【借りてきた猫】と【猫をかぶる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「借りてきた猫」(読み方:かりてきたねこ)と「猫をかぶる」(読み方:ねこをかぶる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」という言葉は、どちらも大人しくなることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違い

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の意味の違い

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の違いを分かりやすく言うと、「借りてきた猫」とは無意識に大人しくなること、「猫をかぶる」と意図的に大人しくなることはという違いです。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の使い方の違い

一つ目の「借りてきた猫」を使った分かりやすい例としては、「今日の弟は借りてきた猫のように大人しい」「好きな人の前では借りてきた猫のようになってしまう」「人見知りなので知らない人が多いと借りてきた猫のようになる」などがあります。

二つ目の「猫をかぶる」を使った分かりやすい例としては、「彼女は入社当時は猫をかぶって淑やかそうでした」「あの女は普段うるさいのにイケメンの前だと猫をかぶる」「猫をかぶる女性に騙されてはいけません」などがあります。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の使い分け方

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」はどちらも大人しくなることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「借りてきた猫」は普段と違って非常に大人しいことを意味しており、無意識に大人しくなる場合に使います。一方、「猫をかぶる」は上辺を大人しく見せかけることを意味しており、意図的に大人しくなる場合に使うというのが違いです。

分かりやすい例を挙げると、合コンや宴会などでいつもうるさくて元気な人が、緊張などから無意識に大人しくなってしまう場合は「猫をかぶる」を使い、自分を可愛く見せようとして意識的に大人しくなる場合は「猫をかぶる」を使います。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」の英語表記の違い

「借りてきた猫」を直訳した英語はありませんが、近い表現としていつもより大人しいことを意味する「much quieter than usual」があります。例えば、「彼女は借りてきた猫のように大人しい」を英語にすると、「She’s much quieter than usual」となります。

一方、「猫をかぶる」を直訳した英語はありませんが、近い表現として「fake」「hypocrite」などがあります。例えば「彼女は猫をかぶっている」を英語にすると「She plays the hypocrite 」となります。

「借りてきた猫」の意味

「借りてきた猫」とは

「借りてきた猫」とは、普段と違って非常に大人しいことを意味しています。

表現方法は「借りてきた猫のよう」「借りてきた猫みたい」

「借りてきた猫のよう」「借りてきた猫みたい」などが、「借りてきた猫」を使った一般的な言い回しになります。

「借りてきた猫」の使い方

「借りてきた猫」を使った分かりやすい例としては、「いつも威張り散らしている先輩が取締役の前に借りてきた猫のようです」「妹はイケメンの友人の前だと借りてきた猫みたいに大人しくなります」などがあります。

「借りてきた猫」は普段と違って非常に大人しいことを意味しており、いつもはうるさいのに、ある状況に置かれると無意識に静かになってしまう場合に使うことわざです。

「借りてきた猫」の語源

「借りてきた猫」の語源は猫の習性です。猫は環境の変化を嫌う動物で、家では我が物顔に振る舞う猫も、自分のなわばり以外では大人しくなってしまいます。これが転じて、普段と違って非常に大人しいを「借りてきた猫」と言うようになりました。

また、日本の歴史における猫の扱いが語源という説もあります。江戸時代の日本では、自宅をネズミが荒らすので、他の家から猫を借りてネズミを駆除しようとする習慣がありました。しかし、借りてきた猫は全く仕事をせず大人しいことが多かったそうです。

このように、普段から猫の貸し借りが行われていることが、「借りてきた猫」の語源に繋がったとも言われています。

「借りてきた猫」自体に大人しいという意味がありますが、「借りてきた猫のように大人しい」「借りてきた猫のように静だ」などの表現が多く見られます。厳密には重言ですが、慣習的に許容されているので、使っても問題ない表現になっています。

「借りてきた猫」を使う上で注意しなければならないのは、普段大人しい人には使えないという点です。あくまでも、普段とは違い大人しい場合に使う言葉と覚えておきましょう。

「借りてきた猫」の類語

「借りてきた猫」の類語・類義語としては、家の中ではいばりちらすが外では意気地のないことを意味する「内弁慶」があります。

「猫をかぶる」の意味

「猫をかぶる」とは

「猫をかぶる」とは、上辺を大人しく見せかけることを意味しています。

表現方法は「猫をかぶる女」「猫をかぶる人」

「猫をかぶる女」「猫をかぶる人」などが、「猫をかぶる」を使った一般的な言い回しになります。

「猫をかぶる」の使い方

「猫をかぶる」を使った分かりやすい例としては、「猫をかぶる女に騙される男は多い」「猫をかぶる女は平気で嘘をつけるのが恐ろしい」「好きな男性の前では猫をかぶる女性は多い」「猫をかぶる態度を取り続けると同性から嫌われやすい」などがあります。

「猫をかぶる」は上辺を大人しく見せかけることを意味しており、いつもはうるさいのにある状況に置いて、意図的に大人しくなる場合に使うことわざです。また、主に女性に対して使うというのが特徴になります。

「猫をかぶる」の語源

「猫をかぶる」の語源は、文字の通り「猫」です。猫は縄張り意識が強く、一匹で行動する習性がありますが、飼い主の前では甘えん坊になる一面があります。この猫の二面性が転じて、上辺を大人しく見せかけることを「猫をかぶる」と言うようになりました。

「猫をかぶる」の漢字表記

「猫をかぶる」を漢字にすると、「猫を被る」と表記することができます。

「猫をかぶる」の類語

「猫をかぶる」の類語・類義語としては、かわい子ぶる女の子のことを意味する「ぶりっ子」、知っているくせに知らないふりをして上品ぶったりうぶを装ったりすることを意味する「かまとと」などがあります。

「借りてきた猫」の例文

1.娘は家でとてもわがままだが、先生の話を聞く限り学校では借りてきた猫のように大人しいようだ。
2.私は人見知りが激しいので、知らない人が大勢いると借りてきた猫のように大人しくなる。
3.いつも威張っている上司も、社長の前では借りてきた猫のように大人しいです。
4.普段仲良くしている仲間が風邪で欠席しているせいか、今日の彼は借りてきた猫のように静かです。
5.いつもうるさい彼女も、好きな人の前では借りてきた猫のように大人しくなるらしい。

この言葉がよく使われる場面としては、普段と違って非常に大人しいことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「借りてきた猫」は無意識に大人しくなる場合に使うのが一般的です。

「猫をかぶる」の例文

1.世間はどうか分からないが、私は猫をかぶることが悪いとは思いません。
2.あの子本性を知れば、男性の前では猫をかぶっていることが分かります。
3.彼女は合コンでいつも猫をかぶっているので、同性から嫌われて仲間外れにされました。
4.私は気に入ってもらいたいので、好きな人の前では猫をかぶっています。
5.今日の彼女をみていると、以前会った彼女は猫をかぶっていたようでした。

この言葉がよく使われる場面としては、上辺を大人しく見せかけることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「猫をかぶる」を女性に対して使うのが一般的です。

「借りてきた猫」と「猫をかぶる」はどちらも大人しくなることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、無意識に大人しくなるのが「借りてきた猫」、意図的に大人しくなるのが「猫をかぶる」と覚えておきましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター