【食い下がる】と【食い下がらない】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た言葉である「食い下がる」(読み方:くいさがる)と「食い下がらない」(読み方:くいさがらない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「食い下がる」と「食い下がらない」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「食い下がる」と「食い下がらない」の違い

「食い下がる」と「食い下がらない」の意味の違い

「食い下がる」と「食い下がらない」の違いを分かりやすく言うと、「食い下がる」とは強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うこと、「食い下がらない」とは相手に対して食いついていかないことという違いです。

「食い下がる」と「食い下がらない」の使い方の違い

一つ目の「食い下がる」を使った分かりやすい例としては、「日本代表はアメリカ相手に最後まで食い下がる」「相手の主張に負けないと食い下がる」「配置転換に納得できず人事に食い下がる」「記者たちは鋭い質問で首相に食い下がる」などがあります。

二つ目の「食い下がらない」を使った分かりやすい例としては、「強そうな相手には食い下がらないのが上手な立ち回りだと思う」「納得できない内容だったが議論するのが面倒なので食い下がらない」「彼は食い下がらないですぐ諦めるので有名です」などがあります。

「食い下がる」と「食い下がらない」の使い分け方

「食い下がる」と「食い下がらない」は似た言葉ですが、意味は真逆の言葉なので間違えないように注意しましょう。

「食い下がる」は強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを意味しているのに対して、「食い下がらない」は相手に対して食いついていかないことを意味しているというのが違いです。

「食い下がる」は「下がる」という言葉を使用しているため、諦めるや身を引くの意味と勘違いしやすく、「下がらない」を使用した「食い下がらない」を使いたくなりますが、それは誤用なので間違えないように注意しましょう。

また、「食い下がらない」は実際には存在しない表現という説もあります。

「食い下がる」と「食い下がらない」の英語表記の違い

「食い下がる」を英語にすると「kept after」となり、例えば上記の「記者たちは鋭い質問で首相に食い下がる」を英語にすると「The reporters kept after the prime minister with shrewd questions」となります。

「食い下がる」の意味

「食い下がる」とは

「食い下がる」とは、強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを意味しています。

「食い下がる」の使い方

「食い下がる」を使った分かりやすい例としては、「納得するまで質問して食い下がる」「日本代表はフランス相手に最後まで食い下がる」「謝罪会見の場で記者としてかなり食い下がる質問をしました」「土俵の中で相手のまわしに食い下がる」などがあります。

「食い下がる」は強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを意味する言葉です。そのため、勝負事などのスポーツシーンでよく使われています。

「食い下がる」は「強豪相手にも食い下がる戦いをしている」のように、諦めないというプラスのイメージだけではなく、「この記者は納得するまで質問して食い下がる」のように、しつこいというマイナスのイメージでも使うことが可能です。

「食い下がる」の由来

「食い下がる」の由来は動物の食いついてぶら下がる行為になります。「食い下がる」は元々肉食の動物が獲物を捕らえて決して離さないという意味で使われていました。

これが転じて、どこまでも食いついて離れないという人間の行動に置き換えられて使うようになったのが、今の「食い下がる」になります。

そのため、「食い下がる」は「下がる」という言葉を使用しているので諦めるや身を引くの意味と勘違いしやすことですが、実際は諦めないことを意味する言葉なので、間違いないように注意しましょう。

「食い下がる」は相撲用語としても使える

また、「食い下がる」は相撲用語としても使われており、相手の胸に頭をつけて前褌を引き腰を低くして組む技の名前としての意味も持っています。

「食い下がる」の類語

「食い下がる」の類語・類義語としては、他に劣らないことを意味する「後れを取らない」、しっかり取り付くことを意味する「食らいつく」、食いつくように激しい言葉と態度で向かっていくことを意味する「食って掛かる」などがあります。

「食い下がらない」の意味

「食い下がらない」とは

「食い下がらない」とは、相手に対して食いついていかないことを意味しています。

「食い下がらない」の使い方

「食い下がらない」を使った分かりやすい例としては、「納得できない内容だったが上司相手には食い下がらない」「彼は食い下がらない取材しかしないので記者失格です」「食い下がらない試合をして観客は大ブーイングでした」などがあります。

「食い下がらない」は相手に対して食いついていかないことを意味する言葉です。また、諦めるというニュアンスで使うため、基本的にマイナスのイメージを伴っています。

「食い下がらない」の由来

「食い下がらない」は「食い下がる」の誤用から生まれた言葉です。

「食い下がる」は強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを意味する言葉ですが、「下がる」という言葉を使用しているので、諦めるや身を引くの意味と勘違いして使用している人が大勢いました。

そのため、諦めないで立ち向かうことは「食い下がる」の否定形である「食い下がらない」であると誤解している人が大勢いたのです。

また、上記の理由により、「食い下がらない」は「食い下がる」の誤用から生まれた言葉なので、実際には存在しない日本語であるとも言われています。

「食い下がらない」の類語

「食い下がらない」の類語・類義語としては、他人に先を越されることを意味うる「後れを取る」、しがみつかないことを意味する「食らいつかない」などがあります。

「食い下がる」の例文

1.強者に対して粘り強く食い下がることができる人が、プロの世界で活躍する人たちだろう。
2.この判定に納得することができず、審判に食い下がったおかげで退場処分になりました。
3.日本代表は世界ランク1位のブラジルに食い下がる試合をしたので、観客が皆拍手を送りました。
4.人事異動にどうしても納得することができず、人事部に食い下がる。
5.ジャーナリストとして事件の真相を知りたかったので、当事者に必死に食い下がる。

この言葉がよく使われる場面としては、強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「食い下がる」はプラスとマイナスのイメージどちらでも使うことができます。

「食い下がらない」の例文

1.勝てない戦いはしない主義なので、無理だと思ったらすぐ食い下がらない性格です。
2.痛い思いはしたくないので、体格が大きい人相手にする際は食い下がらない。
3.点差が開いたら食い下がらない選手たちをみて、観客は大ブーイングでした。
4.私はすぐ食い下がらない性格だったので、高校の部活でレギュラーを取ることができませんでした。
5.何事も食い下がらない人は、男としてどうかと思う部分が少しあります。

この言葉がよく使われる場面としては、相手に対して食いついていかないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「食い下がらない」はマイナスのイメージで使われている言葉です。

「食い下がる」と「食い下がらない」は似た言葉ですが意味は異なります。

どちらの言葉を使うか迷った場合、強い相手に粘り強く立ち向かいどこまでも争うことを表現したい時は「食い下がる」を、相手に対して食いついていかないことを表現したい時は「食い下がらない」を使うと覚えておきましょう。

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