似た意味を持つ「依拠」(読み方:いきょ)と「準拠」(読み方:じゅんきょ)と「根拠」(読み方:こんきょ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「依拠」と「準拠」と「根拠」という言葉は、何か参考にするもの、基づくものがあるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
依拠と準拠と根拠の違い
依拠と準拠と根拠の意味の違い
依拠と準拠と根拠の違いを分かりやすく言うと、依拠は対象に依存することを表現する時に使い、準拠は対象に合わせることを表現する時に使い、根拠は言動などの理由を表現する時に使うという違いです。
依拠と準拠と根拠の使い方の違い
依拠という言葉は、「発言の依拠を明確にしながら説明する」「相手側の発言や立場に依拠した考えを主張する」などの使い方で、対象となるものに基づくことを意味します。
準拠という言葉は、「教科書に準拠した問題集を購入する」「自社の他の製品に準拠した製品を開発する」などの使い方で、あるものを拠りどころとしてそれに従うことを意味します。
根拠という言葉は、「根拠が不十分だとされ棄却された」「論文や小論文には根拠が必要だ」などの使い方で、物事が存在するための理由となるものを意味します。
依拠と準拠と根拠の使い分け方
依拠と準拠はどちらも何かを拠りどころにすることを意味しますが、「教科書準拠」という言い方があるように、準拠という言葉は大きく内容が逸れない似たような話題や、元にしているものの進度にあった順番で構成されているものに使います。
「教科書準拠」を依拠という言葉を使って言い換えてしまうと、全く同じ話題、同じ課題となってしまうため、参考書ではなく同じような教科書が出来てしまうことになります。このことから関連する度合いが高い順番に並べると、依拠>準拠となります。
また、根拠という言葉は、「依拠する」「準拠する」のように「根拠する」という言い方をすることができません。関連の度合いで言えば依拠と同じであるため「発言の依拠」を「発言の根拠」とすることはできます。
これらが、依拠、準拠、根拠の明確な違いです。
依拠の意味
依拠とは
依拠とは、あるものに基づくことを意味しています。
依拠の読み方
依拠という言葉は「いきょ」と読みます。「いどころ」など他の読み方はしません。
表現方法は「依拠する」「依拠した」「依拠している」
「依拠する」「依拠した」「依拠している」などが、依拠を使った一般的な言い回しです。
「依拠性」の意味
依拠を使った言葉として、「依拠性」があります。これは、著作権を侵害しているとされる際に重要視される要件の一つです。
無意識にでも目にしてしまった既存の著作物に、対象が新しく生み出した著作物が似ていた場合、著作権法における複製にあたり、罪に問われます。
しかし、既存の著作物に接していないことが認められれば依拠性は否定され、複製ということにはならず、偶然似通った著作物として扱われます。
依拠の類語
依拠の類語・類義語としては、頼りにできる根拠を意味する「典拠」、議論の拠りどころを意味する「論拠」、自分の立場を決めてそれを拠りどころとすることを意味する「立脚」、物事をする時の基盤とするところを意味する「足場」などがあります。
準拠の意味
準拠とは
準拠とは、拠りどころとなった標準を意味しています。
表現方法は「準拠させる」「準拠する」「準拠した」
「準拠させる」「準拠する」「準拠した」などが、準拠を使った一般的な言い回しです。
準拠を使った言葉として、「準拠法」「準拠集団」があります。
「準拠法」の意味
一つ目の「準拠法」とは、国際取引などの契約において適用させる指定された法律を指す言葉で、その契約に合意されれば指定された国の法律が契約に適用されることとなります。
国によって法律が異なるため、日本国内で他国の法律を使って裁判を行うということも起きかねないため、基本的には準拠法と裁判を行う国は揃えられます。
「準拠集団」の意味
二つ目の「準拠集団」とは、個人が自分の行動や立場を評価する際に、その基準となるようなグループを指す言葉です。
例えば、あるゲームソフトを皆が持っているからほしいと感じた場合、皆と想定した人たちや特定の集団が「準拠集団」に当たります。
準拠の類語
準拠の類語・類義語としては、規則に則ることを意味する「準則」、物事の基準となる社会一般の標準を意味する「規格」、思考や行為において則るべき標準を意味する「規準」、前人のやり方などをそのまま受け継ぐことを意味する「踏襲」などがあります。
根拠の意味
根拠とは
根拠とは、物事が存在するための理由となるものを意味しています。
表現方法は「根拠を示す」「根拠のない」「根拠がない」
「根拠を示す」「根拠のない」「根拠がない」などが、根拠を使った一般的な言い回しです。
根拠を使った言葉として、「根拠地」「根拠法」があります。
「根拠地」の意味
一つ目の「根拠地」とは、軍隊や登山隊などが前線の活動を支えるために、修理、休養、補給などを行う場所を指す言葉です。
また、中国革命においては、敵を消滅させるための任務を達成するために、自分たちの勢力の保存や発展を行う基地として使われています。ここに農村を発展させることで、自分たちの食糧を確保することができ、長期的な戦争計画が実行されました。
「根拠法」の意味
二つ目の「根拠法」とは、ある法令や手続き、機関を策定および設置をする際、その根拠になる法律を指す言葉です。地方自治体によっては行政運営の計画や指針と共に、根拠法を記載しているところもあります。
根拠の類語
根拠の類語・類義語としては、事柄の生じた理由や原因を意味する「事由」、ある物事を成り立たせる大もとの部分を意味する「基礎」、物事が成り立っている基礎になるものを意味する「根本」、はっきりした証拠を意味する「明証」などがあります。
依拠の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あるものに基づくことを意味する時などが挙げられます。
例文におけるどの依拠も、準拠や根拠といった言葉に置き換えて使うことはできません。
準拠の例文
この言葉がよく使われる場面としては、拠りどころとしてそれに従うことを意味する時などが挙げられます。
例文3の準拠のように、関連度が高いものに関しては準拠という言葉を依拠に置き換えて使うことができますが、例文1の学習塾に関しては依拠を使ってしまうと、学校の授業のみを踏襲して作られた授業になってしまうため適当とは言えません。
根拠の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言動や存在の理由を意味する時などが挙げられます。
例文3の「科学的根拠」はエビデンスとも呼ばれていて、人間を対象に行った研究の結果を指します。
依拠と準拠と根拠どれを使うか迷った場合は、対象に依存することを表す場合は「依拠」を、対象に合わせることを表す場合は「準拠」を、言動などの理由を表す場合は「根拠」を使うと覚えておけば間違いありません。