似た意味を持つ「流石」(読み方:さすが)と「見事」(読み方:みごと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「流石」と「見事」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
流石と見事の違い
流石と見事の意味の違い
流石と見事の違いを分かりやすく言うと、流石とは改めて感心するさま、見事とは立派なさまという違いです。
流石と見事の使い方の違い
一つ目の流石を使った分かりやすい例としては、「流石すばらしい作品ですね」「今月も契約数最多とは流石ですね」「この謎が解けたとは流石だ」「好きな味だけど流石に飽きてきた」「寝不足で流石にやばいかも」などがあります。
二つ目の見事を使った分かりやすい例としては、「前評判通り実に見事な公演でした」「見事な連携プレイで試合を制した」「流行りの漫画に見事にはまって勉強しない」「見事なまでの夕焼けに感動した」などがあります。
流石と見事の使い分け方
流石と見事という言葉は、どちらも誉め言葉として使われ、似た表現をする言葉なのですが、意味は異なります。流石とは価値を認めて改めて感心する様子を意味し、人や物事に対する評価を表します。見事とは素晴らしいさまや立派なさまを意味し、行為や物事のありさまを表します。
流石と見事の英語表記の違い
流石を英語にすると「as expected」「that’s great」「still」となり、例えば上記の「流石すばらしい」を英語にすると「that’s great as expected」となります。
一方、見事を英語にすると「excellent」「excellent」「completely」となり、例えば上記の「見事な公演」を英語にすると「excellent performance」となります。
流石の意味
流石とは
流石とは、評判や期待のとおりの事実を確認し、改めて感心するさまを意味しています。
その他にも、あることを一応は認めながら一方でそれと相反する感情を抱くさま、の意味も持っています。
表現方法は「流石に無理」「流石にやばい」「流石です」
「流石に無理」「流石にやばい」「流石です」などが、流石を使った一般的な言い回しです。
流石の使い方
「流石5年生はリーダーシップがあるね」「こんな細工ができるとは流石はベテランですね」「ファストファッションも着こなせて流石一流モデルだ」「すっぴんでも美しくて流石だなと思った」などの文中で使われている流石は、「改めて感心するさま」の意味で使われています。
一方、「私に非はあるが、そこまで言われると流石に腹が立つ」「好きなメニューでも毎日続くと流石に飽きる」などの文中で使われている流石は、「あることを認めながら一方でそれと相反する感情を抱くさま」の意味で使われています。
流石の由来
流石という言葉は、中国の故事に由来します。晋の時代に孫楚という人が、世の中を嫌い山にこもることを考え、友人に「石に枕し流れに漱ぐ」(石を枕にして寝て、川の流れで口をすすぐ)と言うべきところを、「石に漱ぎ流れに枕す」(石で口をすすいで川を枕にする)と言ってしまいました。
友人が誤りを指摘すると「石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのは耳を洗うためさ」と言い訳をした故事から、うまく誤魔化したと感心する事を「流」と「石」をとって、「流石」という言葉になりました。
流石の読み方
流石は「さすが」と読み、平仮名で表記されることが多い言葉です。上記の例文にあるように、誉め言葉で使われる場合と、相反する感情を抱くさまを表す場合があります。また、「さすがの私もお手上げだ」のように、能力はあっても特定の条件下では、それを否定するさまを意味する場合もあります。
流石の類語
流石の類語・類義語としては、他人の言葉を受け入れて自分も同意見であることを示すことを意味する「なるほど」、あれほど大したを意味する「さしもの」、風聞と同じ性質や状態であるさまを意味する「噂にたがわず」などがあります。
見事の意味
見事とは
見事とは、素晴らしいさま、立派なさまを意味しています。
その他にも、巧みなさま、完全であるさまの意味も持っています。
表現方法は「お見事」「見事な」「見事に外れる」
「お見事」「見事な」「見事に外れる」などが、見事を使った一般的な言い回しです。
見事の使い方
「見事な胡蝶蘭が届いたよ」「景色が見事で絶好の撮影ポイントです」「見事な絵画を集めた企画展だ」「部長、お見事です!ナイスショット」などの文中で使われている見事は、「すばらしいさま」の意味で使われています。
一方、「見事な名推理で事件を解決する」「見事なクリーンヒットだ」などの文中で使われている見事は「巧みなさま」の意味で、「ものの見事に予想が的中した」「見事に全問不正解だった」などの文中で使われている見事は「完全であるさま」の意味で使われています。
見事という言葉は、みるべきこと、見るべき価値のある事柄を意味し、転じて、美しいことや様子が立派なことを意味するようになりました。見事は当て字で「美事」とも書きますが、一般的には「見事」と表記されています。
「物の見事に」の意味
見事という言葉を用いた言い回しに「物の見事に」があります。「見事に」を強めた表現で、完璧に行うことや、きわめてあざやかに行われるさまを意味します。「物の見事に言い当てた」などと使います。
見事の対義語
見事の対義語・反対語としては、できばえが悪いことを意味する「不細工」、貧弱でみすぼらしく見えることを意味する「貧相」、みすぼらしく見劣りのすることを意味する「貧弱」などがあります。
見事の類語
見事の類語・類義語としては、非常にすぐれているさまを意味する「立派」、技術・動作などがきわだって巧みであるさまを意味する「あざやか」、完全にある状態になっているさまを意味する「すっきり」などがあります。
流石の例文
この言葉がよく使われる場面としては、改めて感心するさま、そうとばかりも言えないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「流石ですね」とは、相手の人が評判通り、期待通りの結果を出したことを認めて、大したものだ、と褒めている表現です。例文2にあるように、流石とは相手に期待するとか、評判どおりかどうかを見極める、というニュアンスがあるので目上の人に使うべきではないケースもあります。
例文5の流石は、そのものの価値を認めはするが、特定の条件下ではそれを否定するさまの意味で使われています。「さしもの」と言い換えることができます。
見事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、立派なさま、あざやか、完全であるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある見事は、素晴らしいさまや立派なさまの意味で使われています。例文2にある「見事なまでに」とは、見事と言えるくらい、見事という言葉がぴったりなほどのような意味になります。例文5で使われている見事は、完全であるさまを意味し、すっかりという言葉に言い換えることができます。
流石と見事という言葉は、似た表現をする言葉ですが意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、改めて感心するさまやそうとばかりも言えないことを表現したい時は「流石」を、立派なさまや完全であるさまを表現したい時は「見事」を使うようにしましょう。