【要請】と【要望】と【要求】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「要請」(読み方:ようせい)と「要望」(読み方:ようぼう)と「要求」(読み方:ようきゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「要請」と「要望」と「要求」という言葉は、相手に求めることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




要請と要望と要求の違い

要請と要望と要求の意味の違い

要請と要望と要求の違いを分かりやすく言うと、要請は他にお願いをする時に使い、要望は自身の希望を主張する時に使い、要求は当然の権利を主張する時に使うという違いです。

要請と要望と要求の使い分け方

要請という言葉は、「国からの休業要請」「補助金の要請」などの使い方で、他に対してお願いする場合に使われます。そのため、「要請を掲げる」という使い方をすることはできません。

要望という言葉は、「ご要望は何かございますか」「歩道の拡張を要望する」などの使い方で、実現を求める希望を表す場合に使われます。しかし「借金の返済を要望する」という表現では、借金を返されることが当然の権利であるため後述の「要求」を使います。

要求という言葉は、「国民が要求することは聞くべきだ」「体が温もりを要求している」などの使い方で、当然の権利であるとして求める場合に使われます。そのため「生徒会長に就任することを要求する」という使い方をすることはできません。

また、要求を使った例文の二つ目は、体そのものが独りでに欲しいという主張をするわけではなく、必要としていることを表すために使います。そのため、この例文は寒すぎるために温もりがほしいということを意味する使い方です。

このように、要請、要望、要求の三つの言葉は明確に使い分けられています。

要請の意味

要請とは

要請とは、必要なものとして強く願い求めることを意味しています。

要請の読み方

要請は「ようせい」という読み方をしますが、「ようじょう」などの読み方はなく、「妖精」という漢字でメッセージなどの文章を書き間違う人も多いため注意しましょう。

表現方法は「要請する」「要請される」「要請を受ける」

「要請する」「要請される」「要請を受ける」「要請があった」などが、要請を使った一般的な言い回しです。

要請の使い方

要請を使った分かりやすい例としては、「自粛を要請するのであれば補償もセットで」「組合より要請を受けて社内調査を独自で行っている」「メインの取引先から受注の減額要請がありました」などがあります。

要請を使った言葉として、「要請訪問」「要請限度」があります。

「要請訪問」の意味

一つ目の「要請訪問」とは、学校や他の教育機関の要請に応じて、指導主事と呼ばれる都道府県や市町村の教育委員会におかれる専門的な役職である人が、実際に教育現場を訪問し、研修や委員会などで指導や助言を行うことを指します。

「要請限度」の意味

二つ目の「要請限度」とは、法律において騒音や振動を低減するために、管理者などに意見を述べて、公安委員会に対して要請ができるという基準となる値を意味する言葉です。

要請の対義語

要請の対義語・反対語としては、相手からの提案や申し入れなどを受け入れることを意味する「受諾」があります。

要請の類語

要請の類語・類義語としては、物事の実行を促すことを意味する「督促」、自分が希望する時につける条件を意味する「注文」、国が国民から物品を強制的に取り立てることを意味する「徴用」、一つのことに集中して励むことを意味する「精進」などがあります。

要請の請の字を使った別の言葉としては、目上の人などに願い出ることを意味する「請願」、無理に頼むことを意味する「強請」(読み方:きょうせい)、希望や要望を願い出ることを意味する「申請」、頼んで来てもらうことを意味する「招請」などがあります。

要望の意味

要望とは

要望とは、物事の実現を強く求めることを意味しています。

表現方法は「要望を受ける」「要望する」「要望を出す」

「要望を受ける」「要望する」「要望を出す」「要望がある」「要望に応える」などが、要望を使った一般的な言い回しです。

要望の使い方

要望を使った分かりやすい例としては、「フリマアプリで返品の要望を受けた」「本件につきましてはメールにてご意見ご要望を受け付けています」「上層部で検討した結果、社員からの要望に応えることになった」などがあります。

「要望苦情相談」の意味

要望を使った言葉として、「要望苦情相談」があります。警察への110番通報のうち、警察による緊急な対応を必要としないような要望、苦情や相談をするための番号を指す言葉です。

事件や事故など以外での生活上の要望や相談は、警察総合相談電話番号に相談することが出来ますが、一般的な110番とはやや異なるため、緊急性のない場合は安易に110番に掛けるのではなく、ネット上で調べてから然るべき場所に連絡しましょう。

要望の類語

要望の類語・類義語としては、願い望むことを意味する「願望」、自分はこうしたいと望むことを意味する「志望」、心を込めてひたすら頼むことを意味する「懇請」、不足を感じてそれを満たそうと強く望むことを意味する「欲望」などがあります。

