似た意味を持つ「あたかも」と「まるで」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「あたかも」と「まるで」という言葉は、どちらも他のものと似ていることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「あたかも」と「まるで」の違い
「あたかも」と「まるで」の意味の違い
「あたかも」と「まるで」の違いを分かりやすく言うと、「あたかも」とは話し言葉ではあまり使われない、「まるで」とは話し言葉でも使われるという違いです。
「あたかも」と「まるで」の使い方の違い
一つ目の「あたかも」を使った分かりやすい例としては、「彼はあたかも恋人がいるような口ぶりで語っていた」「彼女はあたかも知っているように振る舞っている」「あたかもその場にいたように話していた」などがあります。
二つ目の「まるで」を使った分かりやすい例としては、「トンネルを潜るとまるで違う光景が広がっていた」「今までの彼とはまるで別人だ」「宝くじが当たるなんてまるで夢のようだ」「彼女の寝顔はまるで天使のようだ」「満月を初めて見た時まるで夢の中にいるようでした」などがあります。
「あたかも」と「まるで」の使い分け方
「あたかも」と「まるで」は、どちらもあるものが他のものと似ていることを表わす言葉で、使い方もかなり似ています。あえて違いを挙げるならば、「あたかも」は話し言葉として使われることが少なく、「まるで」は話し言葉でも使われるという点です。
書き言葉とは、日常会話ではあまり使われず主に文章を書くときに使われる言葉のことで、話し言葉とは、話したり聞いたり音声によって伝えれる言葉のことです。
また、「あたかも」はちょうどその時という意味を持っており、「まるで」は下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であることの意味を持っているというのも違いになります。
「あたかも」と「まるで」の英語表記の違い
「あたかも」も「まるで」も英語にすると「as if」「just like」となり、例えば上記の「満月を初めて見た時まるで夢の中にいるようでした」を英語にすると「When I first saw the full moon it was as if I was in a dream」となります。
「あたかも」の意味
「あたかも」とは
「あたかも」とは、あるものが他のものとよく似ていることを意味しています。その他にも、ちょうどその時という意味も持っています。
「あたかも」の使い方
「あたかも」を使った分かりやすい例としては、「彼はあたかも自分が体験したように語っている」「時あたかも第二次産業革命の時期だった」「彼の丁寧な仕事ぶりはあたかも職人のようだった」「彼女の演技はあたかもベテランのような振る舞いだった」などがあります。
「あたかも」は二つの意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているのは、あるものが他のものとよく似ていることの意味になります。また、主に書き言葉として使われ、話し言葉ではあまり使われません。
二つ目のちょうどその時の意味で使う場合は、「時あたかも」という言い回しで使います。上記の「時あたかも第二次産業革命の時期だった」は、「ちょうど第二次産業革命の時期だった」という意味になり、ある時代や時期についてこの時代はこうだったという場合に使う言葉です。
「あたかもしれない」は間違い
ネット上でよく見かける「あたかもしれない」は「あたかも」の間違った使い方をして有名になっている言葉です。正しい日本語ではないと覚えておきましょう。
「あたかも」の漢字表記
「あたかも」を漢字にすると「恰も」や「宛も」になりますが、ひらがなで「あたかも」と書くのが一般的です。また、「恰も」や「宛も」は「あたがも」と読むこともできます。
表現方法は「あたかも〇〇のように」「あたかも○○のような」「あたかも〇〇のようだ」
「あたかも〇〇のように」「あたかも○○のような」「あたかも〇〇のようだ」「あたかも〇〇のごとし」などが、「あたかも」を使った一般的な言い回しになります。
「あたかも」の類語
「あたかも」の類語・類義語としては、そっくりそのままある物事に例えられることを意味する「丁度」、非常によく似ていることを意味する「宛ら」(読み方:さながら)、例えて言うことを意味する「言わば」などがあります。
「まるで」の意味
「まるで」とは
「まるで」とは、違いがわからないほどあるものやある状態に類似していることを意味しています。その他にも、下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であることの意味も持っています。
「まるで」の使い方
「この惨状はまるで地獄のようだ」「父はまるで子供のようい文句を言う」「一面が綺麗な花が広がっていてまるで天国のようだ」などの文中で使われている「まるで」は、「違いがわからないほどあるものやある状態に類似していること」の意味で使われています。
一方、「久々に彼と一緒にプレーしたがまるで成長していなかった」「彼はまるでダメなおっさんです」「姉妹なのに性格がまるで違う」などの文中で使われている「まるで」は、「下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であること」の意味で使われています。
「まるで」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。
「まるで」の漢字表記
「まるで」を漢字にすると「丸で」になりますが、ひらがなで「まるで」と書くのが一般的です。
「まるで」の語源
「まるで」の語源・由来は漢字の「丸で」から来ています。丸は欠けたことがないので完全や全部のことを意味しており、江戸時代中期に完全に似ていることを意味する「まるで」の形で使われるようになりました。
また、明治時代に入ってからはそれが転じて、「まるで駄目だ」「まるで違う」のような、下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であることの意味で使われるようになりました。
表現方法は「まるで〇〇のようだ」「まるで〇〇みたい」
「まるで〇〇のようだ」「まるで〇〇みたい」などが、「まるで」を使った一般的な言い回しになります。
「まるで」の類語
「まるで」の類語・類義語としては、打消しを強調することを意味する「全く」、完全に跡形もなくなることを意味する「さっぱり」、100%不可能であることを意味する「丸切り」、変化しないことを意味する「少しも」などがあります。
「あたかも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あるものが他のものとよく似ていることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、ちょうどその時を表現したい時にも使います。
例文1から例文4はあるものが他のものとよく似ていることの意味で使っており、例文5はちょうどその時の意味で使っています。
「まるで」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、違いがわからないほどあるものやある状態に類似していることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であることを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は下に否定的な意味の語を伴いまさしくその状態であることの意味で使っており、例文4と例文5は違いがわからないほどあるものや、ある状態に類似していることの意味で使っています。
「あたかも」と「まるで」はどちらも同じ意味を持つ言葉なのですが、話し言葉として使う場合は「あたかも」ではなく「まるで」を使うと覚えておきましょう。