似た意味を持つ「無頓着」(読み方:むとんちゃく)と「無関心」(読み方:むかんしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無頓着」と「無関心」という言葉は、どちらも注意を向けないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
無頓着と無関心の違い
無頓着と無関心の意味の違い
無頓着と無関心の違いを分かりやすく言うと、無頓着とは物事に対してこだわらないことを表し、無関心とは物事や人に対して関心を持たないことを表すという違いです。
無頓着と無関心の使い方の違い
一つ目の無頓着を使った分かりやすい例としては、「父は些細な事には無頓着だ」「歴史に無頓着な日本人」「隣人の無頓着さが気になる」「何事にも無頓着な性格を直したい」「彼女は服装に無頓着だ」などがあります。
二つ目の無関心を使った分かりやすい例としては、「環境問題に無関心な人は多い」「日本人は他国に対して無関心と言われてる」「祖父母は教育に無関心だ」「他人に無関心な人が増えている」などがあります。
無頓着と無関心の使い分け方
無頓着と無関心という言葉は、どちらも物事に対して注意を向けないことを表す言葉ですが、意味は微妙に異なり、使い分ける必要があります。無頓着は関心を持たないことを意味しますが、こだわらないという意味も含みます。無関心は関心をもたないことを意味し、こだわらないの意味はありません。
上記の例の「服装に無頓着だ」とは、服装に対してこだわりが無い、どんな服でも構わないということを意味します。これが「服装に無関心だ」になると、服装に対して単に興味や関心を抱かないことを意味します。
また、二つの言葉は使い方にも違いがあります。無頓着は身なりやお金などの物事に対して使いますが、「他人に無頓着だ」など人に対しては使いません。一方の無関心は、物事だけでなく人に対しても使い、「他人に無関心だ」と表現することができます。
無頓着は物事に対してこだわらないこと表し、一方の無関心は物事や人に対して関心を持たないことを表すことが、この二つの言葉の違いになります。
無頓着と無関心の英語表記の違い
無頓着も無関心も英語にすると「indifference」「unconcerned」「nonchalance」となり、例えば上記の「些細なことには無頓着」を英語にすると「indifferent about trifles」となります。
無頓着の意味
無頓着とは
無頓着とは、少しも気にかけないことを意味しています。
表現方法は「お金に無頓着」「無頓着な人」「無頓着になる」
「お金に無頓着」「無頓着な人」「無頓着になる」などが、無頓着を使った一般的な言い回しです。
無頓着の使い方
無頓着を使った分かりやすい例としては、「彼女は美容に無頓着なのに美しい」「彼は何事にも無頓着で無神経なところがある」「対人関係には無頓着な研究者タイプだ」「時には無頓着さも必要だ」などがあります。
その他にも、「母はお金に無頓着な人だった」「服装に無頓着な旦那にお洒落させたい」「昔の人は歯並びに無頓着だった」「食に無頓着なので毎食同じようなメニューだ」「人の気持ちに無頓着でトラブルになる」などがあります。
無頓着の読み方
無頓着は「むとんちゃく」のほかに「むとんじゃく」とも読みますが、一般に「むとんちゃく」と読まれています。
無頓着の語源
無頓着という言葉の「頓着」とは、もとは「貪着」という仏教用語を語源とし、むさぼり求めて執着することや物事にとらわれる意味します。無頓着は頓着を打ち消した言葉であり、物事を気にしないこと、こだわらないことを意味します。
仏教の世界では、無頓着という言葉は、物事に執着せず無欲で美しい心を表すプラスイメージの言葉です。しかし、日常会話では「服装に無頓着」のように、感覚が鈍くて恥や外聞を気にしないことを表すマイナスなイメージになります。一般的には悪い意味で使われていることに注意しましょう。
無頓着の対義語
無頓着の対義語・反対語としては、深く気にかけてこだわることを意味する「頓着」、一つのことに心をとらわれることを意味する「執着」、自分の意見を主張して譲らないことを意味する「固執」などがあります。
無頓着の類語
無頓着の類語・類義語としては、感覚がまひして何も感じなくなった状態を意味する「無感覚」、恥や他人の気持ちなどを気にしないことを意味する「無神経」などがあります。
無頓着の頓の字を使った別の言葉としては、きちんとかたづけることを意味する「整頓」、軍隊がある土地にとどまることを意味する「駐屯」などがあります。
無関心の意味
無関心とは
無関心とは、関心がないこと、興味を持たないことを意味しています。
表現方法は「他人に無関心」「自分に無関心」「無関心な人」
「他人に無関心」「自分に無関心」「無関心な人」などが、無関心を使った一般的な言い回しです。
無関心の使い方
無関心を使った分かりやすい例としては、「子どもに無関心な親も過干渉の親も問題だ」「無関心という名の虐待だろう」「政治に無関心な国民性だ」「無関心は無責任とも言える」などがあります。
その他にも、「自分に無関心な彼を振り向かせたい」「周囲に対して無関心すぎる」「無関心な人と優しい人は表裏一体だ」「無関心の反対は愛なのだ」「周囲に無関心にならず思いやりを持とう」などがあります。
無関心という言葉の「関心」とは、ある物事に特に心を引かれ注意を向けることを意味します。関心に、打消しの意を持つ「無」が組み合わさり、無関心は他人や周囲、社会などに対して関心をもたないことを表します。
マザーテレサの無関心
無関心を用いた名言に「愛の反対は憎しみではなく無関心である」があります。これはノーベル平和賞を受賞したマザーテレサの言葉であり、貧困と病気で苦しんでいる人々に手を差出しのべることが愛であり、苦しんでいる人々に対して無関心でいることは愛の対極にあると説きました。
無関心の対義語
無関心の対義語・反対語としては、ある物事に特に心を引かれ注意を向けることを意味する「関心」、ある対象に対する特別の関心を意味する「興味」、未知のことなどに興味をもつ心を意味する「好奇心」などがあります。
無関心の類語
無関心の類語・類義語としては、何をする気力もないことを意味する無気力、熱意に欠けることを意味する「不熱心」などがあります。
無関心の関の字を使った別の言葉としては、二つ以上の物事が互いにかかわり合うことを意味する「関係」、あることに関係したことについて知っていることを意味する「関知」などがあります。
無頓着の例文
この言葉がよく使われる場面としては、少しも気にかけないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「無頓着な性格」とは、物事に少しも気にかけない、物事にこだわらない気質のことを意味します。悪く言えば気配りができない、良く言えばおおらかな性格とも言えます。例文3にある「無頓着さ」は形容動詞「無頓着だ」が、接尾語「さ」により体言化した形です。
無関心の例文
この言葉がよく使われる場面としては、関心がないこと、興味を持たないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にあるように、無関心という言葉は物事だけでなく人に対しても関心や興味を持たないことを表します。例文5にある「無関心圏」とは組織論で用いられる用語で、無意識に命令を受け入れる範囲のことを意味します。
無頓着と無関心という言葉は、どちらも注意を向けないことを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事に対してこだわらないことを表現したい時は「無頓着」を、物事や人に対して関心を持たないことを表現したい時は「無関心」を使うようにしましょう。