【気概】と【意欲】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「気概」(読み方:きがい)と「意欲」(読み方:いよく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「気概」と「意欲」という言葉は、どちらもを積極的に物事に取り組む気持ち意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




気概と意欲の違い

気概と意欲の意味の違い

気概と意欲の違いを分かりやすく言うと、気概とは困難にくじけない意志を表し、意欲とは単に進んでやる意志を表すという違いです。

気概と意欲の使い方の違い

一つ目の気概を使った分かりやすい例としては、「就任式で指導者としての気概を示す」「あの政治家からは世の中を良くしたいという気概を感じる」「チームは優勝への気概に溢れている」「彼は気概のあるリーダーだ」などがあります。

二つ目の意欲を使った分かりやすい例としては、「仕事に対する意欲は誰にも負けません」「学習への意欲を引き出すのが上手い先生だ」「勤労意欲に欠ける若者が増えている」「お正月には購買意欲が高まるものだ」「町長選出馬の意欲を見せる」などがあります。

気概と意欲の使い分け方

気概と意欲という言葉は、どちらも積極的に物事に取り組もうとする強い気持ちを表しますが、二つの言葉には少し違いがあります。気概とは困難にくじけない強い意志を意味し、意欲とは進んで何かをしようと思うことを意味します。

つまり、気概には困難な状況にくじけないという意味合いが含まれていますが、意欲にはそのような意味合いはありません。気概と意欲を比べると、気概の方が強い気持ちや意志を表現していると言えるでしょう。

気概と意欲の英語表記の違い

気概を英語にすると「strong spirit」「mettle」「guts」となり、例えば上記の「気概を示す」を英語にすると「show one’s mettle」となります。

一方、意欲を英語にすると「will」「desire」「volition」となり、例えば上記の「仕事に対する意欲」を英語にすると「desire for work」となります。

気概の意味

気概とは

気概とは、困難にくじけない強い意志・気性を意味しています。

表現方法は「気概がある」「気概がない」「気概を感じる」

「気概がある」「気概がない」「気概を感じる」「気概を見せる」「気概を高める」などが、気概を使った一般的な言い回しです。

気概の使い方

気概を使った分かりやすい例としては、「課長から目標必達への気概を感じる」「会社と共に成長したい気概のある人を募集しています」「会議で自分の意見を引かない気概を見せる」「あのストライカーには得点王になる気概に溢れている」などがあります。

その他にも、「記者会見でワールドカップへの気概を示す」「次の時代を担う気概を持つべきだ」「少しは気概があるところを見せて欲しい」「なんとしてもやり遂げるという気概に欠けている 」「進取の気概に富む民族だ」などがあります。

気概という言葉の「気」とは心の働きを表します。「概」の原義は升の面を平らにならす升かき棒ですが、転じて、人の表面に現れた風格や気迫を表すようになりました。この二つの漢字が組み合わさり、気概とは、意気がはげしく勇ましいことや、困難にくじけない強い意志や気性を意味します。

気概という言葉は、実現しづらい状況でも諦めることなく遂行しようとする強い気持ちや、不屈の精神がある様子を表現したい時に用いられています。また、「私は気概があります」「私は気概に溢れています」など自分に対して使うことは少なく、相手や第三者に対して使われることが多い言葉です。

気概の対義語

気概の対義語・反対語としては、気力がなくて役に立たないことを意味する「意気地なし」、ちょっとしたことにも怖がったりしりごみしたりすることを意味する「臆病」、気が小さいことや度胸がないことを意味する「小胆」などがあります。

気概の類語

気概の類語・類義語としては、障害にも屈服しない強い意気を意味する「気骨」、何事にも屈しない強い意志を意味する「骨っ節」、事をやりとげようとする積極的な気持ちを意味する「意気」、権威や時代風潮などに逆らう気骨を意味する「反骨」、がんばる気力を意味する「ガッツ」などがあります。

意欲の意味

意欲とは

意欲とは、進んで何かをしようと思うこと、その心の働きを意味しています。

その他にも、哲学で、種々の動機の中から選択した目標に積極的に働く意志活動の意味も持っています。

表現方法は「意欲が高い」「意欲が低い」「意欲を持つ」

「意欲が高い」「意欲が低い」「意欲を持つ」「意欲がある」「意欲が湧く」「意欲的」などが、意欲を使った一般的な言い回しです。

意欲の使い方

「何事にも意欲的な人だ」「仕事に対する意欲がわく映画だった」「どうしても意欲がわかない時もあるよ」「珍しく勉強に意欲的に取り組む姿勢を見せた」などの文中で使われている意欲は、「進んで何かをしようと思う心の働き」「友人の作品に感化されて創作意欲が沸く」の意味で使われています。

一方、「目標管理によって成長意欲の向上につなげる」「面接では目標達成意欲をアピールした」「達成意欲が高すぎて空回りしてしまう」「目標達成意欲が低い部下を指導する」などの文中で使われている意欲は、「ある目標に積極的に働く意思活動」の意味で使われています。

意欲とは、自ら進んで何かをやろうとする意志の意味と、ある目標に積極的に働く意思活動の意味の複数の意味があります。後者の意味は哲学用語を由来としていますが、昨今は日常的にも使われており、意欲という言葉は日常生活からビジネスシーンまで幅広く用いられています。

