【事象】と【現象】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文
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似た意味を持つ「事象」(読み方:じしょう)と「現象」(読み方:げんしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。

「事象」と「現象」という言葉は、どちらも観察・観測される物事のことを意味しているという共通点があり、本来の意味は違いますが混同して使用される傾向があります。



事象と現象の違い

事象と現象の違いを分かりやすく言うと、事象というのは一定の条件や環境の下で起こるもののこと、またはあるジャンルに属する物事のことを意味していて、現象というのは人間に知覚されるもののことを意味しているという違いです。

事象と現象に共通する「象」という漢字は、「すがた」「かたち」「ようす」という意味です。「ようす」という意味から、事象と現象は両方、観測したり観察されたりするもののことを意味しています。

事象と現象という言葉は、どちらの言葉を使っても、もう一方の意味が含まれてしまう場合が多いので、意味の違いを押さえるだけでなく、使い方に慣れる必要があります。

ひとつめの事象という言葉は、想定された条件や環境の中で起こる物事のことを意味しています。例えば、科学の実験の際には、あらかじめ人為的な環境を用意して、どのような事が起こるかを調べていきます。

人為的な環境設定とは、例えば、理科や物理の問題でよく目にする、「摩擦はないものとする」「空気抵抗はないものとする」というような条件のことです。このような問題でわたしたちが答えるもののことを事象とイメージすると分かりやすいでしょう。

また、この事象という言葉は、ある範囲やジャンルに属する物事のことを意味しています。例えば、自然界の物事を意味する「自然の事象」、人間社会の物事を意味する「人間界の事象」、芸術的な事柄を意味する「芸術的事象」などの表現を考えることが出来ます。

ふたつめの現象という言葉は、実際に現れている出来事・物事のことを意味しています。「事象」と違って、条件や環境などの限定はなく、「現れている」という点に力点が置かれています。「現れている」とは、五感や想像の中に現れていることを意味します。

ここでの「現れている」という意味ですが、「現」という漢字は、「現に」(読み方:げんに)という副詞表現があるように、「想像や理屈ではない実際の事実のようす」という意味合いを含んでいます。

理屈抜きにという意味が、現象を事象から区別するものです。「事象」が、環境や条件を設定したり、範囲を明確化しなければならないという点で理論的、理屈的であることを求めるのに対して、「現象」は「現れている事実」という点に意味の力点があります。

例えば、哲学でこの世界全体のことを「現象界」(読み方:げんしょうかい)と呼ぶことがあることを知っておくと、現象という言葉のイメージが掴みやすくなるでしょう。この世界で実際に起こっていることは全て、それぞれが一つの現象なのです。

注意しなくてはいけないのは、現れているがままの「現象」にも、当然、それを引き起こしている条件や環境が考えられ、また分類されてある範囲に属するものと見なされることがあるという点です。

その場合、「事象」という言葉と意味が近くなります。使い分けは、はっきり区別できる意味よりも、どういうニュアンスをその言葉に込めたいかに基づきます。例えば、目の前の出来事を意味するのは「現象」の方ですが、「眼前の事象」という表現もあるのです。

事象の意味

事象とは、あらかじめ想定された事情の下で起こる出来事・物事のこと、原因を持つ物事のこと、またはあるジャンルや範囲の中に属する出来事・物事のことを意味しています。学術や評論など、硬質な文章で使われることの多い言葉です。

「あらかじめ想定された事情の下で起こる」という意味では、事象という言葉は主として確率論で用いられる言葉です。サイコロを投げると1から6のいづれかの目が出ますが、この「どれかの目が出る」ということを事象と表現します。

また、科学実験の対象のことを事象と表現することもあります。実験とは事象を検証する営みだ、と言われることがありますが、その意味するところは、条件や方法と結果の間に関係があるかどうかを調べて、原因や条件を明らかにすることだからです。

注意が必要なのは、実験などで観察される事柄自体のことは、むしろ現象と呼ばれる傾向があることです。「放電現象」「発熱現象」「天体現象」などが挙げられます。この場合、原因や条件よりも、観察・観測されるがままの事実ということが念頭に置かれています。

