似た意味を持つ「披瀝」(読み方:ひれき)と「披露」(読み方:ひろう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「披瀝」と「披露」という言葉は、どちらも明るみに出すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
披瀝と披露の違い
披瀝と披露の意味の違い
披瀝と披露の違いを分かりやすく言うと、披瀝とは打ち明けることを表し、披露とは広く知らせることを表すという違いです。
披瀝と披露の使い方の違い
一つ目の披瀝を使った分かりやすい例としては、「思い切って胸中を披瀝することにした」「あなたの考えを披瀝して頂きたい」「平和外交を推進する決意を披歴した」「旅立つ日に彼女への思いを披瀝するつもりだ」などがあります。
二つ目の披露を使った分かりやすい例としては、「次の会議で提案を披露するつもりだ」「子供たちに紙芝居を披露する」「生徒たちが防災のアイデアを披露しあった」「花嫁が結婚披露宴の演出に拘る」などがあります。
披瀝と披露の使い分け方
披瀝と披露という言葉は、字面が似ており、どちらも物事を明らかにすることを意味する言葉ですが、意味や使い方は異なるので注意が必要です。
披瀝とは、心の中を包み隠さずに打ち明けることを意味し、ずっと心にしまっていた思いや考えなどを明るみに出す時に使われます。一方、披露とは、広く人に知らせることを意味し、情報などを公表することや、芸妓を発表する時などに使われる言葉です。
また、披瀝は話し言葉ではあまり使われない文語的表現ですが、披露は話し言葉でも書き言葉でも使われています。これらが、披瀝と披露という言葉の明確な違いになります。
披瀝と披露の英語表記の違い
披瀝を英語にすると「speaking one’s mind」「making known」「revealing」となり、例えば上記の「思い切って胸中を披瀝する」を英語にすると「speaking one’s mind without hesitation」となります。
一方、披露を英語にすると「announcement」「demonstration」「presentation」となり、例えば上記の「提案を披露する」を英語にすると「present a proposal」となります。
披瀝の意味
披瀝とは
披瀝とは、心の中を包み隠さずに打ち明けることを意味しています。
表現方法は「披瀝する」「披歴した」「披歴している」
「披瀝する」「披歴した」「披歴している」などが、披瀝を使った一般的な言い回しです。
披瀝の使い方
披瀝を使った分かりやすい例としては、「創業者自らが経営のノウハウを披瀝する」「議選の支援に対する御礼と決意を披歴した」「ただ知識を披瀝しても良い印象は受けない」「祖母には秘密を披瀝している」などがあります。
その他にも、「インタビューでアイデアを披瀝してくれた」「手記の中で苦悶を披瀝している」「絵葉書に思いの丈の一端を披瀝する」「社長会見で会社再建の決意が披瀝された」「質疑応答では見解を包み隠さず披瀝します」などがあります。
披瀝という言葉の「瀝」とは、しずくが点々と垂れることや、汁をこしてしぼり出すことを表します。打ち明けることを表す「披」と結びつき、披瀝とは、心の中を包み隠さずに打ち明けること、腹を割って明らかにすることを意味します。
披瀝という言葉は、話し言葉には使われることが少ない文語的表現です。
披瀝の類語
披瀝の類語・類義語としては、秘密にしていたことや心の中で思っていたことを打ち明けることを意味する「告白」、心に思っていることを隠さずうちあけることを意味する「吐露」、隠していることや人の知らないことなどを打ち明けることを意味する「激白」などがあります。
披露の意味
披露とは
披露とは、手紙・文書などを開いて人に見せることを意味しています。
その他にも、広く人に知らせることや世間一般に発表すること、意見を申し上げることや報告することの意味も持っています。
表現方法は「披露する」「披露した」「披露していただく」
「披露する」「披露した」「披露していただく」などが、披露を使った一般的な言い回しです。
披露の使い方
「新郎が新婦にサプライズの手紙を披露する」「個人的なメールを第三者に披露した」「優秀賞の賞状を披露する」などの文中で使われている披露は、「文書などを開いて人に見せること」の意味で使われています。
一方、「舞台でダンスを披露する」「役員就任披露パーティーを行う」などの文中で使われている披露は「広く人に知らせること」の意味で、「私見を披露させて頂きます」「研究の途中経過を披露する」などの文中で使われている披露は「報告すること」の意味で使われています。
披露という言葉は、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、昨今では「広く人に知らせること、世間一般に発表すること」の意味で使われることが多くあります。披露の「披」とは、開くことや手の内をすっかり開いて見せるを表し、「露」とは剥き出しに表すことや現し見せることを表します。
「襲名披露」の意味
披露という言葉を用いた日本語には「襲名披露」があります。師匠や先代、または親の名前を継いだことを発表することであり、技術や芸とともに師の名前を受け継いだことを広く知らせる目的で行います。「披露目」という言葉を用いて「襲名の披露目をする」などと表現することもあります。
披露の対義語
披露の対義語・反対語としては、人目に触れないように隠しておくことを意味する「隠匿」、人の所在や事の真相などを故意に覆い隠すことを意味する「隠蔽」、秘密にして隠しておくことを意味する「秘匿」などがあります。
披露の類語
披露の類語・類義語としては、世間一般に知らせることや表向きに知らせることを意味する「発表」、広く世間に発表することを意味する「公表」、作品や品物などを並べて広く一般に見せることを意味する「展観」などがあります。
披瀝の例文
この言葉がよく使われる場面としては、腹蔵なく心中を披露することを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文5では、言いづらいことを思い切って打ち明ける意味で、披瀝という言葉が使われています。例文2では、溜め込んでいたノウハウを吐きだすこと表しており、例文3では決意という熱い思いを腹蔵なく披露することを表しています。
披露の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手紙や文書などを開いて人に見せること、広く人に知らせること、報告することを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある「披露宴」とは、めでたい事柄を発表するため多くの人を招いてする宴会を意味します。「結婚披露宴」とは結婚を披露するための宴会のことです。上記の例文にあるように、披露という言葉は、華々しい事柄や成果について明らかにする時に使われる傾向があります。
披瀝と披露という言葉は、どちらも明るみになることを意味します。どちらの言葉を使うか迷った場合、思いや考えを打ち明けること表現したい時は「披瀝」を、情報を公開したり物事を発表することを表現したい時は「披露」を使うようにしましょう。