【完壁】と【完璧】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「かんぺき」という読み方の「完壁」と「完璧」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「完壁」と「完璧」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




完壁と完璧の違い

完壁は完璧の間違い

完壁と完璧の違いを分かりやすく言うと、完壁とは完璧の間違った使い方、完璧とは欠点が全くないことです。

完壁は誤字

一般的には完壁という言葉は存在しません。漢字の成り立ちや読み方が似ていることから、完璧のことを間違えて完壁を使っている人がほとんどです。

完壁を完璧と間違えやすい理由

完壁と完璧を間違えてしまう理由は「壁」と「璧」の漢字が非常に似ていることが原因です。正しい日本語は「土」ではなく「玉」と覚えておきましょう。また、「壁」という漢字は日常的に使われているのに対して「璧」はあまり使われていないのも間違えやすい要因の一つです。

ではなぜ、完璧が「壁」ではなく「璧」なのかというと、完璧という言葉の由来が関係しています。完璧は中国で生まれた故事成語です。故事成語とは故事を元にしてできた言葉になります。「璧」は平らで中央に孔のあいた宝玉のことを意味しており、完璧は傷一つない玉という意味で使われていました。

そして、この璧を完璧な状態で持ち帰ることが転じて、欠点が全くないことの意味で使われるようになりました。そのため「壁」ではなく、「璧」を使うのが正しい日本語です。もし完壁としてしまうと、傷一つない壁という全く違った言葉になってしまうので注意しましょう。

完璧は正しい日本語

正しい言葉である完璧を使った分かりやすい例としては、「完璧主義を脱出したいです」「この料理の味は完璧です」「彼女は完璧なプロポーションを保っています」「忙しいながらも自分の役割を完璧にこなしている」「彼の日本語はほぼ完璧です」などがあります。

完璧という言葉はあっても、完壁という言葉は存在しません。同時に完璧という単語の意味について「欠点が全くないこと」と覚えておきましょう。

完璧の英語表記

完璧を英語にすると「perfect」となり、例えば上記の「彼の日本語はほぼ完璧です」を英語にすると「His Japanese is almost perfect」となります。

完壁の意味

完壁とは

完壁とは、完璧の間違った使われ方です。

完壁という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が似ているため、完璧と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。

完壁の壁の読み方

間違った言葉である完壁の「壁」は「かべ」や「ヘキ」と読み、建物の外周の部分や前進を阻むものの意味で使われている言葉です。

完壁の壁の正しい使い方

「壁」を使った分かりやすい例としては、「世界記録の壁を破る」「開発が壁にぶつかってしまった」「この城は城壁で守られています」「壁をリフォームするために業者さんにお願いしました」「壁に穴を空けないフックを購入した」などがあります。

完璧の意味

完璧とは

完璧とは、欠点が全くないことを意味しています。

完璧の使い方

完璧を使った分かりやすい例としては、「完璧主義は諸刃の剣です」「何事も完璧にしないと気が済まない」「完璧じゃなくてほどほど良いです」「この作品はとても完璧な仕上がりです」「彼女のアリバイは完璧である」などがあります。

その他にも、「彼の行動パターンを完璧に把握しました」「ミッションを完璧に遂行した」「彼女は完璧主義です」「彼は何事も完璧にこなします」「完璧すぎる先輩にも弱点があってほっとしている」「今日のコンディションは完璧です」などがあります。

現代において完璧は様々な場面で使われるとても一般的な言葉です。そのため、意味や使い方を理解している人も多いでしょう。

完璧の由来

完壁と完璧の違いの所でも記載したのですが、完璧の由来は中国の故事成語になります。

さらに詳しく書くと、中国の戦国時代に秦の国の昭王(読み方:しょうおう)が趙の国の恵文王(読み方:けいぶんおう)に趙の国にある翡翠の宝玉、和紙の璧(読み方:かしのへき)と秦にある15のお城を交換しようと持ちかけました。

しかし、こんな美味しい話には必ず裏があると思い、和氏の璧が騙し取られてしまうのかと悩んでいたところ、趙の藺相如(読み方:りんしょうじょ)が、もし城が手に入らなければ和氏の璧は必ず無事に持ち帰ると約束して、秦に向かうことを申し出ました。

予想通り城と交換する気配はなく、和氏の璧が騙し取られそうであったので、藺相如は命懸けで和氏の璧を傷一つない完全な状態で持ち帰りました。この故事から欠点が全くないことを完璧と表わしています。

表現方法は「完璧です」「完璧なので」「完璧ではない」

「完璧です」「完璧なので」「完璧ではない」「完璧に」「完璧主義」などが、完璧を使った一般的な言い回しになります。

完璧の類語

完璧の類語・類義語としては、欠けたところや足りないところが全くないことを意味する「完全」、少しも手落ちのないことを意味する「万全」、少しも欠けたところがないことを意味する「十全」、どこから見ても欠点や不足が全くないことを意味する「完全無欠」などがあります。

完壁の例文

1.完壁という言葉は存在しないので、おそらく完璧の言い間違いだろう。
2.完璧という言葉は欠点が全くないことで、完壁という言葉はない。
3.完壁という言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.完壁な演技を披露したという言葉を使う人はいるが、正しくは完璧な演技を披露したです。
5.彼は完璧主義ですという言葉はあるが、彼は完壁主義ですという言葉はない。
6.漢字テストで完壁と書き間違えてしまったばっかりに合格点に達しませんでした。
7.完璧の璧は玉のことであって傷のない玉を表すことを知っていれば、完壁と間違えることもない。
8.完壁は間違いだと言われた時、すでにこれで覚えてしまっている自分を恥ずかしく感じた。
9.完璧を完壁のように、「壁(かべ)」と書いてしまう人が多いのですが、じつはこれは間違いなんです。
10.私は「完璧」と「完壁」の字を見比べても、しばらくの間、気づくことがありませんでした。

この言葉がよく使われる場面としては、完璧という言葉を間違えて完壁と表現している時などが挙げられます。

完壁という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、完璧を間違えて使っている可能性が高い言葉です。

完壁という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、完壁ではなく、完璧と表現するのが正しい使い方です。

完璧の例文

1.理論は完璧なのですが、実行に移すのはとても難しいでしょう。
2.昨日提出してくれた論文は完璧だ、何も直すべきところがありません。
3.昨日の夜のアリバイは完璧なので、この事件の犯人として疑われることはないだろう。
4.彼は8回までノーヒットノーランという完璧な投球を披露しました。
5.質の良い資料を準備することで、完璧なプレゼンテショーンを行なうことが可能です。
6.完璧な人間などいないが、もしいたとしても、隙がなくとっつきにくくてきっと仲良くなれないだろう。
7.昔片思いしていた彼女は本当に完璧な女性だったんだよと、今でも酔うと語りだす夫はいったいどういう神経をしているのだろうかとあきれてしまう。
8.完璧主義に陥ると、完璧になれないだけでなく、無駄な努力をすることになるのですよ。
9.もうテスト勉強は完璧だからと、兄は大好きなテレビゲームを始めてしまいました。
10.私は完璧に仕上げたつもりだったのに、師匠から次々とダメ出しを食らって意気消沈しています。

この言葉がよく使われる場面としては、欠点が全くないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、完璧は様々な場面で使うことが可能です。

完壁と完璧どちらを使うか迷った場合は、完壁は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の完璧を使うようにしましょう。

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