似た意味を持つ「奏功」(読み方:そうこう)と「成功」(読み方:せいこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「奏功」と「成功」という言葉は、どちらも物事が上手くいくことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
奏功と成功の違い
奏功と成功の意味の違い
奏功と成功の違いを分かりやすく言うと、奏功とは経過や手段に重きを置いた表現、成功とは結果に重きを置いた表現という違いです。
奏功と成功の使い方の違い
一つ目の奏功を使った分かりやすい例としては、「このような取り組みが奏功し、街は発展した」「不屈の精神が奏功した」「住宅用火災警報器の奏功事例をご紹介します」「テコ入れ施策も奏功せず失策となった」などがあります。
二つ目の成功を使った分かりやすい例としては、「海外進出によって成功した企業です」「ボーナスを完全な成功報酬型にします」「学生時代の成功体験を教えてください」「歴史的成功を収めた偉人だ」「音楽家として成功した」などがあります。
奏功と成功の使い分け方
奏功と成功という言葉は、音の響きが似ており、どちらも目標や目的通りに物事が上手くいくことを表し、混同して使われる傾向があります。二つの言葉の共通する意味では、使い分けが難しい言葉ですが、あえて違いを言うならば強調する部分でしょう。
奏功は、目標や目的のためにあれこれと考えて実践し、それが上手くいくことを意味し、上手くいく過程に重きを置いた表現です。成功は、望んでいる目標や目的に達することを意味し、結果に重きを置いた表現です。過程と結果のどちらを強調したいのかによって、使い分けると良いでしょう。
さらに、成功には、富や社会的地位を得ることの意味も持っています。上記の例文にある「歴史的成功」や「音楽家として成功」はこの意味で使われています。これらが、奏功と成功という言葉の違いになります。
奏功と成功の英語表記の違い
奏功も成功も英語にすると「success」「achievement」「fruition」となり、例えば上記の「このような取り組みが奏功した」を英語にすると「these kinds of measures were successful」となります。
奏功の意味
奏功とは
奏功とは、目標どおりの成果があがること、功を奏することを意味しています。
奏功の使い方
奏功を使った分かりやすい例としては、「地道な努力が奏功した結果です」「その経済対策が奏功するのか疑わしい」「リニューアルが奏功しアクセス数が倍増した」「監督の采配が奏功しチームは躍進した」などがあります。
その他にも、「彼が譲歩したのは説得が奏功したのだろう」「作戦が奏功し一セット先取できた」「作業効率にはデジタル化が奏功するはずだ」「見守り運動が奏功し不審者が減った」「メンバーチェンジも奏功せず敗退してしまった」などがあります。
奏功は「功を奏する」という慣用句の熟語
奏功という言葉は「功を奏する」という慣用句の熟語です。功を奏するとは、功績を天子に奏上する意であり、効果を現すことや成功することを表します。奏功とは、目標や目的のために作戦を立てたり努力したりして、それが上手くいくことを意味する言葉です。
「薬の奏功率」「治療が奏功する」は誤字
奏功と間違いやすい熟語に、同音で一文字違いの「奏効」があります。奏効は、物事の効果があらわれることの意味であり、主に医療や薬に関して使われます。奏功の間違えやすい言い回しには「薬の奏功率」「治療が奏功する」があり、これらは正しくは「薬の奏効率」「治療が奏効する」です。
奏功の対義語
奏功の対義語・反対語としては、出来が悪いことを意味する「不出来」、最後がうまくいかないことを意味する「不首尾」、物事がうまく進まずしくじることを意味する「蹉跌」などがあります。
奏功の類語
奏功の類語・類義語としては、成し遂げることや目的を果たすことを意味する「達成」、みごとにやってのけることを意味する「大出来」、物事がうまい具合に運ぶことを意味する「上首尾」、物事を成し遂げることを意味する「成就」などがあります。
成功の意味
成功とは
成功とは、物事を目的どおりに成し遂げることを意味しています。
その他にも、「物事をうまく成し遂げて社会的地位や名声などを得ること」の意味も持っています。
表現方法は「成功する」「成功したい」「大成功」
「成功する」「成功したい」「大成功」などが、成功を使った一般的な言い回しです。
成功の使い方
「三度目の実験は成功だ」「必ず成功を収めるつもりだ」「成功体験が自己肯定感を育む」「イベントは成功裏に終わりました」などの文中で使われている成功は、「物事を目的どおりに成し遂げること」の意味で使われています。
一方、「芸術家として成功する」「東洋風のテイストで成功したデザイナーだ」「成功者となりたいなら努力しなさい」「成功者の習慣をまねる」などの文中で使われている成功は、「物事をうまく成し遂げて社会的地位や名声などを得ること」の意味で使われています。
成功という言葉は、上記の例文のように複数の意味を持つ言葉です。目的を達成することや、事業を完成すること、あるいは、富や社会的地位を得ることの意味があり、文脈により捉える必要があります。
成功の読み方
成功は「せいこう」と読みます。「じょうごう」という読み方もありますが、平安中期以降に盛んになった売官制度のことであり、歴史用語になります。
「成功報酬」の意味
成功という言葉を用いた日本語には「成功報酬」があり、依頼された物事を成し遂げた場合に支払われる報酬を意味します。似た表現には「成果報酬」があり、こちらは一定の条件をクリアした場合に報酬が支払われることを意味します。
成功の対義語
成功の対義語・反対語としては、成功しないことを意味する「不成功」、物事をやりそこなうことを意味する「失敗」、仕事や計画などが中途で失敗しだめになることを意味する「挫折」などがあります。
成功の類語
成功の類語・類義語としては、成功することや富や地位を得ることを意味する「サクセス」、業績を成し遂げてすぐれた人になることを意味する「大成」、完全に成し遂げることを意味する「完遂」、物事が成就することを意味する「入眼」などがあります。
奏功の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目標どおりの成果があがること、功を奏することを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「奏功事例」とは、うまく作動することで成果があったり効果があった事例を表します。例文3の「作用効果不奏功の抗弁」とは、作用効果を奏しないことを理由として特許発明の技術的範囲への非充足とする抗弁のことです。
成功の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を目的どおりに成し遂げること、社会的地位や名声などを得ることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「成功裏」は「成功裡」とも書き、成功の状態にあることを意味する表現です。例文4にある「大成功」とは、大きな成功を収めること、非常に良い結果となったことを意味します。例文5の「成功体験」とは、苦手を乗り越えたり、努力が報われたなど成功を実感した経験を表した言葉です。
奏功と成功という言葉は、どちらも物事が上手くいくことを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事が上手くいった経過に重きを置いた表現をしたい時は「奏功」を、上手くいった結果に重きを置いた表現をしたい時は「成功」を使うようにしましょう。