【時勢柄】と【時世柄】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「じせいがら」という読み方の「時勢柄」と「時世柄」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「時勢柄」と「時世柄」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




時勢柄と時世柄の違い

時勢柄と時世柄の意味の違い

時勢柄と時世柄の違いを分かりやすく言うと、時勢柄とは世の中の動きにふさわしいことを表し、時世柄とは世の中の状況にふさわしいことを表すという違いです。

時勢柄と時世柄の使い方の違い

一つ目の時勢柄を使った分かりやすい例としては、「感染症が猛威をふるう時勢柄、外出しにくい」「外食が気軽にできる時勢柄ではありません」「健康志向の時勢柄に合った商品を開発する」などがあります。

二つ目の時世柄を使った分かりやすい例としては、「このご時世柄から、生活様式を変えました」「ご時世柄、英語を話せるようになりたいです」「コロナのご時世柄、飲みに誘いづらい」などがあります。

時勢柄と時世柄の使い分け方

時勢柄と時世柄という言葉は、どちらも「じせいがら」と読み、同じような使い方をする言葉なのですが、厳密な意味には違いがあります。

時勢柄という言葉の「時勢」とは、世の中の変化を動的に捉えた言葉です。時勢柄とは世の中の流れや傾向に適していることを表し、「感染症が猛威をふるう時勢柄」とは世の中に感染症がもの凄い勢いで拡大しており、それに適合している様子のことです。

時世柄という言葉の「時世」とは、世の中の状況を静的に捉えた言葉です。時世柄とは世の中のありさまに適していることを意味します。上記の例文にある「ご時世柄、英語を話せるようになりたい」のご時世柄とは、国際化社会に対応することを表現しています。

つまり、時勢柄とは世の中の動きに対応しているさま、時世柄とは世の中の状況に対応しているさまを表すという違いがあります。また、時勢柄に接頭語をつけることは少なく、時世柄は接頭語の「ご」を付けて「ご時世柄」と表すことが多いのも、二つの言葉の違いになります。

時勢柄と時世柄の英語表記の違い

時勢柄も時世柄も英語にすると「in these times」「in times like these」となり、例えば上記の「時勢柄、外出しにくい」を英語にすると「It is difficult to go out in these times」となります。

時勢柄の意味

時勢柄とは

時勢柄とは、世の中の成り行きに相応していることを意味しています。

時勢柄の使い方

時勢柄を使った分かりやすい例としては、「時勢柄イベント中止は仕方がないだろう」「会場はコロナ禍の時勢柄、徹底的に消毒しています」「時勢柄、年賀状にはコロナの話題が多い」「時勢柄テレワークが主流になりつつある」などがあります。

その他にも、「ビジネスマナー講座は時勢柄オンラインで行います」「時勢柄ビジネスの商談もWebで行っています」「大人数が集まることは時勢柄できません」「時勢柄、入試でも英語の配点が高くなっています」などがあります。

時勢柄という言葉の「時勢」とは、時代や世の移り変わる勢いを意味します。「柄」は名詞の下に付いて、その性質などにふさわしいことを表わす接尾語です。時勢柄とは、世の中の流れや風潮に適した様子を表す言葉です。

時勢の類語

時勢の類語・類義語としては、その時代の風潮や傾向を意味する「時流」、物事のなりゆきがある方向に傾き向かうことを意味する「趨向」、 物事の大勢や態度が特定の方向にかたむくことを意味する「傾向」などがあります。

時世柄の意味

時世柄とは

時世柄とは、時代や世の中に相応していることを意味しています。

時世柄の使い方

時世柄を使った分かりやすい例としては、「物騒な今のご時世柄、夜の外出を控えています」「ご時世柄コロナ対策に気を遣っています」「ご時世柄、マスクを持ち歩いています」「電車で話をする人が少ないのはご時世柄でしょう」などがあります。

