似た意味を持つ「可否」(読み方:かひ)と「可不可」(読み方:かふか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「可否」と「可不可」という言葉は、どちらも事の良いことと悪いことを表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
可否と可不可の違い
可否と可不可の意味の違い
可否と可不可の違いを分かりやすく言うと、可否とは事の良し悪しや賛否を意味し、可不可とは可能なことと不可能なことを意味するという違いです。
可否と可不可の使い方の違い
一つ目の可否を使った分かりやすい例としては、「この企画案について会議で可否を問う」「可否を決定しかねる難しい問題だ」「参加の可否を確認する」「文書の押印廃止については今年度末までに可否判断します」などがあります。
二つ目の可不可を使った分かりやすい例としては、「名前の公表について可不可をお知らせください」「故障した場合、修理の可不可に関わらず弁償して頂きます」「博物館などでは撮影の可不可をご確認ください」などがあります。
可否と可不可の使い分け方
可否と可不可という言葉は、どちらも事の良し悪しを意味したり、「参加の可否」「参加の可不可」といった物事のイエス・ノーを問う時に使われる言葉です。しかしながら、二つの言葉には、良いことと悪いことという、事の良し悪しを表すという共通の意味のほかに、それぞれ違う意味を持っています。
可否という言葉は、一個人や団体として賛成するか不賛成か、また会議において可決するか否決するかという意味を持っています。上記の例文の「会議で可否を問う」の可否はこの意味で使われているため、可不可という言葉に置き換えることはできません。
一方、可不可という言葉は、可能なことと不可能なことのいう意味を持っています。上記の例文にある「修理の可不可」の可不可はこの意味で使われているため、可否という言葉に置き換えることはできません。
また、可不可という言葉は、おもに可能性を問う意味で使われる傾向があり、二つの言葉に共通する「良いこと、悪いこと」の意味では、可不可よりも可否という言葉が多用されていることを覚えておきましょう。
可否と可不可の英語表記の違い
可否を英語にすると「propriety」「right and wrong」「advisability」「aye and no」となり、例えば上記の「可否を問う」を英語にすると「take the ayes and noes」となります。
一方、可不可を英語にすると「determine the possibility」「possible or not」となり、例えば上記の「可不可をお知らせください」を英語にすると「Please let us know whether it is possible or not」となります。
可否の意味
可否とは
可否とは、良いか良くないか、事のよしあしを意味しています。
その他にも、賛成と不賛成、可決と否決の意味も持っています。
表現方法は「参加の可否」「可否を伺う」「可否判断」
「参加の可否」「可否を伺う」「可否判断」などが、可否を使った一般的な言い回しです。
可否の使い方
「原発の可否を検討のうえ、周辺住民に是非を問う」「感染の疑いのある従業員の就労の可否を議論する」「その問題の可否を論じる」などの文中で使われている可否は、「良いか良くないか」の意味で使われています。
一方、「大会開催の可否判断は大会事務局長に委ねられている」「議案の採決を取ったが可否相半ばする結果であった」「特別株主総会で合併の可否を問う」などの文中で使われている可否は、「賛成と不賛成、可決と否決」の意味で使われています。
可否という言葉にある「可」とは、成績評価で使われる優良可のように「良いこと、よろしい」という意味と、可能や許可のように「できる」という意味があります。「否」とは、そうではないという反対の意味があります。
可否には上記の例文のように複数の意味がありますが、ビジネスシーンにおいては「賛成と不賛成、可決と否決」の意味で使われることがほとんどです。例えば「会議で可否を採る」といった場合、会議において議案の採否を会議構成員の賛否をとって決定することを意味します。
可否の類語
可否の類語・類義語としては、適することと適さないことを意味する「適否」、当たりはずれや道理に合うことと合わないことを意味する「当否」、採用するかしないかということを意味する「採否」、賛成と不賛成を意味する「賛否」、良いことと悪いことを意味する「善悪」などがあります。
可不可の意味
可不可とは
可不可とは、可能なことと不可能なことを意味しています。
その他にも、良いことと悪いことの意味も持っています。
表現方法は「可不可に関わらず」「実施可不可」「対応の可不可」
「可不可に関わらず」「実施可不可」「対応の可不可」などが、可不可を使った一般的な言い回しです。
可不可の使い方
「お申込みいただいた予約の可不可については後日お知らせします」「対応の可不可に関わらず折り返しご連絡いたします」「審査の前に加入の可不可について明確な回答は致しかねます」などの文中で使われている可不可は、「可能なことと不可能なこと」の意味で使われています。
一方、「事の可不可をわきまえて行動しなさい」「物の可不可が分かならい男だ」「ワンマン社長のもと可不可を論ずる社員はいなかった」などの文中で使われている可不可は、「良いことと悪いこと」の意味で使われています。
可不可という言葉は、上記の例文のように複数の意味がありますが、「可能なことと不可能」の意味で使われることが多い言葉です。可不可は、「可」と「不可」が組み合わさった言葉であり、可能性を問う時に使われています。
ちなみに中国語で「可不可以」とは、「あなたは出来る」という肯定の意味を持ち、日本語の「可不可」とは意味が全く異なるのでご注意ください。
可不可の類語
可不可の類語・類義語としては、出来ることとと出来ないことを意味する「能否」、好むことと憎むことを意味する「好悪」、良いことと悪いことを意味する「善し悪し」、正しいことと正しくないことを意味する「是非」、引き受けることと断ることを意味する「諾否」などがあります。
可否の例文
この言葉がよく使われる場面としては、良いか良くないか、賛成と不賛成、可決と否決を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「可否判断」とは、その問題に対してどうすればよいかを判断することを意味します。
例文2にある「参加の可否」とは、「参加ができるか、できないか」ということです。「参加の可不可」とも言い換えることができます。本来、可否という言葉には可能性を問う意味がありませんが、昨今はこのような使い方が一般的になっています。
可不可の例文
この言葉がよく使われる場面としては、可能なことと不可能なこと、良いことと悪いことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「受講の可不可」とは、受講できるか、受講できないかを意味し、例文2にある「実施の可不可」とは、実施できるか、実施できないかを意味します。可不可という言葉は文語的表現であり、くだけた言い方にすると「出来るか、出来ないか」になります。
可否と可不可という言葉は、どちらも事の良し悪しという共通する意味を持ちますが、この意味では可否という言葉が使われるのが一般的です。さらに、可否には賛成と不賛成という意味が、可不可には可能なことと不可能なことという意味があることを覚えておきましょう。