉は、「魔法が使えたら怠惰な生活を送りそうだ」「彼女の手さばきはまるで魔法を見ているかのようだ」などの使い方で、人間の力ではなしえないような不思議な現象や力を意味します。
魔術という言葉は、「魔術師が居るとしたら手品師が該当すると思っている」「魔術的なことはよくわからないがまじないには絶大な効果があると信じている」などの使い方で、人の心を惑わす不思議な術を意味します。
魔導という言葉は、「あまりにも字が汚いために魔導書と言われても仕方がないと感じた」「魔導という言葉は普段生活している中ではゲームで耳にしたことがあるくらいだ」などの使い方で、魔法や魔術の研究やそれに付随する魔法や魔術を意味します。
魔法と魔術と魔導の使い分け方
魔法と魔術という言葉はどちらも神秘的な超常現象を起こすような力を表しますが、前者は不思議な現象自体やそのシステム全体を指し、後者は不思議な現象を起こす方法、それに関する知識や技術を指します。
一方の魔導という言葉も、魔法や魔術と同じように不思議な力を指す時に使われますが、魔法や魔術を導くこと、その意味が転じて魔法や魔術の研究を意味します。これら三つの言葉を表す幅が広い順に並べると、魔法≧魔導≧魔術となります。
また、「魔導士」という使われ方はしますが「魔法士」という言い方はなく、「魔法使い」という使われ方はしますが「魔導使い」という言い方はありません。
これが、魔法、魔術、魔導の違いですが、明確な定義は定められていません。
魔法の意味
魔法とは
魔法とは、人間の力ではなしえないような不思議な現象や力を意味しています。
表現方法は「魔法をかける」「魔法が解ける」「魔法を使う」
「魔法をかける」「魔法が解ける」「魔法を使う」などが、魔法を使った一般的な言い回しです。
魔法を使った言葉として、「魔法瓶」「魔法陣」があります。
「魔法瓶」の意味
一つ目の「魔法瓶」とは、保温や保冷のために使用する容器を指す言葉で、ジャーやポットと同じように使われています。また、バキュームフラスクや、商標が普通名称となりサーモスやテルモスなどとも呼ばれています。
この製品は二重構造になっており、内側のびんと外側のびんの間を真空状態にすることで熱が移動するのを防ぎ、長い時間保温や保冷ができるようになっています。
「魔法陣」の意味
二つ目の「魔法陣」とは、ファンタジー作品などにおいて紋様や文字で構成された図を指す言葉で、架空のものとされています。魔術師が召喚された悪魔などから身を守るための結界として作られる「魔法円」とは若干異なります。
魔法の対義語
魔法の対義語・反対語としては、一定の目的や方法をもとにして様々な事象を研究する学問や体系的知識を意味する「科学」、物の道理を意味する「物理」があります。
魔法の類語
魔法の類語・類義語としては、神秘的な力などに働きかけて願望を叶えようとする行為を意味する「呪術」、災いや病気などを起こしたり除いたりする術を意味する「まじない」、人間業を超えた不思議な術を意味する「神術」があります。
魔術の意味
魔術とは
魔術とは、人の心を惑わす不思議な術を意味しています。
13世紀頃、ヨーロッパ世界では魔術と科学は同じものと考えられていましたが、自然魔術というジャンルが確立しました。後に、自然魔術以外に、神的魔術や、黒魔術と区別していたため、自然魔術は白魔術と呼ばれるようになりました。
黒魔術は、他人に危害を与えるための術を指し、悪霊などに力を借りて相手を呪うようなものを言いますが、人種差別から黒と白の区別方法がなされていると考えられていることから、黒魔術や白魔術という言葉は現実で使われなくなっています。
表現方法は「魔術を極める」「魔術を使う」「魔術師」
「魔術を極める」「魔術を使う」「魔術師」などが、魔術を使った一般的な言い回しです。
「魔術的リアリズム」の意味
魔術を使った言葉として、「魔術的リアリズム」があります。これは文学や美術作品において、幻想など非現実的な出来事を現実にあるかのように再現しようとする技法を指す言葉で、「マジックリアリズム」とも言われています。
魔術の類語
魔術の類語・類義語としては、人を惑わす怪しい術を意味する「妖術」、人の目をくらますような不思議な術を意味する「幻術」、いかにも不思議なことが起こったように見せる芸を意味する「奇術」などがあります。
魔導の意味
魔導とは
魔導とは、魔法や魔術の研究を意味しています。
悪魔のようなやり方を意味する「魔道」と、仏の教えを説くことで人々に仏道に入らせる僧を指す「導師」を組み合わせて「魔導師」という言葉で使われるようになったことから、「魔導」という使い方もなされるようになったと言われています。
そのため、「魔道」という言葉と同じように使われ、魔法や魔術を使って導くことや、魔法や魔術の研究を表しています。
表現方法は「魔導書」「白魔導士」「黒魔導士」
魔導を使った表現として、「魔導書」「白魔導士」「黒魔導士」などがあります。どれも架空のファンタジー小説やゲームなどの作品にて使われている言葉で、明確な定義も作品によって異なります。
魔導の類語
魔導の類語・類義語としては、不老不死を含む医術や占星術などの中国における術を意味する「方術」があります。
魔法の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人間の力ではなしえないような不思議な現象や力を意味する時などが挙げられます。
例文2のように、一瞬で物を消すなどの人がなせる技ではないような技術や動作などを魔法と例えることもあります。
魔術の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人の心を惑わす不思議な術を意味する時などが挙げられます。
例文3のように、手品やその他技芸において、他の人にはできないような不思議な技や特技がある場合に魔術と例えられることがあります。
魔導の例文
この言葉がよく使われる場面としては、魔法や魔術の研究を意味する時などが挙げられます。
例文1の魔導士は「魔術師」と言い換えることができ、例文2の魔導書は「魔術書」と言い換えることができます。
また、例文2の魔導書は、中に何が書いてあるのか読んでも理解ができないものを例えて表現している使い方です。
魔法と魔術と魔導どれを使うか迷った場合は、現象や体系を表す場合は「魔法」を、知識や技術を表す場合は「魔術」を、学問や研究を表す場合は「魔導」を使うと覚えておけば間違いありません。