似た意味を持つ「表面化」(読み方:ひょうめんか)と「顕在化」(読み方:けんざいか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「表面化」と「顕在化」という言葉は、どちらも物事が表に現れることを意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
表面化と顕在化の違い
表面化と顕在化の意味の違い
表面化と顕在化の違いを分かりやすく言うと、表面化は隠れていた物事が表に現れることを意味していて、顕在化は何かがはっきりと形になって現れることや存在することを意味するという違いです。
表面化と顕在化の使い分け方
表面化とは、今まで隠れていた部分が何かの拍子に外側に現れて、他者から見える形になったことを意味しています。物事の上辺の部分が見えてきて、人々が認識をするようになったことを表現するものです。
表面化という言葉を使う場合には、今まで隠れていた事柄を誰も予測していなかった場合が多いものです。例えば「天災が起こって、はじめて避難所の問題が表面化した」などのように使用されます。
誰も予測していなかったことや内密にしておきたいと思っていたことが、目に見える形で現れたことを表面化という言葉で表現するものだと覚えておくようにしましょう。類語としては「表沙汰」などの言葉が挙げられます。
一方の顕在化というのは、はっきりと形になって現れ、存在することを意味している言葉です。今まではボンヤリとした曖昧な問題でしかなかったものが、はっきりと具体的な問題として浮彫になった場合などに使用される言葉です。
顕在化の反対語は、潜在化であり、これは表面には出てこないで潜んでいる存在のことを意味しています。顕在化の「顕」という字が明らかにする、はっきりさせるという意味を持つものだと考えるとその意味が分かりやすいでしょう。
顕在化の場合には、表面化と違って、なんとなく問題があることはわかっていたというような場合が多いものです。問題があるような予感はしていた、という場合に「顕在化」という言葉を使います。
例えば、なにが問題であるのか具体的なことはわかっておらず、そのまま放置されていたような物事がいよいよ本格的に問題視されるようになると「問題が顕在化された」などのように表現されます。
このように、表面化と顕在化という言葉には、微妙な違いがありますが、ほとんど同じ意味であると捉えることが出来ます。明確な使い分け方があるわけではなく、使いたい方の言葉を使用することができます。
ビジネスシーンや論文では表面化より顕在化を使う
表面化と顕在化では、顕在化の方が、やや畏まった印象を持たせることが出来る言葉なので、ビジネスシーンや論文などを書く際には、顕在化という言葉を使う方が改まった印象を与えることが出来ます。
表面化の意味
表面化とは
表面化とは、今まで隠れていた物事が表に現れることを意味しています。裏側にあったものが表面に出てくることだと考えると分かりやすいでしょう。
表面化という言葉は、物事の外から見える部分や上辺の部分を意味する「表面」という言葉に、物事の状態を変える、または変わるという意味を持つ接尾語の「化」という言葉を合わせて出来た表現です。
つまり、表面化というのは、何かの物事が外から見えるように変化することを意味している言葉であると言えます。今まで裏側にあって隠れていたものが、人の目に触れる上辺の部分に浮き上がってきたようなイメージです。
表現方法は「表面化する」「表面化させる」「表面化していない」
「表面化する」「表面化させる」「表面化していない」などが、表面化を使った一般的な言い回しです。
表面化の使い方
表面化という言葉を使う際には、隠れていた物事について、誰も予測していなかった場合も多いものです。例えば、何かの自然災害が発生した場合に「防災設備の不備が表面化した」などのように使用されたりします。
何かのきっかけを持って、問題が浮彫になった場合に「課題が表面化した」などのように使用されることもあります。いずれも、問題があることを知っていて見ない振りをしていたのではなく、裏に隠れていて見えていなかったという意味になります。
表面化というのは、人間関係について表現する場合にも使える言葉です。例えば「今回の人事で、内部闘争が表面化した」などのように使用されます。今まで隠れていた物が表面に浮き上がってきたという意味であれば、様々な場面で使用できる言葉です。
