【ご足労】と【お手数】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「ご足労」(読み方:ごそくろう)と「お手数」(読み方:おてすう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ご足労」と「お手数」という言葉は、どちらも目上の人や立場が上の人に対して使う言葉であるという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使われる傾向があります。




ご足労とお手数の違い

ご足労とお手数の意味の違い

ご足労とお手数の違いを分かりやすく言うと、足を使って来てもらうことか、手を使って何かをしてもらうかの違いです。どちらも「面倒をおかけしてすみません」という意味が含まれている言葉です。

ご足労とお手数の使い分け方

ご足労とは、御足労とも書かれる言葉で、辞書には「御足労」の形で載っていることが多いものです。御足労の「御」というのは、尊敬や丁寧さを表す接頭語です。接頭語とは、言葉の先頭につく語のことを指します。

接頭語の「御」というのは、言葉を丁寧にしたい時に使うもので、例えば「御苦労さまです」、「御勘弁ください」、「御覧ください」などの「御」と同じ意味を持つものです。

ご足労とは、相手のことを敬って、その人がわざわざどこかへ出向くことを意味しています。前述のように、尊敬や丁寧の意味を持つ「御」に加えて、足に労力をかけるという風に書いて御足労という言葉は出来上がっています。

目上の人や、立場が上の人に対して、わざわざ来てもらうという場面で使われる言葉です。この言葉の前後の文章も敬語表現にするのがほとんどで、「ご足労いただき」や「ご足労をおかけして」などのように使います。

一方、お手数という言葉は、御手数とも書く言葉です。お手数という言葉で辞書に載っていることは少なく「手数」という言葉の欄に載っていることが多いです。読み方は「おてすう」または「おてかず」と読みますが、「おてすう」の方が一般的です。

お手数というのは「手数」という言葉の丁寧な言い方です。御手数の「御」というのは、御足労の「御」と同じく尊敬の意味の接頭語です。お手数とは、手数という言葉を丁寧に表現したものです。

手数というのは、何事かをするのに必要な動作や、作業の数、手間のことを指します。そのことから、お手数という言葉は、自分以外の誰かになにか手間のかかることをしてもらう際などに使う言葉です。

ご足労という言葉が、足を使ってどこかへ来てもらう、移動してもらうことを指すのに対し、お手数とは、手を動かして何かを行うことで手間のかかることをしてもらうという意味があります。

足という字が入っている場合は、足を使ってどこかに来てもらうことであり、手という字が入っている場合は、手を動かしてなにかをしてもらうことだと覚えておくようにしましょう。

ご足労の意味

ご足労とは

ご足労とは、目上の人や立場が上の人に、わざわざ足を使ってどこかへ来てもらうことを意味しています。ご足労は御足労とも書かれます。

ご足労の漢字表記

辞書で調べる場合には「御足労」という単語で載っていることが多く、丁寧な表現の言葉です。自分よりも目上の人や、立場が上の人に対して使われる言葉であり、どこか指定した場所などに来てもらうことを意味しています。

わざわざ足を向けてもらう、足を運んでもらうという意味の表現をしたい場合に「ご足労」という言葉を使います。近場であるか、遠くまで来てもらうかは関係ありません。自分よりも立場が上の人に来てもらう場合には、ご足労と使います。

表現方法は「ご足労おかけしますが」「ご足労いただけるとのこと」

「ご足労おかけしますが」「ご足労いただけるとのこと」「ご足労いただくには及びません」「ご足労ですが」などが、ご足労を使った一般的な表現方法です。

ご足労の使い方

ご足労を使った分かりやすい例としては、「ご足労おかけしますが、よろしくお願いします」「ご足労いただけるとのこと、大変恐れ入ります」「当方から御社にお伺いいたしますので、わざわざご足労いただくには及びません」などがあります。

ご足労の類語

ご足労の類語・類義語としては、来ることの尊敬語を意味する「御越し」、相手に敬意をもって呼び出すことを意味する「御呼び立て」、長い道のりを意味する「遠路遥々」(読み方:えんろはるばる)などがあります。

ご足労の「労」という字を使った言葉としては、あれこれ心配して心を使うことを意味する「心労」、精神的、肉体的に力を尽くして苦しい思いをすることを意味する「苦労」などがあります。

お手数の意味

お手数とは

お手数とは、なにか手間のかかる面倒なことをやってもらうことを意味しています。お手数とは、御手数とも書かれます。

辞書には「手数」という言葉の説明として載っているものです。お手数とは、自分以外の誰かに手間のかかることをしてもらう際などに使います。何事かをするのに必要な動作や面倒なことを手伝ってもらう場合などにも使えます。

