【現れる】と【表れる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「あらわれる」という読み方をする「現れる」と「表れる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「現れる」と「表れる」という言葉は、どちらも姿を見せることを表現するという共通点がある同音異義語で、本来の意味は少し違いますが、混同して使われる傾向があります。

現れると表れるの違い

表れると表れるの違いを分かりやすく言うと、現れるというのが、今まで目の前にいなかったものがこちらへやってきて見えてくるということを意味していて、表れるというのが、内側にあったものが表面に出てきて見えてくるということを意味しているという違いです。

現れるも表れるも、現在の学校で習う送り仮名は「れる」ですが、少し古い文章では「現われる」「表われる」と表記されることもあります。

現れるの「現」という字は、「現世」や「現実」などの言葉から分かるように、夢や空想と違ってはっきりとしたという意味合いを持ちます。この意味での「現」は、常用外の読み方ですが「うつつ」と読み、この世に存在するものごとを意味します。

「待ち合わせ場所に現れなかった」や「悪びれもせずにノコノコ現れた」、「雲間から満月が現れた」のような用例から分かるように、現れるという言葉は、物理的なもの、形のはっきりとあるものが直接に見えるようになると考えると分かりやすいです。

次に、表れるの「表」という字は、「表面」(読み方:ひょうめん)や「表裏一体」(読み方:ひょうりいったい)という言葉から明らかなように、裏側や内側に対する表面ということを意味しています。

例えば「喜怒哀楽が表情に表れる」や「彼の思想信条が表れた芸術」のように使われます。このことから分かるように、表れるというのは、直接は見ることのできない心の内面が、何らかの形に反映されて、そこから読み取られるようになっていることを意味しています

感情や思想には形がありません。輪郭の定まったものものが見えてくるという意味の「現れる」とは異なり、「表れる」ものにははっきりとした輪郭がないと考えれば分かりやすいでしょう。

二つの言葉にはこうした違いがありますが、「症状があらわれる」のようにどちらの「あらわれる」を使っても間違いにならない場合もあります。「現れる」を使った場合は目に見える点を重視していて、「表れる」だと体の中の病気が外側に出る点を重視しています。

二つの言葉の使い分けに迷った時は、意味を考えて正しいなら、自信をもって使って大丈夫です。

現れると表れるに似た意味の言葉として、「露になる」(読み方」あらわになる)「顕れる」(読み方:あらわれる)という言葉が挙げられます。2つとも「露出」や「顕著」という形で使われる常用漢字ですが、「あらわ」という読み方は常用外です。

露になるというのは、むきだしになることを意味していて、「露呈」「露見」「暴露」などの言葉に使われています。顕れるというのは、内側にあったり覆われていたものがはっきり見えるという意味で、「顕在」「顕現」「顕示」というように使われます。

現れるの意味

現れるとは、いままで見えていなかったものが直接見えるようになることを意味しています。例えば「目の前に現れる」と言われた時には、目の前になかったものがこちらへやってきて見えるようになることを意味しています。「出現」という言葉を考えると分かりやすくなります。

現れるものとは、「すぐ隣に表れる」のように移動してきて見えるようになるもの、「目の前に絶景が現れた」のように、輪郭をもって見えるようになるもののことを意味します。「現」には「見」という漢字が含まれていることから連想して下さい。

現れるの「現」という字を使った別の言葉としては、予測などが現実のものになることを意味する「実現」、元の形を再びつくりだすことを意味する「再現」、今の状態や状況を意味する「現状」などがあります。

表れるの意味

表れるとは、裏側や内側にあったものが表面に出てきて見えるようになること、直接見えないものが別の何かに映し出されていることを意味しています。

例えば「考えがよく表れた文章」と言われた時には、頭の中にあった考えが文字にされて読み取られる形になっていることを意味しています。ただし、考えは形を持ちません。言葉には形がありますが、考えは言葉から間接的に読み取られるだけです。

「表す」という言葉は、形のないものが別の何かに表れていて、そこから読み取れるという意味です。頭の中にある主観的な考えだけではなく、「数字にして表す」「図にして表す」というように、客観的なものに対しても使うことができます。

表れるの「表」という字を使った別の言葉としては、考えや気持ちが顔に出ることを意味する「表情」、媒体に思考や感情を映し出すことを意味する「表現」、敬意を示すことを意味する「表敬」などがあります。

現れるの例文と使い方

1.失踪していた人物が突如として現れた。
2.あたり一面にホタルの川が現れた。
3.突如として空に現れた、謎の飛翔体。
4.頭の中に急にいい考えが現れた。
5.雨雲が現れ始めた。

この言葉がよく使われる場面としては、今まで見えなかったものが見えるようになることを表現したい時などが挙げられます。肉眼で見える物事を表現するときに使用されることの多い言葉です。

例文1の「失踪していた人が現れる」の「現れる」は、場所を移動してこちらへやってくるという意味ですが、例文5の「雨雲が現れる」というのは、なかったものが出来上がって見えるようになるということを意味しています。

例文4の「アイディアが現れる」というのは、少ししっくりこない人がいるかもしれません。アイディアに形はないからです。しかし、「直感」や「直観」という言葉があるように、直接見えるという意味で、心の中の考えを「現れる」と表現することが出来ます。

この言葉を使う時には、表現しようとしている物事が具体的な形や輪郭を持っているか、直接見えるかという点を意識するようにしましょう。そうすると、「表れる」と混同することがなくなります。

表れるの例文と使い方

1.彼女の演技には、どうしても本人の人柄が表れてしまう。
2.その選手の勝負強さは、印象だけでなく数値にも表れている。
3.彼の努力が、やっと結果として表れ始めた。
4.実際に付き合ってみると、彼の人柄のよさは、行動に表れている通りのものだった。
5.社会の矛盾が、この出来事にはっきりと表れている。

この言葉がよく使われる場面としては、直接見えないもの感情や考えなどが、別の何かを通じて読み取られるようになっていることを表現したい時などが挙げられます。複雑な物事を図式化してすっきり見せることも「表す」ことです。

直接は見えない別の何かを表すもののことを「媒介」や「媒体」と表現することも評論文などではよく行われます。「感情は言葉や身振りを媒介として表れる」や「言葉は感情の媒体だ」というように使われます。

難しい言葉に思えますが、「メディア(media)」のことです。インターネットやテレビなどのメディアは直接は見えないものを具体的な形にして表すもののことと考えると、分かりやすくなります。

表れるという言葉は、直接見えるものではなく、間接的に見えるものや何か別のものを介して見えるものに対して使われるということを覚えておくようにしましょう。「気持ちが表れる」と言われるのは、気持ちが何かを通じて間接的に見えるものだからです。