表面化の類語
表面化の類語・類義語としては、内密事が世間に知れることを意味する表沙汰(読み方:おもてざた)、世間一般に知れ渡ることを意味する「公然化」、隠れていた事柄が表に出ることを意味する「露呈」などがあります。
表面化の「表」という字を使った別の単語としては、はっきりと表し示すことを意味する「表示」、歴史上の事件などを年代の順を追って記載した表を意味する「年表」、広く世間に発表することを意味する「公表」などがあります。
顕在化の意味
顕在化とは
顕在化とは、はっきりとした形で表れて存在することを意味しています。
顕在化の「顕」という字は、明らかであることや、はっきりしていることを意味する漢字です。そして「在」という字は、そこにあることを意味します。「存在」の「在」の字であると考えると分かりやすいでしょう。
このように、顕在化とは、明らかに存在しているもの、はっきりと形になっていて見えるものを意味しています。今まで潜んでいたけれど、潜んでいただけで形としては元からはっきりとしていたものについて顕在的であると表現することもあります。
顕在化の使い方
この顕在化という言葉は、良い意味にも悪い意味にも使用される表現です。例えば、隠れていた才能が開花したような場合にも「才能が顕在化した」などのように使用されます。問題が明らかになった際にも「リスクが顕在化した」などのように使用します。
前後の文脈によって良い意味にも悪い意味にも捉えられる言葉であることを覚えておくようにしましょう。顕在化は、表面化ととても似た意味を持つ言葉ですが、表面化よりもしっかりと形が表れていることを示すものだと考えます。
また、表面化とは異なり、元々見えていなかっただけで、形はしっかりと形成されていた物事が浮彫になった場合に顕在化と表現します。浮彫になることが予測が出来たはずなのに、あえて見て見ぬふりをしていた物事などに使われる場合が多いものです。
表現方法は「顕在化する」「顕在化させる」「リスクの顕在化」
「顕在化する」「顕在化させる」「リスクの顕在化」などが、顕在化を使った一般的な言い回しです。
顕在化の対義語
顕在化の対義語・反対語としては、表面には表れず内に潜んで存在することを意味する「潜在化」(読み方:せんざいか)などがあります。
顕在化の類語
顕在化の類語・類義語としては、現れ出ることを意味する「発現」、はっきりと姿を表すことを意味する「顕現」などがあります。
顕在化の「顕」という字を使った別の単語としては、微小な対象を拡大して観察する装置を意味する「顕微鏡」、わかるようにはっきりと示すことを意味する「顕示」、秘密や悪事など隠していたことが表に現れることを意味する「露顕」などがあります。
表面化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今まで裏側にあった何かの物事が、外から見えるように変化することや、浮彫になることを表現したい時などが挙げられます。表面化の類語は表沙汰であり、これはあまり良い意味で使われる言葉ではありません。
表面化というのは、今まで裏側にあって隠れていた物事が見えるところにまで浮かび上がってくることを意味しています。また、表面化という表現を使用する際は、隠れていた問題について、誰も気付いていなかった場合が多いものです。
今まで見えなかったものが見えるようになることを、表面化という言葉で表現するのだと覚えておくようにしましょう。ビジネスシーンなどでも使用される言葉です。
顕在化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今まで隠れていたものがはっきりとした形をもって表れて存在することを表現したい時などが挙げられます。反対語としては、「潜在化」などがあり、これは物事が潜んでいる様子を示す言葉です。
顕在化という言葉は、前後の文脈によって良い意味にも悪い意味にも使用される表現です。例文1のように隠れていた才能が開花した場合にも顕在化という言葉で表現出来ますし、例文2のように問題が浮彫になった場合にも使用することが出来ます。
表面化という言葉とほとんど同じ意味を持つ言葉ですが、顕在化という表現の方が少々畏まった印象を与えることが出来ます。ビジネスシーンなどで目上の人などに使用する際には、表面化ではなく、あえて顕在化という言葉を使っても良いでしょう。