似た意味を持つ「家族」(読み方:かぞく)と「親族」(読み方:しんぞく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「家族」と「親族」という言葉は、どちらも「血縁や婚姻によって繋がりのある人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
家族と親族の違い
家族と親族の意味の違い
家族と親族の違いを分かりやすく言うと、家族とは血縁関係や婚姻関係にあって共同生活を営む集団、親族とは血縁関係や婚姻関係にある人々という違いです。
家族と親族の使い方の違い
一つ目の家族を使った分かりやすい例としては、「ペットは大切な家族の一員です」「家族風呂付きの温泉宿を探しています」「家族性高コレステロール血症と診断されました」「家族がコロナになったら仕事は休むべきですか」などがあります。
二つ目の親族を使った分かりやすい例としては、「親族関係を証明する書類を取り寄せる」「結婚式での親族紹介の順番を確認する」「遺産を相続できる親族の範囲はどこまでですか」「親族訪問ビザの書類をダウンロードする」などがあります。
家族と親族の使い分け方
家族と親族という言葉は、どちらも血縁関係や婚姻関係にある人を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
家族とは、血縁や婚姻を基礎として共同生活を営む集団を意味し、近代家族は夫婦とその未婚の子からなる核家族が一般的な形態となっています。他に、親子関係によって結びついた二組以上の核家族から構成される「拡大家族」などがあります。
親族とは、血縁関係または婚姻関係で繋がりがある者を意味します。民法では明確に親族の範囲を定義しており、6親等内の血族、配偶者、または3親等内の姻族を指します。例えば、子どもの配偶者は民法上の親族ではありません。
つまり、家族とは血縁や婚姻の繋がりがある共同生活を営む集団を表し、親族とは血縁関係または婚姻関係で繋がりがある者を表します。二つの言葉を比べると、親族より家族の方が近い存在で緊密な関係であると言えるでしょう。
家族と親族の英語表記の違い
家族を英語にすると「family」となり、例えば上記の「家族の一員」を英語にすると「a member of the family」となります。一方、親族を英語にすると「relative」「relation」「kin」となり、例えば上記の「親族関係」を英語にすると「kinship」となります。
家族の意味
家族とは
家族とは、夫婦とその血縁関係者を中心に構成され、共同生活の単位となる集団を意味しています。
その他にも、「民法旧規定において、戸主以外の家の構成員」の意味も持っています。
家族の使い方
「家族葬の費用と流れを調べる」「家族信託にはメリットとデメリットがあります」「ドラマに出てくるような家族になろうよ」「家族だから愛したんじゃない」「家族のカタチはいろいろです」などの文中で使われている家族は、「夫婦や親子を中心に構成される共同生活の単位」の意味で使われています。
一方、「旧民法の家族制度は封建的でした」「戸主と家族の相続制度は異なっていました」「戸主は家族を統率する存在です」などの文中で使われている家族は、「民法旧規定において、戸主以外の家の構成員」の意味で使われています。
家族とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「夫婦や親子を中心に構成される共同生活の単位」の意味で使用されています。家族の「家」は人の住む建物や血縁の集まりを表し、「族」は祖先を同じくする者の集団を表します。
表現方法は「家族信託」
家族を用いた日本語には「家族信託」があります。家族信託とは、民事信託の一種で、家族に財産の管理を委託する制度を意味します。親の認知症や介護施設への入所などに備え、財産を管理・運用・処分する権利を信頼できる家族に託す手法として注目が高まっています。
家族の対義語
家族の対義語・反対語としては、血のつながりのない人や親族でない人を意味する「他人」などがあります。
家族の類語
家族の類語・類義語としては、ごく親しい血縁関係にある人や家族を意味する「身内」、親子や兄弟など非常に近い血縁関係にある人を意味する「肉親」、家族や家庭あるいは一門を意味する「ファミリー」などがあります。
親族の意味
親族とは
親族とは、血縁関係や婚姻関係のある人々を意味しています。
その他にも、「民法上、六親等内の血族および配偶者と三親等内の姻族」の意味も持っています。
親族の読み方
親族の読み方は「しんぞく」の他に「しぞく」「うから」がありますが、「しんぞく」と読まれることが普通になっています。
親族の使い方
「親族のご祝儀はいくらぐらいが妥当ですか」「姪っ子の親族里親になろうかと思います」「親族が亡くなった場合の香典の相場を教えてください」「私の親族に英語の教師がいます」などの文中で使われている親族は、「血縁関係や婚姻関係のある人々」の意味で使われています。
一方、「法律上の親族とはどこまでですか」「もちろん親族には兄弟や子どもが含まれます」「疎遠な親族の相続人になってしまった」などの文中で使われている親族は、「六親等内の血族および配偶者、三親等内の姻族」の意味で使われています。
親族とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。親族の「親」は訓読みで「おや」「したしい」と読み、父母や縁続きの身内を表す漢字です。
表現方法は「親族里親」
親族を用いた日本語には「親族里親」があります。子どもの両親が亡くなったり病気で育てられない場合に、子どもの三親等の親族までがなることができる里親のことです。扶養義務のある親族が里親になると里親手当は支給されず一般生活費が支給され、扶養義務のない親族は里親手当が支給されます。
親族の対義語
親族の対義語・反対語としては、全く縁もゆかりもない他人を意味する「赤の他人」などがあります。
親族の類語
親族の類語・類義語としては、血縁や婚姻によって結びつきのある人を意味する「親戚」、家族を除く血族と姻族の総称を意味する「親類」、婚姻によってできた血のつながりのない親戚を意味する「姻戚」、婚姻によって親族になった者どうしを意味する「姻族」などがあります。
家族の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、夫婦や親子を中心とする近親者によって構成する日常生活を共同に営む小集団を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「核家族」とは、家族形態の一つであり、「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子供」「父親または母親とその未婚の子供」の世帯を指します。
親族の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、同一の血縁および姻戚関係にあるものの総称、法律で血縁または婚姻によって生ずる続柄を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある親族は、「同一の血縁および姻戚関係にあるものの総称」の意味で用いられています。例文4および例文5の親族は、法律で血縁または婚姻によって生ずる続柄の意味で使用されています。
家族と親族という言葉は、どちらも「血縁や婚姻によって繋がりのある人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、血縁や婚姻の繋がりがあって一緒に生活する集団を表現したい時は「家族」を、血縁関係や婚姻関係にある人々を表現したい時は「親族」を使うようにしましょう。