似た意味を持つ「共有」(読み方:きょうゆう)と「共用」(読み方:きょうよう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「共有」と「共用」という言葉は、どちらも複数人で共同にという意味を含むという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
共有と共用の違い
共有と共用の意味の違い
共有と共用の違いを分かりやすく言うと、一つの物を二人以上が一緒に持つことか、一緒に使うことかの違いです。ここで言うところの一緒に持つというのは、所有するという意味です。
共有は一つのものを複数人で所有すること
共有とは、「共同所有」という言葉の略称でもあります。一つの物や財産、資産などを共同所有することを共有すると表現します。共有の「有」という字は、持っている、備えているという意味を持つ漢字で、共有とは、一緒に持っているという意味です。
共有という言葉を使う場合には、財産を共有したりする他にも「秘密を共有する」「情報を共有する」などの表現で使用することが出来ます。実際に形ある物ではなくても、知識として共に持ったり抱えたりすることが出来る場合には「共有」と表現します。
共用は一つのものを複数人で使用すること
一方の共用というのは、専用という言葉の反対語です。一つの物を複数の人で一緒に使うことを共用と言います。または、一つの物が二つ以上の物に共通して使用できる場合に、その物を共用できると表現したりします。
例えば、公共の場にあるトイレなどは共用トイレであると言えますし、ビジネスシーンなどではプリンターなどの機器は社内で共用されている場合が多いものです。学校の部活などでも、体育館がバレーボール部とバスケットボール部の共用だったりします。
または、道具や部品に対して共用という言葉を使う場合には「部品を共用する」などのように表現されたりします。これは、特定の物に対してだけでなく、複数の物に対して使える部品であることを表しているものです。
共有と共用のどちらを使ったら良いか迷った場合には、その物が、複数人で共同所有しているものなのか、それとも専用の反対語として成り立つものなのかを考えてみると分かりやすくなります。
共有と共用の英語表記の違い
共有を英語表記で表すと「share」となり、例えば上記の「情報の共有」を英語にすると「Information sharing」となります。
一方、共用を英語表記で表すと「shared」となり、例えば上記の「共用サーバー」を英語にすると「Shared server」となります。
共有の意味
共有とは
共有とは、一つの物を二人以上が一緒に持つことを意味しています。また、一つの財産や資産を二人以上の人が一緒に所有することも共有と言います。これは、その物の所有権を持つ人が複数いるという状態を指しています。
その他にも、ネットワーク用語としても共有という言葉はよく使用されるものです。
「共有ファイル」「共有フォルダ」の意味
例えば、ビジネスの場などでは「共有ファイル」や「共有フォルダ」という言葉がよく使われます。
会社などの組織において、コンピューター上で共有された機器やファイル、フォルダなどは、会社にあるどのコンピューターからも、自分のコンピューターと同じように使うことが出来ます。
それらは「共有ファイル」「共有フォルダ」などの名称で呼ばれていて、会社のコンピューター上で、許可された人同士が一緒に使うことが出来るファイルやフォルダのことを意味しています。
共有の語源
共有の「共」という字は、一緒に、共に、という意味を持つ言葉です。また、複数を意味する言葉であるとも言えます。共という漢字の成り立ちは、大きな物を両手で掲げている様子を示したものです。
そこから、両手で物をそなえたり、両方の手で一緒に何かをすることを示す漢字となりました。共という字は、文脈によっては謙遜の意味も含みます。それは上記の「物をそなえる」という意味からきているものです。
共有の「有」という字は、存在する、持っている、備えているという意味を持つ言葉です。この漢字に「共」という字を合わせることで、共有とは、何かを「一緒に持っている」という意味の言葉になります。
表現方法は「共有する」「気持ちを共有」「情報共有」
「共有する」「気持ちを共有」「情報共有」「共有物」などが、共有を使った一般的な言い回しです。
共有の使い方
共有を使った分かりやすい例としては、「他の人と画像共有をするソフトを作った」「試合で勝つには気持ちを共有することが大切」「情報の共有化を図ることがこの組織の課題だ」「文書の共有性を確立する取り組みをしている」などがあります。
