似た意味を持つ「ともすれば」と「ややもすれば」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ともすれば」と「ややもすれば」という言葉は、どちらも放置しているとある状況になりやすいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ともすれば」と「ややもすれば」の違い
「ともすれば」と「ややもすれば」の意味の違い
「ともすれば」と「ややもすれば」の違いを分かりやすく言うと、「ともすれば」と「ややもすれば」はほぼ同じ意味を持つ言葉ですが、「ややもすれば」の方がその状態になる度合いが強いという違いです。
「ともすれば」と「ややもすれば」の使い方の違い
一つ目の「ともすれば」を使った分かりやすい例としては、「ともすれば自宅に籠りがちになる」「ともすれば初心を忘れそうになる」「ともすればこの企画は中止になるかもしれない」「政府はともすればメディアを統制したがる」などがあります。
二つ目の「ややもすれば」を使った分かりやすい例としては、「ややもすれば明日の会議は中止になるかもしれない」「ややもすれば安易な生活に流れがちだ」「日本の高校生はややもすれば勉強しすぎる」「ややもすれば気持ちがくじけそうになりやすい」などがあります。
「ともすれば」と「ややもすれば」の使い分け方
「ともすれば」と「ややもすれば」は、放任しているとそのような状態になりやすいというほぼ同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
「ともすれば」よりも「ややもすれば」の方がある状態になりがちであるという程度が強いことです。そのため、「ややもすれば」は何かちょっとしたことが起きるだけでというニュアンスで使うことが多いです。
例えば上記の「ともすれば自宅に籠りがちになる」とすると、場合によっては自宅に籠るかもしれないという意味になりますが、「ややもすれば自宅に籠りがちになる」とすると何かちょっとしたことで自宅に籠るかもしれないという意味になります。
「ともすれば」と「ややもすれば」の英語表記の違い
「ともすれば」を英語にすると「maybe」「perhaps」「be given to doing」「be apt to do」となり、例えば上記の「政府はともすればメディアを統制したがる」を英語にすると「The government prone to control the media」となります。
一方、「ややもすれば」を英語にすると「be apt to do」「being inclined to」「be given to doing」となり、例えば上記の「日本の高校生はややもすれば勉強しすぎる」を英語にすると「Japanese high school student are apt to overwork themselves」となります。
「ともすれば」の意味
「ともすれば」とは
「ともすれば」とは、しばしそうなる傾向があることを意味しています。
「ともすれば」の使い方
「ともすれば」を使った分かりやすい例としては、「ともすれば学校を休みがちになる」「ともすれば離婚という結果になりかねない」「連日寒い日が続いてるいのでともすれば明日は雪が降るかもしれない」「ともすれば会社をサボってしまいそうになる」などがあります。
「ともすれば」は物事がそのような状態になりやすいこと、しばしそうなる傾向があること、場合によってはというニュアンスで使います。ビジネスシーンだけではなく日常生活でも使えるので、様々な場面で使うことができる言葉になります。
上記の例文の「ともすれば学校を休みがちになる」「ともすれば離婚という結果になりかねない」「ともすれば会社をサボってしまいそうになる」などのように、そのままにしておくとマイナスな状態になる場合に使うのが一般的です。
「ともすれば」の語源
「ともすれば」は古文の『竹取物語』で使われていたことが語源になります。そのため、平安時代から使わている古語であり、大和言葉と言われています。大和言葉とは、漢語でも外来語でもない、日本で生まれ日本で育った言葉のことです。
「ともすれば」の類語
「ともすれば」の類語・類義語としては、断定はできないがその可能性があること意味する「かもしれない」、確実ではないが十分に有り得ることを意味する「もしかすると」、 事実がそうである見込みのことを意味する「可能性がある」などがあります。
「ややもすれば」の意味
「ややもすれば」とは
「ややもすれば」とは、放任しているとそのような状態になりやすいことを意味しています。
「ややもすれば」の使い方
「ややもすれば」を使った分かりやすい例としては、「初心はややもすれば無理をしがちである」「ややもすれば誤解されやすいこともあります」「人はややもすれば安易な生活に流れがちです」「ややもすれば無茶をしがちになる」「何事も慣れるとややもすれば油断しがちだ」などがあります。
「ややもすれば」は放任しているとそのような状態になりやすい場合に使う言葉になります。「ともすれば」と同様にマイナスな状態になる場合に使うのが一般的です。
上記の例文を参考に分かりやすく解説していくと、「何事も慣れるとややもすれば油断しがちだ」は、何事も慣れるとその場の状況や事情により油断する状態になりやすいことを意味しています。
その他にも、「人はややもすれば安易な生活に流れがちです」は、人はその場の状況や事情により安易な生活に流れやすいという意味になります。
これらのようにそのような状態になりやすい場合に使う言葉と覚えておきましょう。
「ややもすれば」の漢字表記
「ややもすれば」を漢字にすると「動もすれば」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。
「ややもすれば」の類語
「ややもすれば」の類語・類義語としては、確実ではないが十分に有り得ることを意味する「ひょっとすると」、ある事態が起こる可能性があることを意味する「或いは」などがあります。
「ともすれば」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、しばしそうなる傾向があることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、物事がそのような状態になりやすい時に使う言葉で、主にマイナスなイメージの場合に使用されることが多いです。
「ややもすれば」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、放任しているとそのような状態になりやすいことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、物事がそのような状態になりやすい時に使う言葉で、主にマイナスなイメージの場合に使用されることが多いです。
「ともすれば」と「ややもすれば」という言葉は、どちらも放任しているとそのような状態になりやすいことを表します。「ともすれば」より「ややすれば」の方がその状態になる度合いが強い場合に使うと覚えておきましょう。