似た意味を持つ「焦燥感」(読み方:しょうそうかん)と「切迫感」(読み方:せっぱくかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「焦燥感」と「切迫感」という言葉は、どちらも落ち着かない心理状態を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
焦燥感と切迫感の違い
焦燥感と切迫感の意味の違い
焦燥感と切迫感の違いを分かりやすく言うと、焦燥感とは焦る気持ちを表し、切迫感とは緊張した心持ちを表すという違いです。
焦燥感と切迫感の使い方の違い
一つ目の焦燥感を使った分かりやすい例としては、「夜になると焦燥感に駆られる」「うつ病の症状のひとつに不安焦燥感がある」「避難所では焦燥感が募っていた」「焦燥感への対処法を調べてみた」などがあります。
二つ目の切迫感を使った分かりやすい例としては、「テスト前日なのに切迫感がない」「パニック障害の症状に強い切迫感がある」「返済期限が差し迫り切迫感が高まる」「事態が悪化し人々に切迫感が広がる」などがあります。
焦燥感と切迫感の使い分け方
焦燥感と切迫感という言葉は、落ち着かない心理状態を表すマイナスイメージの言葉です。似た表現をする言葉ですが、意味は異なるので注意が必要です。焦燥感は、思うように事が運ばなくてイライラしたり焦る気持ちを意味します。切迫感は、期限や危難が差し迫って緊張する心持ちを意味します。
例えば、何かに追い詰められた時に焦りを感じるものですが、焦りとともに苛立ちを強く感じた心理状態を焦燥感と表現します。焦りとともに苛立ちではなく強い緊張感を感じた場合に、その心理状態を切迫感と表現します。
焦燥感と切迫感の英語表記の違い
焦燥感を英語にすると「sense of uneasiness」「feeling of impatience」「irritability」となり、例えば上記の「焦燥感にかられる」を英語にすると「feel impatient」となります。
一方、切迫感を英語にすると「sense of urgency」「urgent impression」となり、例えば上記の「切迫感がない」を英語にすると「lack a sense of urgency」となります。
焦燥感の意味
焦燥感とは
焦燥感とは、イライラしたり、あせる気持ちを意味しています。
表現方法は「焦燥感が募る」「焦燥感を感じる」「漠然とした焦燥感」
「焦燥感が募る」「焦燥感を感じる」「漠然とした焦燥感」などが、焦燥感を使った一般的な言い回しです。
焦燥感の使い方
焦燥感を使った分かりやすい例としては、「不安や焦燥感に駆られる」「この焦燥感の原因は何なのか」「焦燥感が強まり息苦しくなる」「焦ったりイライラしたり焦燥感を感じる」などがあります。
その他にも、「将来を考えると焦燥感に苛(さいな)まれる」「漠然とした焦燥感を感じる」「突然、焦燥感に襲われることがある」「中年期に焦燥感を感じたら人生の転機だ」「不安や焦燥感を抑える抗うつ薬を飲む」などがあります。
焦燥感の語源
焦燥とは、思うように事が運ばなくてイライラしたり、あせる気持ちを意味します。「焦燥」は「焦躁」とも書きますが、「躁」は常用外漢字のため、一般的には「焦燥」と書き表します。心の動きを意味する「感」と組み合わさり、焦燥感は苛立ちやあせる感情を表しています。
「焦燥感に駆られる」「焦燥感に苛まれる」の意味
焦燥感は思い通りに事が進まなかったり、都合よく行かなかったり、あるいは漠然とした将来の不安から芽生える落ち着かない心理状態です。上記の例の「焦燥感に駆られる」とは焦りの気持ちが沸き起こり急き立てられるさまを、「焦燥感に苛まれる」とは焦燥感で苦しむさまをと表します。
焦燥感の類語
焦燥感の類語・類義語としては、思うようにならず気持ちがたかぶることを意味する「苛立ち」、あせっていらだつことを意味する「焦慮」などがあります。
焦燥感の焦の字を使った別の言葉としては、心をいらだたせること意味する「焦心」、焦げつくように熱いことを意味する「焦熱」、危険が迫っていることを意味する「焦眉」(読み方:しょうび)などがあります。
切迫感の意味
切迫感とは
切迫感とは、期限や危難が差し迫って緊張している心持ちを意味しています。
表現方法は「切迫感を感じる」「切迫感が募る」「切迫感にかられる」
「切迫感を感じる」「切迫感が募る」「切迫感にかられる」などが、切迫感を使った一般的な言い回しです。
切迫感の使い方
切迫感を使った分かりやすい例としては、「締め切りが近くなり切迫感を感じる」「今月もノルマ達成できずに切迫感にかられる」「長雨で推移が上がり堤防決壊への切迫感が募る」などがあります。
その他にも、「緊急事態なのに切迫感がない」「切迫感のある強い口調で避難を促す」「頻尿や尿意切迫感を感じている人は多い」「お金がない切迫感が辛い」「時間的切迫感を持って仕事をする」などがあります。
切迫感の語源
切迫とは、期日などが間近に迫ること、緊張した状態になることや逃げ場のない追いつめられた状態になることを意味します。切迫感とは、期限や災難などの何かしらの事態が迫った時に感じる緊張感を表した言葉です。
「尿意切迫感」の意味
切迫感という言葉を用いた日本語には「尿意切迫感」があり、急な尿意がありトイレを我慢できない状態を意味します。尿意が差し迫り緊張した状態になるので切迫感という言葉が使われています。突発的に尿意が起こること、尿意が強いことが特徴となる症状です。
切迫感の類語
切迫感の類語・類義語としては、状況などが非常に差し迫っている感じを意味する「緊迫感」、物事が差し迫った状態になることを意味する「急迫」、今のままでは危ないという不安や緊迫感を意味する「危機感」などがあります。
切迫感の切の字を使った別の言葉としては、心に強く迫るさまを意味する「切切」、心に強く感じるさまを意味する「切実」、心から強く望むことを意味する「切望」などがあります。
焦燥感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、イライラしたり、あせる気持ちを表現したい時などが挙げられます。
例文1では、思うように事が運ばないことにより感じる苛立ちを、焦燥感と表しています。例文2は、将来への漠然とした不安から焦燥感を感じているさまを述べています。例文5にある「焦燥感が募る」とは、焦る気持ちがますます激しくなる様子を意味します。
切迫感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、期限や危難が差し迫って緊張している心持ちを表現したい時などが挙げられます。
例文1では、期限を意識して緊張感を持って仕事をするように、というプレッシャーをかける意味で切迫感が使われています。例文4にある「切迫感にかられる」とは、追い詰められた気持ちが沸き立つさまを表します。「かられる」は漢字で「駆られる」と書きます。
焦燥感と切迫感という言葉は、どちらも落ち着かない心理状態を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、イライラしたり焦る気持ちを表現したい時は「焦燥感」を、追い詰められて緊張した心持ちを表現したい時は「切迫感」を使うようにしましょう。