似た意味を持つ「亜流」(読み方:ありゅう)と「我流」(読み方:がりゅう)と「本流」(読み方:ほんりゅう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「亜流」と「我流」と「本流」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
亜流と我流と本流の違い
亜流と我流と本流の使い分け方
亜流と我流と本流の違いを分かりやすく言うと、亜流はオリジナルを真似たものを表現する時に使い、我流は自己流を表現する時に使い、本流はオリジナルを表現する時に使うという違いです。
亜流と我流と本流の使い方の違い
亜流という言葉は、「人気商品の亜流が続々と登場する」「この小説は有名な作品の亜流だと言われている」などの使い方で、何かを真似て作られたものを意味します。場合によっては面白味のないものというマイナスイメージが付与されることもあります。
我流という言葉は、「蕎麦好きが高じて我流で店を構えた」「我流の勉強方法で受験合格を果たした」などの使い方で、オリジナルや正統なやり方とは違った自分自身のやり方を意味します。
本流という言葉は、「本流も元を辿れば違う考え方に行き着く」「かつては保守本流と言われていた派閥もあった」などの使い方で、中心を占めるようなオリジナルの考え方ややり方を意味します。
これらのことから、本流のようなオリジナルから亜流が生まれ、我流は本流や亜流とは違うやり方として生まれます。これらが亜流、我流、本流の明確な違いです。
亜流の意味
亜流とは
亜流とは、学問や芸術などで同じ流派に属する人を意味しています。その他にも、第一流の人に追随するだけで独創性のない人も意味します。
亜流の亜の意味
亜流の亜には、上位のものを次ぐという意味があるため、亜流は本来ある流れを次ぐことを表す言葉となります。
亜流の成り立ち
語源は漢字の意味に由来しますが、この概念はドイツ語から日本語となった概念で、さらに辿ると古典ギリシア語にまで遡ります。
亜流は、ドイツ語で「エピゴーネン」といい、主に芸術や文学の分野などで使われる言葉です。優れている先人のやり方をそのまま流用や真似をして、オリジナル性に欠けた作品を作る人を指します。今日使われる「パクる」に近しい意味合いを持ちます。
上に挙げた「亜流」の二つ目の意味のように、エピゴーネンという言葉にはマイナスのイメージがあり、軽蔑する場合に使われる言葉です。ただし、オリジナルと同じくらい、もしくはそれ以上に優れていた場合にはエピゴーネンは使いません。
亜流の対義語
亜流の対義語・反対語としては、その分野での第一等の地位を意味する「一流」があります。
亜流の類語
亜流の類語・類義語としては、一流より程度がやや劣ることを意味する「二流」、あとからついて行くことを意味する「追随」、他のものを真似ることを意味する「模倣」があります。
亜流の亜の字を使った別の言葉としては、近衛の大将に次ぐ中将の異名を意味する「亜将」、聖人に次ぐ立派な人を意味する「亜聖」、熱帯に次いで温帯な気候帯の一つを意味する「亜熱帯」、生物分類学上の単位の一つである「亜種」などがあります。
我流の意味
我流とは
我流とは、正統のやり方ではなく自分勝手なやり方を意味しています。
我流の読み方
我流は「がりゅう」という読み方をしますが、店名などに使われる場合には「われりゅう」と読ませることもあるようです。
四字熟語「我流転生」は誤字
我流を誤って使った言葉として、「我流転生」があります。本来は「画竜点睛」と書く四字熟語です。「がりょうてんせい」と読むことがほとんどですが、「がりゅうてんせい」と読むことも出来ます。
「画竜点睛」とは、物事を完成するために最後に加える大切な仕上げのたとえを意味する言葉で、物事の最も肝心なところのたとえでもあります。自己流という「我流」の意味は全く含まれていません。
我流の類語
我流の我の字を使った別の言葉としては、自分一人の考えを意味する「我意」、自分だけの偏った見方や狭い考えを意味する「我見」、自分中心の考えにとらわれてそれから離れられないことを意味する「我執」(読み方:がしゅう)などがあります。
本流の意味
本流とは
本流とは、中心をなす系統を意味しています。その他にも、二つ以上の川が合流している場合の最も長かったり、広かったりするものも指します。
「保守本流」の意味
本流を使った言葉として「保守本流」があります。これは自由民主党の派閥の一つで、吉田茂が率いた自由党の流れを汲む勢力の系統を指す言葉です。また、自由民主党の派閥のうち、鳩山一郎が率いた日本民主党の流れを汲む勢力の系統を保守傍流と言います。
今日では、保守本流や保守傍流という表現はほとんど当てはまらなくなっており、現在の政治家の派閥が呼称となっています。
本流の対義語
本流の対義語・反対語としては、大もとから分かれた系統や分派を意味する「支流」、主流から外れた系統を意味する「傍流」があります。
本流の類語
本流の類語・類義語としては、思想や学問、様式などの中心となる傾向を意味する「主流」、ある時代または社会で主流になっている思想の傾向を意味する「主潮」があります。
本流の本の字を使った別の言葉としては、本来の職業を意味する「本業」、日常住んでいる自分の家を意味する「本宅」、営業の本拠となる店を意味する「本店」、議論や論文などの中心となる部分を意味する「本論」などがあります。
亜流の例文
この言葉がよく使われる場面としては、オリジナルを真似たものを意味する時などが挙げられます。
例文2の「二番煎じ」とは、一度煎じた茶葉をもう一度煎じることから転じて、前にあったことの真似であり、新しさや面白味のないものを意味する言葉です。
我流の例文
この言葉がよく使われる場面としては、正統ではない自分流のやり方を意味する時などが挙げられます。
我流という言葉は、「オリジナル」「独創的」「自己流」といった言葉を使って置き換えることができますが、亜流や本流に置き換えることはできません。
本流の例文
この言葉がよく使われる場面としては、オリジナルの、中心となるやり方を意味する時などが挙げられます。
本流という言葉は「主流」という言葉に置き換えることができますが、主流には中心となっているものの意味しかなく、正統という意味は含まれていないため、全てを置き換えることができるわけではありません。
亜流と我流と本流どれを使うか迷った場合は、オリジナルを真似たものを表す場合は「亜流」を、自分流のやり方を表す場合は「我流」を、オリジナルで正統なものを表す場合は「本流」を使うと覚えておけば間違いありません。