共有の対義語
共有の対義語・反対語としては、1人だけで所有することを意味する「専有」があります。
共有の類語
共有の類語・類義語としては、負担を分けることを意味する「分担」、複数のものに当てはまることを意味する「共通」、分けることを意味する「シェア」などがあります。
共有の「有」という字を使った単語としては、公共のものでなく個人が所有していることを意味する「私有」、自分のものとして持っていることを意味する「保有」、成分や内容の一部として含みもつことを意味する「含有」などがあります。
共用の意味
共用とは
共用とは、一つの物を二人以上が共同で使うことを意味しています。また、その物が二種類以上の物に対して共通で使えることについても共用という言葉で表現します。共用の反対語が「専用」であることを考えると、その意味が分かりやすくなります。
共用の「用」という字は、使う、役立てる、または物の働きという意味を持つ漢字です。つまり、共用というのは、何かを「一緒に使う」「一緒に役立てる」という意味を持つ言葉であると言えます。
例えば、マンションなどに住んでいる場合には、廊下やエレベーターなどは住人が一緒に使用するための設備です。これは「共用廊下」や「共用のエレベーター」などと表現されたりします。
他にも、大型の設備や施設は共用のものとして使用されていることが多くあります。「この焼却炉は東京都、神奈川県、埼玉県の共用です」というように、大型の施設などを二つ以上の県が一緒に使っている場合にも共用と表現することが出来ます。
また、共用という言葉は、その物が二種類以上の物に対して共通で使える場合にも使われます。
例えば「このネジは本棚と靴箱に共用できる」などのように表現されます。これは、ネジが本棚にも靴箱にも合う設計になっていて、どちらにも使用できるという意味です。
表現方法は「共用使用」「共用利用」「共用部品」
「共用使用」「共用利用」「共用部品」「共用施設」「共用する」などが、共用を使った一般的な言い回しです。
共用の使い方
共用を使った分かりやすい例としては、「バスタオルを夫婦で共用する家庭も多い」「サーバーには共用サーバーと専用サーバーがある」「このマンションには住人が使える共用施設がある」「共用部分の管理費も家賃に含まれている」などがあります。
共用の対義語
対義語・反対語が専用であることを想像すると、その意味が分かりやすくなります。道具などが何かの物に対して専用でない場合、共用であると表現することが出来るということです。
共用の類語
共用の類語・類義語としては、社会一般的なことを意味する「公共」、2人以上の人が分け合うことを意味する「分かち合い」などがあります。
共用の「用」という字を使った単語としては、勤務する会社などの用務のことを意味する「公用」、原理や知識を実際の事柄に当てはめて用いることを意味する「応用」、来客のために備えておくことを意味する「客用」などがあります。
共有の例文
この言葉がよく使われる場面としては、なにか一つの物を複数の人で一緒に持っていることを表す時などが挙げられます。共有というのは、共同所有しているという状態のことを意味しています。
ビジネスシーンなどでも「資料を共有する」「情報共有する」などの表現で使用されたりします。これは一つの資料に対して、複数の人がその資料の持つ情報を把握することを「共有する」という言葉で表現しているものです。
一つの物に対して、複数の人が「持つ」「所有する」状態にあることを「共有」と表現するのだと覚えておくようにしましょう。
共用の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一つの物を複数の人が一緒に使うことを表現したい時などが挙げられます。または、一つの製品が複数の製品に共通して使えることを示す時などにも使われる表現です。
共有の反対語が「専用」であることを考えると、その意味が明確に分かりやすくなります。専用でない場合は、そのほとんどが共用であると言うことが出来ます。例えば、政治関係者しか乗る事の出来ない飛行機を「政府専用機」と呼びます。
それに対する形で考えると、一般の飛行機は民間の共用機であると表現することが出来ます。また、もっと細かく考えると、政府専用機についても、複数の政治関係者の共用機であると表現することも出来ます。
物や施設、設備などを複数の人で一緒に使うこと、複数の物に共通して使える部品などのことを「共用」と呼ぶのだと覚えておくようにしましょう。