その他にも、「メールが主流のご時世柄、電話はかけにくいです」「ご時世柄、結婚しない人は珍しくありません」「ご時世柄、英語留学をキャンセルしました」「ご時世柄、表札を出さない家もあります」などがあります。

時世柄という言葉の「時世」とは、時代や世の中のありさまを意味します。物事や性質などにふさわしいさまを表す「柄」と結びつき、時世柄とは、世の中のありさまや状態に適した様子を表します。

時世柄の類語

時世柄の類語・類義語としては、何かの意味における一定の時の長さを意味する「時代」、人々時の流れをあるまとまりで区切った期間を意味する「年代」、世間の人々の間や社会の人間関係などを意味する「世の中」があります。

時勢柄の例文

1.感染症が蔓延している時勢柄、テイクアウト可能な飲食店が増えています。
2.時勢柄ビジネスメールの挨拶においても、コロナウイルスに触れることが多くなりました。
3.各種業界でグローバル化が進んでいる時勢柄か、ビジネス英語を学びたい人が増えています。
4.地球温暖化の問題に関心が寄せられている時勢柄、エアコンを使うことに抵抗を感じている人もいます。
5.レジ袋有料化の時勢柄、いつもエコバックを持ち歩くようになりました。
6.国際化が著しい時勢柄なので、世界に発信するならば英語やフランス語などを使えるようにならなくてはだめだ。
7.時勢柄イベントが中止になるのは仕方がないとしても、子供たちの大切な時間が失われるのは問題だと思うのだ。
8.わが社ではミニマリズムの時勢柄に合ったシンプルなデザインの家電製品を開発することになり、わたしがその責任者に選ばれた。
9.あの時はバブル経済の時勢柄、財テクをやらない企業などただの変わり者でしかなかったので、ほとんどがこぞって飛びついていたのだ。
10.オリンピックの時勢柄もあって、子供にスポーツをやらせたい親が増えていくのが目に見えていたので、これは商機だと思ったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、世の中の成り行きに相応することを表現したい時などが挙げられます。

例文1では感染症が流行していることに適していることを時勢柄と表し、例文3では各種業界でグローバル化が進んでいる流れを時勢柄と表しています。例文5では、レジ袋を有料化する店舗が増えていることを時勢柄と表現しています。

時世柄の例文

1.コロナ禍のご時世柄、都内の宿泊施設には閑古鳥が鳴いています。
2.ご時世柄、マスクや消毒スプレーを持ち歩く日々が続いています。
3.このご時世柄、新入生歓迎会はオンラインで開催することになりました。
4.個人情報の管理に厳しいご時世柄、家に持ち帰って仕事が出来ないこともあります。
5.トランスジェンダーのご時世柄、制服のあり方を検討する学校があります。
6.昨今はセクハラ・パワハラに厳しい時世柄になったものだから、威張り散らすような上司はどんどん淘汰されて行くのだろうな。
7.環境保護の時世柄とはいえ、レジ袋が有料になるのは何かと不便だし、エコバッグを持ち歩くのも面倒だと思ってしまう。
8.最近は健康志向の時世柄もあって、近くの公園ではヨガをやる人やジョギングをするものでごった返していた。
9.田舎であっても物騒な時世柄、社会人の娘には夜遅くなったらタクシーで帰るように口を酸っぱくして言っている。
10.むかしは家を建てる時には近所の人を集めて餅まきをやっていたが、不景気の時世柄そのような行事をやる家も少なくなってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、時代や世の中に相応することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、時世柄という言葉は接頭語の「ご」を伴い「ご時世柄」と表現されることが多くあります。例文1にある「コロナ禍の時世柄」とは、新型コロナウイルス感染症流行によって引き起こされる、災難が多い世の中にふさわしい様子を表します。

時勢柄と時世柄という言葉は、どちらも世の中に適していることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、世の中の動きにふさわしいことを表現したい時は「時勢柄」を、世の中の状況にふさわしいことを表現したい時は「時世柄」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター