【抑制力】と【抑止力】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た日本語の「抑制力」(読み方:よくせいりょく)と「抑止力」(読み方:よくしりょく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「抑制力」と「抑止力」という言葉は、間違えやすい日本語なのでご注意下さい。




「抑制力」と「抑止力」の違い

「抑制力」と「抑止力」の違いを分かりやすく言うと、「抑制力」とは「抑止力」の間違った使い方、「抑止力」とは活動をやめさせる力のことです。

一般的には「抑制力」という言葉は存在しません。漢字の成り立ちや読み方が似ていることから、「抑止力」のことを間違えて「抑制力」を使っている人がほとんどです。

正しい言葉である「抑止力」を使った分かりやすい例としては、「防犯カメラは犯罪の抑止力になっている」「武装した警備員を配置したがテロの抑止力にはなりませんでした」「その痛みは二度と間違えないように抑止力になっている」などがあります。

「抑止力」という言葉はあっても、「抑制力」という言葉は存在しません。同時に「抑止力」という単語の意味について「活動をやめさせる力のこと」と覚えておきましょう。

「抑止力」を英語にすると「deterrence」「deterrent」となり、例えば上記の「その痛みは二度と間違えないように抑止力になっている」を英語にすると「The pain of it should be deterrent enough to never make the same mistake twice」となります。

「抑制力」の意味

「抑制力」とは、「抑止力」の間違った使われ方です。

「抑制力」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。漢字が似ているため、「抑止力」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。

「抑制力」と「抑止力」を間違ってしまう理由としては、漢字表記と意味が似ているというのが原因です。また、「抑制」という言葉はあっても、「抑制力」という言葉はないと覚えておきましょう。

「抑制」とは、抑えとどめることや、意識的な努力によって衝動やそれに伴う感情や思考を抑えつけることを意味する言葉です。

もし、「抑制」を使いたいのであれば、「抑制力」ではなく、「抑制する」「抑制を行なう」などの言い回しを使った方がいいでしょう。

間違った言葉である「抑制力」の「抑制」を使った別の言葉としては、「インフレを抑制する対策を講じました」「彼女は怒りを抑制することができませんでした」「大気汚染を抑制するためには各国の協力が必要です」などがあります。

「抑止力」の意味

「抑止力」とは、活動をやめさせる力のことを意味しています。

「抑止力になる」「抑止力を高める」などが、「抑止力」を使った一般的な言い回しになります。

「抑止力」を使った分かりやすい例としては、「担任の先生が厳しいといじめなどの抑止力になると思っています」「警察官の巡回は犯罪への抑止力となっている」「そんなことをしたってそれほど抑止力になるとは思えません」などがあります。

「抑止力」は活動をやめさせる力のことや思いとどまらせる力ことを意味する名詞です。名詞とは自立語で活用がなく、文の主語となることができるものことを意味しています。

「抑止力」は犯罪、戦争、いじめ、大気汚染など、基本的にマイナスな出来事に対して使うというのが特徴です。したがって、プラスの出来事ではあまり使用しないと覚えておきましょう。

例えば、街に防犯カメラを多数設置したり、警察官のパトロール人数を増やすとその街の犯罪を減らすことができます。

また、核兵器を持つことで、対立する二国間関係において互いに核兵器の使用が躊躇される状況を作り出し、結果として重大な核戦争と核戦争につながる全面戦争が回避されます。

これらのようなマイナスな出来事をやめさせる力のことを「抑止力」と言うのです。

「抑止力」の類語・類義語としては、威光や威力で相手を抑えつけることを意味する「威圧」、 抑制し圧迫することを意味する「抑圧」、支配者が権力を行使して反対勢力の活動を抑圧することを意味する「弾圧」などがあります。

「抑制力」の例文

1.「抑制力」という言葉は存在しないので、おそらく「抑止力」の言い間違いだろう。
2.「抑止力」という言葉は活動をやめさせる力のことで、「抑制力」という言葉はない。
3.「抑制力」という言葉は、今のところ間違いだとされているが、多くの人が使うようになれば馴染んでくるのかもしれない。
4.刑罰の強化は犯罪への抑制力となっているという言葉を使う人はいるが、正しくは刑罰の強化は犯罪への抑止力となっているです。
5.核兵器が抑止力となって東西の均衡が保たれているという言葉はあるが、核兵器が抑制力となって東西の均衡が保たれているという言葉はない。

この言葉がよく使われる場面としては、「抑止力」という言葉を間違えて「抑制力」と表現している時などが挙げられます。

「抑制力」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「抑止力」を間違えて使っている可能性が高いです。

「抑制力」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「抑制力」ではなく、「抑止力」と表現するのが正しい使い方になります。

「抑止力」の例文

1.核兵器は決して使用してはいけないものだが、戦争の抑止力になっている。
2.この国は非常に治安が悪いので、犯罪への抑止力として拳銃の所持が認められています。
3.いじめを厳罰化することによって、大きな抑止力になるのではないかと思っています。
4.ポイ捨て禁止の看板は、たばこのポイ捨ての抑止力になっていると思います。
5.毎日体重を計ることで自分の体重を把握することになり、肥満の抑止力になっている。

この言葉がよく使われる場面としては、活動をやめさせる力のことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「抑止力」はマイナスな活動をやめさせたい場合に使うことが多い言葉です。

「抑制力」と「抑止力」どちらを使うか迷った場合は、「抑制力」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「抑止力」を使うようにしましょう。

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