要望の望の字を使った別の言葉としては、望んでいた以上に良い結果であることを意味する「望外」、心から望むことを意味する「渇望」、期待外れでがっかりすることを意味する「失望」、うらやむことを意味する「羨望」(読み方:せんぼう)などがあります。

要求の意味

要求とは

要求とは、必要もしくは当然なこととして相手に強く求めることを意味しています。その他にも、必要とすることという意味もあります。

表現方法は「要求する」「要求に応える」「要求を満たす」

「要求する」「要求に応える」「要求を満たす」などが、要求を使った一般的な言い回しです。

要求の使い方

要求を使った分かりやすい例としては、「子供からお小遣いアップを強く要求されている」「この工数では顧客の要求を満たすシステムは作れない」「社会からの要求に応える形でスポンサーに名乗りを上げた」などがあります。

要求を使った言葉として、「要求固執」「要求分析」があります。

「要求固執」の意味

一つ目の「要求固執」とは、心理学における投影法でわかる検査結果のひとつのタイプを指します。日常的に遭遇する欲求不満の場面が絵で描かれたカードを見て、どういう反応をするのかを見る「PFスタディ」と呼ばれる心理テストです。

カードには二人の人物が描かれており、左側の人物はもう一人がフラストレーションを感じるような言動をしており、そのフラストレーションを感じている人物の吹き出しは空欄になっています。検査を行っている人は、右側の人物が何を言っているのかを考えます。

要求固執型の場合は、棚に足をぶつけてしまった際に棚の上に乗っていた料理皿をひっくり返してしまって相手に謝罪しているというシチュエーションで、「弁償しろ」「作り直せ」「作り直すから構わない」など、問題の解決にこだわるタイプです。

「要求分析」の意味

二つ目の「要求分析」とは、システムやソフトを開発する初期の段階で、利用する人がそのシステムに対して何を求めているのかを明確にしていく工程を指す、ITの分野で使われる言葉です。

万が一要求がない場合は、過去の製品に対する市場の声、その製品の問題点や課題点から要求を創造するところから始めます。

要求の対義語

要求の対義語・反対語としては、質問や要求などに答えることを意味する「回答」、相手の頼みや要求を拒むことを意味する「拒絶」、要求や提案を聞き入れないで断ることを意味する「拒否」があります。

要求の類語

要求の類語・類義語としては、物事を早くするように促すことを意味する「催促」、自分の意見などを強く言い張ることを意味する「主張」、人に用件を頼むことを意味する「依頼」、ある行為をするように相手方に求めることを意味する「請求」などがあります。

要求の求の字を使った別の言葉としては、異性に対し愛情を求めることを意味する「求愛」、職を探し求めることを意味する「求職」、強く願い求めることを意味する「希求」、強く欲しがって求めることを意味する「欲求」などがあります。

要請の例文

1.公園の遊具の修理要請を自治体に出したが、いつ修理されるのかは不明だ。
2.より多くの物資を要請して今後に備えたいと思う。
3.親会社からの協力要請を受けて、今月いっぱいは出向している。

この言葉がよく使われる場面としては、他に何かを願い求めることを意味する時などが挙げられます。

どの例文も、要請という言葉を要望や要求に置き換えて使うことができますが、他に対する願い出という意味を強く出すのであれば、要請を使うのが好ましいです。

要望の例文

1.今日は子どもたちの要望に応えて、ハンバーグを作る。
2.街の人々からの要望で改善されてきたことも多くある。
3.ご意見、ご要望ございましたらお気軽にお申し付けください。

この言葉がよく使われる場面としては、実現させたい希望を主張し求めることを意味する時などが挙げられます。

例文1の「要望に応える」とは、相手の希望に沿うことを意味する言葉です。

要求の例文

1.自分の要求などを相手に伝えるために、簡潔でわかりやすい話し方を心掛けている。
2.パスワードを要求されたが設定したパスワードを忘れてしまった。
3.顧客の要求を聞いて、次に生かしていきたい。

この言葉がよく使われる場面としては、当然の権利として求めることを意味する時などが挙げられます。

例文2は、自身の個人情報が登録されているサイトにログインなどをする際はパスワードが必要になりますが、家の鍵と同じように鍵を開けてから中に入るのは当然のことですので、ここでは要求という言葉を使います。

要請と要望と要求どれを使うか迷った場合は、他に願い求める場合は「要請」を、自身の希望を求める場合は「要望」を、当然の権利として求めるを表す場合は「要求」を使うと覚えておけば間違いありません。

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