同じ「きてい」という読み方の「規定」と「既定」と「規程」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「規定」と「既定」と「規程」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
規定と既定と規程の違い
規定と既定と規程の意味の違い
規定と既定と規程の違いを分かりやすく言うと、規定は一つの決まりを表現する時に使い、既定はすでに決まっていることを表現する時に使い、規程はいくつかの決まりの集まりを表現する時に使うという違いです。
規定と既定と規程の使い方の違い
規定という言葉は、「一時的に特別な規定を設ける」「規定されている手続き方法を調べる」などの使い方で、物事を定めることや、定められた内容を意味します。
既定という言葉は、「既定のアプリに設定する」「既定値を復元しておく」などの使い方で、決められていた物事を意味します。
規程という言葉は、「規程の一部を再度話し合う」「所属団体の規程を確認しておく」などの使い方で、いくつかの決まり事がまとまったものを意味します。
規定と既定と規程の使い分け方
一つ一つの決まり事である「規定」がいくつか集まったものが「規程」と表されます。ただし、意味の紛らわしい漢字として扱われていることから、法令などの公用文において、法令の名称としては原則「規則」を使うとしています。
また、規定という言葉は「規定する」の形で動詞として使うことができますが、規程は「規程する」のように使うことはできず、名詞としてしか使うことができません。
一方の「既定」は、すでに決まっていることを意味する言葉であるため、規定や規程とは意味が違います。これらが三つの言葉の明確な違いです。
規定の意味
規定とは
規定とは、物事を一定の形に定めることを意味しています。
表現方法は「規定する」「規定を設ける」「規定を満たす」
「規定する」「規定を設ける」「規定を満たす」などが、規定を使った一般的な言い回しです。
規定の使い方
規定を使った分かりやすい例としては、「就業規則には有給について規定する必要がある」「会社で罰金に関する規定を設けるのは違法なのではないか」「野球では5回まで投げた先発投手が勝利投手の規定を満たす」などがあります。
規定を使った言葉として、「規定打席」「規定種目」があります。
「規定打席」の意味
一つ目の「規定打席」とは、プロ野球において打撃ランキングの対象になるために必要な打席の数を意味する言葉です。
打って記録を残した自分の手番がどの程度の確率であったかを表す打率が最も高い選手に与えられる首位打者の称号や、アウトにならずに塁に出た確率を表す出塁率が高い選手に与えられる最高出塁率の称号は、規定打席を満たした選手が対象となります。
「規定種目」の意味
二つ目の「規定種目」とは、競技や検定などで技術や技能を審査するために定められた種目を指します。また、オリンピックなどでスキー、フィギュアスケートや、二日間で合計十種の種目を行う十種競技などで競技者が行うことを定められた種目を指します。
規定の類語
規定の類語・類義語としては、行動や判断の基準となるものを意味する「規準」、規準などから外れないように全体を統制することを意味する「管理」、人の行為の基準として定められたものを意味する「規律」があります。
既定の意味
既定とは
既定とは、すでに決まっていることを意味しています。
既定の読み方
既定は「きてい」という読み方をしますが、「すでてい」や「きさだ」などの読み方はしません。
表現方法は「既定の設定」「既定の方針」「既定事項」
「既定の設定」「既定の方針」「既定事項」などが、既定を使った一般的な言い回しです。
既定の使い方
既定を使った分かりやすい例としては、「このPCの既定の設定ではデフォルトの検索エンジンはbingになっている」「既定の方針に従っていない納品物は全て却下せざるを得ない」「今回の決定は数年前からの既定事項だったという噂がある」などがあります。
「既定路線」の意味
既定を使った言葉として、「既定路線」があります。これは、すでに決まっている方針や指針であったり、どのように進めていくかが決定されている方向性などを意味する言葉です。
既定の対義語
既定の対義語・反対語としては、偶然にまかせることを意味する「無作為」、まだ決まっていないことを意味する「未定」、不確かなことを仮にこうと定めることを意味する「仮定」があります。
既定の類語
既定の類語・類義語としては、はっきりと定まることを意味する「確定」、正式の発表の前に内々で定まることを意味する「内定」、決められていることを意味する「所定」、正式な決定がなされるまでとりあえず定めることを意味する「暫定」などがあります。
規程の意味
規程とは
規程とは、決まりや定めを意味しています。
表現方法は「社内規程」「規程を作る」「規程を定める」
「社内規程」「規程を作る」「規程を定める」などが、規程を使った一般的な言い回しです。
規程の使い方
規程を使った分かりやすい例としては、「どこの会社にも独自ルールとも言える社内規程が存在する」「就業規則に新たに規程を作る場合は労働者の合意が必要となる」「賃金に関する規程を定める場合は同業他社を参考にすると良い」などがあります。
「服務規程」の意味
規程を使った言葉として、「服務規程」があります。これは、会社で働く人が守らなければならない規則を指す言葉で、企業などによっては「職務規程」とも言われています。
また、「服務規程」と似た言葉に「就業規則」という言葉がありますが、これらの違いは、前者が会社から従業員に対するものであるのに対して、後者は労働基準法に基づいて作られた賃金に関してなど、会社と従業員との間のルールです。
そのため、就業規則の一部に服務規程が含まれているということになります。場合によっては、団体名の後ろに規程を付けることで、その団体独自のルールを示していることもあります。
規程の類語
規程の類語・類義語としては、従うべききまりを意味する「規制」、規則にのっとることを意味する「準則」、物事の基準となる社会一般の標準を意味する「規格」、守らなければならない決まりを意味する「法則」があります。
規定の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を定めることや、定められた内容を意味する時などが挙げられます。
例文1の「規定に抵触する」とは、規定に反するということを意味する言葉です。
例文2の「規程する」という使い方は、規程という言葉ではできないため、置き換えて使うことはできません。
例文3の「規定に基づいて」という表現は、「規定に従って」「規定に準じて」「規定によって」などの表現に変えることが出来ます。
既定の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すでに決められた物事を意味する時などが挙げられます。
既定という言葉は、規定や規程といった言葉とは意味が全く違うため、置き換えて使うことはできません。
規程の例文
この言葉がよく使われる場面としては、決まり事を意味する時などが挙げられます。
例文2の「規程に則る」という表現は、「規程に準ずる」「規程に従う」などの表現に変えることができます。
どの例文も、規定という言葉に置き換えて使うことができます。
規定と既定と規程どれを使うか迷った場合は、一つの決まり事を表す場合は「規定」を、すでに決まっていることを表す場合は「既定」を、いくつかの決まり事の集まりを表す場合は「規程」を使うと覚えておけば間違いありません。