「購買意欲」の意味

意欲という言葉を用いた日本語には「購買意欲」があり、消費者が何かを買おうとする気持ちを意味します。マスメディアによる宣伝や口コミを通じて高まることが多く、マーケティングに大きな影響を与えると言われています。

意欲の対義語

意欲の対義語・反対語としては、やる気のないことや何をする気力もないことを意味する「無気力」、自分から進んで行動したり意見を述べたりしないことを意味する「消極」、意気込みがすっかり衰えることを意味する「意気消沈」などがあります。

意欲の類語

意欲の類語・類義語としては、さあやろうと勢いこんだ気持ちを意味する「意気込み」、何かをしようと意気込んでいる気持ちを意味する「気勢」、物事をなそうとする意気込みを意味する「志気」、物事に対する意気込みを意味する「熱意」などがあります。

気概の例文

1.今回の企画のためにプロジェクトチームを発足させたことに、部長の気概を感じる。
2.就職活動では、自己PRだけでなく「会社に貢献する」という気概を見せる必要がある。
3.あの先生のオンライン授業には生徒を飽きさせない工夫がなく、生徒の学習レベルを上げたいという気概が感じられない。
4.強豪チームに勝つという気概がないのか、部員たちは諦めモードで練習に身が入っていないようだ。
5.すぐに諦めてしまう若者達の気概を高めるためにはどうしたら良いのか、頭を悩ませる指導者は多いだろう。
6.ライバルチームの勢いに実質的に抗うことが出来ない中、私たちのチームは絶対に負けないという気概を見せるしか対抗する術がなかったといえる。
7.将棋の試合は、私なりに自信があったし気概をもって臨んだのだが、相手は更に上を行く実力を有しており、結果は惨敗といってもいいものだった。
8.わたしは仕事上の失敗で異動した先というのは、会社内でもお荷物部署と言われるところで、ちゃんと仕事をやろうという気概のある人は誰もいなかった。
9.やる気のない部下に対して気概をもてと発破をかけることも場合によってはパワーハラスメントになってしまうのだから注意せねばなるまい。
10.今月は営業成績が振るわなかったせいもあり、会議では上司からもっと気概を示してみろといわれたが、わたしは落ち込むどころか俄然闘志が湧いてきたといった心境だった。
11.わたしは根っからの飽き性で、いくら気概をもって取り組もうとしても3日もすればすぐに面倒くさくなってしまうので、何事も長続きしたためしがないのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、困難にくじけない強い意志や気性を表現したい時などが挙げられます。

例文1では、プロジェクトを成功させたいという強い気持ちを気概という言葉で表現しています。例文4にある「気概がない」とは、意気地がなく頑張らない様子を表します。例文5の「気概を高める」とは、実現しづらい状況でも物事を遂行する強い意志や気性を育むことを意味します。

意欲の例文

1.彼女は目標に向かって意欲的に取り組む姿勢が認められて、最年少営業マネージャーとなった。
2.就労意欲を持つ子育て中の女性は多く、保育施設が十分に足りているという状況ではない。
3.成績が良くなくとも好奇心旺盛で学ぶ意欲がある子は将来有望だと、小学校教諭の友人が言っていた。
4.旅に出たり、恋愛をしたり、趣味に没頭したり、小説家によって創作意欲がわく方法は違うようだ。
5.活動意欲が高い人は、機敏性やフットワークの軽さが求めらる営業職の仕事に向いているようだ。
6.まわりの部下たちが一生懸命働いているのをみて、上司であるわたしも彼らに触発されていい仕事をするぞと意欲がどんどん湧いてくるのだった。
7.わたしは長年意欲をもって仕事に取り組んでいることが評価されて、社内で順調に昇進していたのだが、ある時そんな自分に疑問を持つようになった。
8.担任の先生から意欲を持てと成績表に書かれるくらいやる気のなかったわたしは、大人になって映画監督になっているのだから人生わからないものだ。
9.大学に行くこともなかったわたしは、何か一旗揚げようとする意欲もないまま日々の生活をダラダラと過ごしていたのだが、あの男との出会いでそれが一変したのだった。
10.新人社員は真面目で上司の言うこともしっかり聞き、意欲にあふれているのはわかるが、基本的な能力に欠けており、時折空回りしているのが痛々しくみえる。
11.わたしは、メンターから意欲がなければ何事も始まらないと言われたのをきっかけに、意欲を維持すための科学的トレーニングを自分に課すことにしたのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、進んで何かをしようと思う心の働き、ある一つの目標を選んで意志が積極的に働くことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「意欲的」とは、物事を積極的にやろうとする気持があふれている様子を表す言葉です。例文2の「就労意欲」とは、仕事を始めたり仕事に就きたいという気持ちのことであり、「勤労意欲」とも言い換えることができます。

気概と意欲という言葉は、どちらも積極的に物事に取り組もうとする強い気持ちを表しますが、意味は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、困難にくじけないという気持ちを表現をしたい時は「気概」を、単に進んで何かをやろうとする意志を表現したい時は「意欲」を使うようにしましょう。

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