また、なにかを手伝ってもらった場合に「お手数をおかけしました」と感謝の気持ちを込めて使ったり、なにかを手伝って欲しい場合に「お手数ですが、お願いできますか」と頼み込む意味でも使われます。

表現方法は「お手数をおかけしますが」「お手数おかけしました」「お手数ながら」

「お手数をおかけしますが」「お手数おかけしました」「お手数ながら」「お手数様です」「毎度お手数」「何かとお手数」などが、お手数を使った一般的な表現方法です。

お手数の使い方

お手数を使った分かりやすい例としては、「お手数をおかけしますがよろしくお願いします」「お手数をおかけしますが、何卒宜しくお願い申しあげます」「お手数ながら折り返しご返信を賜りたくお願い申し上げます」などがあります。

お手数の類語

お手数の類語・類義語としては、相手の苦労を労って伝えることを意味する「御苦労」、相手の面倒を労って伝えることを意味する「御面倒」、相手の時間や労力を労って伝えることを意味する「お手間」などがあります。

お手数の「数」という字を使った言葉としては、ものを言う回数や言葉数のことを意味する「口数」、経験した数のことを意味する「場数」、すべてをまとめた数を意味する「総数」などがあります。

ご足労の例文

1.とんだご足労をおかけして大変申し訳ありません。
2.ご足労ではありますが、病院に直接おいでくださいませ。
3.先生、恐縮ですが私の研究室までご足労願えますか?
4.お義母様にわざわざご足労いただくわけにはいきません、私の方から参ります。
5.結果的にご足労をおかけする形になってしまい、大変申し訳ございません。
6.ご足労をおかけすることになって恐縮ですが、一度弊社に来ていただいて直接お話ができればと存じます。
7.今日はほんとうにありがとうございました。また何度かご足労をお願いすることになるかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いします。
8.会場までご足労くださいました皆様、誠にありがとうございました。お陰様で楽しいイベントとなりました。
9.再度本社まで来ていただけるとのことで、ご足労お掛けして申し訳ございません。
10.こちらのトラブルに関しては、なんとか解決できそうなので大丈夫です。ご足労いただくには及びません。

この言葉がよく使われる場面としては、目上の人や立場が上の人にどこかへ来てもらうことを表現したい時などが挙げられます。

来てもらう場所までの距離が近いか遠いかは関係なく、敬意を表すために使われる言葉です。わざわざ来てもらう、お越しいただく、という意味をこめて「ご足労いただく」という風に使います。

「わざわざご足労をいただき」や「恐縮ですが、ご足労いただけますか」などのように、ご足労という言葉の前後も敬語表現、丁寧な言葉遣いにするものだと覚えておくようにしましょう。

お手数の例文

1.イベント準備の件ですが、お手数ではありますがご協力いただけますと幸いです。
2.お手数ですが、こちらの電話番号まで折り返しのお電話をお願いします。
3.お手数をおかけして大変恐縮ですが、これらの書類に署名捺印をお願いいたします。
4.お忙しいところ、お手数をおかけして恐縮なのですが、先日の会議資料を送っていただけますか?
5.お手数ですが問診票にご記入をいただいて、待合室でお待ちください。
6.大変お手数ですが、封書が届きましたら必要事項をご記入のうえ、同封の返信用封筒に入れて返信していただけますか。
7.お手数ですけど、これから私の研究所に来ていただけませんか?大事な話があるんです。
8.お手数ですが、ご意見等はお問い合わせのメールアドレスではなく、専用の「ご意見箱」にてお願いいたします。
9.お見積もりの件につきましては、お手数ながら折り返しご返信を賜りたくお願い申し上げます。
10.デザイン案ですが、再度修正をお願いしたいと思います。お手数ですがどうぞよろしくお願いいたします。

この言葉がよく使われる場面としては、なにか手間のかかることや、面倒なことを手伝ってもらったり、手伝って欲しかったりする時などが挙げられます。

お手数という言葉は辞書では「手数」という項目に記載されていることが多い言葉です。「お手数ですが」という表現は、手間をおかけしますが、面倒で申し訳ありませんが、というような意味を持ちます。

また、「お手数ですがご協力いただけますか」などのように、面倒であることがわかっている上で相手にお願いをする場合などにも使われます。

何かをするのに必要な動作や作業を、自分以外の誰かにしてもらうような場合に使われる言葉であると覚えておくようにしましょう。

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