似た意味を持つ「名伯楽」(読み方:めいはくらく)と「伯楽」(読み方:はくらく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「名伯楽」と「伯楽」という言葉は、どちらも「能力を引き出し育てるのが上手な人物」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
名伯楽と伯楽の違い
名伯楽と伯楽の意味の違い
名伯楽と伯楽の違いを分かりやすく言うと、伯楽よりも名伯楽の方が、一般的に使用されているという違いです。
名伯楽と伯楽の使い方の違い
一つ目の名伯楽を使った分かりやすい例としては、「名伯楽として競馬会に影響を与えている」「名伯楽が若手の成長を促してきた」「名プレイヤー必ずしも名伯楽ならず」「サッカーの名伯楽と呼ばれている」などがあります。
二つ目の伯楽を使った分かりやすい例としては、「千里の馬はあれど一人の伯楽は無し」「良馬がいないのでなく伯楽がいないのだ」「伯楽に素養を見出された」「伯楽と呼ばれた指導者が引退する」などがあります。
名伯楽と伯楽の使い分け方
名伯楽と伯楽という言葉は、どちらも人の能力を見抜く力のある人や、その能力を引き出し育てるのが上手な人を意味しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
伯楽とは、古代中国に存在した馬の目利きに長けた人物の通称です。天馬を司る星の名である「伯楽」から、このように呼ばれるようになりました。そこから、馬の良否を見分ける者や、馬や牛の病気を治す者の意味も持ちます。
さらに、この意味が転じて、人物を見ぬく眼力のある人、また、その能力を引き出し育てるのが上手な人の意味でも使用されるようになりました。この伯楽という言葉に、優れていることを表す「名」を合わせ、意味を強調した「名伯楽」の形で使われることがほとんどです。
名伯楽と伯楽の英語表記の違い
名伯楽も伯楽も英語にすると「a good judge of horses」「excellent cattle appraiser」となり、例えば上記の「名伯楽として」を英語にすると「as a good judge of horses」となります。
名伯楽の意味
名伯楽とは
名伯楽とは、すぐれた資質を持った人を見抜く力のある人物を意味しています。
名伯楽の読み方
名伯楽の読み方は「めいはくらく」です。誤って「めいはくがく」「なはくらく」などと読まないようにしましょう。
名伯楽の使い方
名伯楽を使った分かりやすい例としては、「野球界を支えてきた名伯楽の存在は大きい」「競馬界に名をとどろかせた名伯楽が引退する」「名伯楽の藤沢氏が競馬の醍醐味を語る」「名伯楽がフィギュアスケート論を語る」などがあります。
その他にも、「名伯楽と呼べる英語教師との出会いに感謝します」「ボクシング界の名伯楽の訃報が届く」「名伯楽は全国高校サッカー選手権でチームを優勝に導いた」「人事部長として名伯楽のことわざを胸に刻む」などがあります。
名伯楽の意味は、人の才能を見抜いて、その才能を成長させる力がある人物です。野球やサッカー、ボクシングなどのスポーツ界において、優秀な指導者を表現することが多い言葉です。「野球界の名伯楽」「名伯楽として名高い」のような使い方をします。
名伯楽の由来
名伯楽の語源は、中国春秋時代にいた馬を見分ける名人であった「孫陽」の通称に由来します。孫陽は馬の育成に功労があっため、天馬を守る神という星にちなんだ「伯楽将軍」の名を与えられました。転じて、名伯楽とは、スポーツなどで後進の育成に卓越した指導者を指し示す言葉になりした。
名伯楽の類語
名伯楽の類語・類義語としては、立派に育て上げる人を意味する「育成者」、教育にたずさわる人や教育家を意味する「教育者」、学問などの手引きや助言を行う人を意味する「指導者」、物事の本質を見抜く力のある人や鋭い洞察力のある人を意味する「慧眼の士」などがあります。
伯楽の意味
伯楽とは
伯楽とは、中国周代の馬を見分ける名人を意味しています。
その他にも、「馬の素質の良否をよく見分ける人、牛馬の病気を治す人」「人物を見抜き、その能力を引き出し育てるのが上手な人」の意味も持っています。
伯楽の読み方
伯楽の読み方は、「はくらく」のほかに「ばくろう」とも読みます。「ばくろう」は「はくらく」の音が変化したものですが、「牛馬の売買や仲介を業とする人」も表し、読み方によって少し意味が違っています。
伯楽の使い方
「伯楽は百里を走る馬を見分ける」「その昔、伯楽は貴重な存在でした」「千里の馬はあれども伯楽無し」「伯楽は秦の穆公に仕えました」などの文中で使われている伯楽は、「中国周代の馬を見分ける名人」の意味で使われています。
一方、「伯楽は村々の馬牛の回診にあたっていた」の文中で使われている伯楽は「牛馬の病気を治す人」の意味で、「球界の名伯楽と称えられている」「社長の伯楽一顧で現在の地位を得た」の文中で使われている伯楽は「人の能力を引き出して育てるのが上手な人」の意味で使われています。
伯楽とは、もともと中国春秋時代にいた馬を見分ける名人の通称です。姓は孫、名は陽で、秦の穆公に仕えたと言われています。のちに、よく馬の良否を見分ける者、馬や牛の病気をなおす者を意味し、転じて、人物を見ぬく眼力のある人を表す言葉になりました。
ことわざ「伯楽ひとたび冀北の野を過ぎて馬群遂に空し」の意味
伯楽を用いたことわざには、「伯楽ひとたび冀北の野を過ぎて馬群遂に空し」があります。伯楽がひとたび良馬の産地である冀州の北部を通ると、良馬は1頭も残らなくなることを意味します。韓愈の言葉であり、賢明ですぐれた君主がいると、民間の賢人はみな朝廷に登用されることをたとえています。
四字熟語「伯楽一顧」の意味
伯楽を用いた四字熟語には「伯楽一顧」があります。伯楽一顧とは、鑑識眼のある実力者から才能を認められて重用されること、その才能を発揮することを意味します。古代中国の策略を集めた「戦国策」に出て来るエピソードから生まれた故事成語です。
伯楽の類語
伯楽の類語・類義語としては、物事の本質を見抜く能力をもっている者を意味する「具眼の士」、家畜の病気を診断し治療する医師を意味する「獣医」、学問があり見識が高い人を意味する「有識者」、動物を目的に応じて訓練する職業を意味する「調教師」などがあります。
名伯楽の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人の才能を見抜いて、その才能を伸ばすように育てるのが上手い人物を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、名伯楽の慣用的な言い回しには「○○界の名伯楽」「名伯楽と呼ばれる」などがあります。
伯楽の例文
この言葉がよく使われる場面としては、中国春秋時代にいた馬を見分ける名人、よく馬の良否を見分ける者、馬や牛の病気を治す者、人物を見抜く眼力のある人を表現したい時などが挙げられます。
例文4の「千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらず」とは、世の中に有能な人はたくさんいるが、その才能を見いだせる人物は少ないことを意味します。似た意味のことわざには、「千里の馬も伯楽に逢わず」があります。
名伯楽と伯楽という言葉は、どちらも「能力を引き出し育てるのが上手な人物」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に用いられている「名伯楽」を使用すれば相手に通じやすいでしょう。