このように、事象と現象は意味上の境界線をはっきりさせることが出来ない言葉ですが、「条件や基づく出来事・物事のこと」を意味しています。

また、あるジャンルや範囲に属する出来事・物事という意味では、事象という言葉はより広い範囲を表現します。例えば歴史上の出来事を「歴史的事象」といったり、さらには「現実という範囲」を意図して、「現実の事象」ということも出来ます。

事象の「事」という漢字を使った別の言葉として、世の中で問題となる出来事を意味する「事件」、事実や事件を起こったままに書き記すことを意味する「叙事」、出来事の成り行き意味する「事態」、古い事柄を意味する「故事」があります

現象の意味

現象とは、現れている事物のことを意味しています。具体的には、感覚器官を通じて現れたり、心のなかに浮かんだりする物事のことや、観察される物事のありのままの姿のことを意味しています。

言葉の意味をそのまま受け取れば、目に映る全てのものは現象と言うことが出来ます。実際、現象というのは、哲学用語として、この世界にあるすべての物事、さらには世界全体を意味する言葉としても使われます。

この場合のように、目に映る物事のことをすべて現象と呼ぶとき、この言葉には「偽りのみかけの姿」という意味が込められています。目に映る姿は本質を捉えていないということです。この意味が強くなると、現象は「仮象」と言われます。

現象というのは、「〇〇現象」という形で使用されることが多い言葉です。科学的に解明されていても、「起こる、現れる」という点に力点がある場合には、現象が用いられます。「エルニーニョ現象」や「フェーン現象」などのように、気象学で多く用いられます。

現象の現という字を使った別の言葉として、具体的な形にすることを意味する「具現化」、
思想や理念などを身をもって表すことを意味する「体現」、姿形が疑いようなく現れていることを意味する「顕現」などが挙げられます。

また、象という字を使った別の言葉として、物事の外観を意味する「形象」、行動目標のことや、意識に現れるもののことを意味する「対象」、明確な姿形を持っていることを意味する「具象」、形を持った万物を意味する「万象」などが挙げられます。

事象の例文

1.雑多な事象の中から本質的なものごとを見抜く能力が必要だ。
2.その冒険家はその時の出来事について「未知の事象に遭遇したようだった」と述懐した。
3.世界のいっさいを単純な法則に還元して、すべてを予測可能で必然の事象とする野心が、若いころの彼にはあった。
4.その作家は、自分の心的事象を表現する言葉に苦心している。
5.人間の社会に起こる事象は、痛ましいものがおおい。

この言葉がよく使われる場面としては、ある範囲・ジャンル・領域に属する物事を表現したい時などが挙げられます。「一定の条件や環境の下で起こる」という意味でよりも、この意味の方が指し示す範囲が広いため、多く用いられる傾向があります。

事象という言葉を「ある範囲に属するもの」と考えると、あらゆる物事のことを事象と表現することができるということが分かります。耳慣れない言葉ですが、世界に属するものを「世界事象」と言うことも出来るのです。

事象という言葉を使う時には、まずはそれがどのようなジャンルのものなのかを意識するようにしましょう。次に、使われた事象という言葉が何らかの環境や条件に基づいていないかを考えるようすれば、事象という言葉の意味が次第に納得できるようになります。

現象の例文

1.観察される現象の変化をつぶさに記録する。
2.御神渡りとは、簡単に言うと、凍った湖面に一直線に亀裂が入る現象のことだ。
3.「〇〇現象」という言葉をインターネットで検索すると、その数の多さに驚かされる。
4.それはいまだ原因が判明していない自然現象だ。
5.小さいころは、身の回りのことがすべて不思議な現象に思えていた。

この言葉がよく使われる場面としては、実際に起こっている事柄の見かけのようすを表現したい時などが挙げられます。哲学用語としては「偽りの姿形」という意味合いのある言葉ですが、日常で使用する際には、ふつう、そうした意味はありません。

例文4は、事象と現象の区別を示しています。自然現象とは存在することが確認されている物事のことなので、その発生原因が判明しているかどうかには関係がありません。

現象という言葉は、物事の見た目の姿形のことを伝えたい時に用いられます。この言葉を使う時には、具体的な形がイメージできるかどうかを考えるようにしましょう。そうすれば、事象との混同を減らすことができます。

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