【推す】と【押す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「おす」という読み方の「推す」と「押す」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「推す」と「押す」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「推す」と「押す」の違い

「推す」と「押す」の意味の違い

「推す」と「押す」の違いを分かりやすく言うと、「推す」とは人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めること、「押す」とは動かそうとして上や横から力を加えることという違いです。

「推す」と「押す」の使い方の違い

一つ目の「推す」を使った分かりやすい例としては、「彼を生徒会会長に推す」「みんなから聞いたことを推すと彼が犯人に違いない」「その点を推すと物事の本質が明らかになる」「私達は彼女を議長に推した」などがあります。

二つ目の「押す」を使った分かりやすい例としては、「家に到着したのでインターホンを押す」「この方針で押すことにしました」「停電のため開演時間が15分押す」「ボタンを押すと電気がつく仕組みだ」などがあります。

「推す」と「押す」の使い分け方

「推す」と「押す」は何かに力を加えるという同語源の言葉なのですが、意味が異なるので間違って使わないように注意しましょう。

「推す」は人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めること、あることを根拠として他のことを判断すること、さらに突き詰めて考えることの意味で使います。

一方、「押す」は動かそうとして上や横から力を加えること、状態や事柄をある基点から先へ進めようとすること、強行すること、確かめること、テレビや演劇などで予定した時間よりも遅れることの意味で使います。

「推す」と「押す」の英語表記の違い

「推す」を英語にすると「recommend」「nominate」「suppose」となり、例えば上記の「私達は彼女を議長に推した」を英語にすると「We recommended her for the post of chairman」となります。

一方、「押す」を英語にすると「push」「press」「stamp」となり、例えば上記の「ボタンを押す」を英語にすると「I push the button」となります。

「推す」の意味

「推す」とは

「推す」とは、人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めることを意味しています。その他にも、あることを根拠として他のことを判断することやさらに突き詰めて考えることの意味も持っています。

表現方法は「この説を推す」「アイドルを推す」「リーダーに推す」

「この説を推す」「アイドルを推す」「リーダーに推す」などが、「推す」を使った一般的な言い回しになります。

「推す」の使い方

「この本を優良図書に推す」「推しが出ている映画は絶対映画館で観ることにしている」などの文中で使われている「推す」は、「人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めること」の意味で使われています。

一方、「関係者から得た情報を推すと彼が選ばれるのは間違いない」「この点を推していくと彼の本当の狙いが分かってくる」などの文中で使われている「推す」は、「あることを根拠として他のことを判断することやさらに突き詰めて考えること」の意味で使われています。

「推す」は複数の意味を持っていますが、どの意味でも使われている言葉です。

オタク用語「推す」の意味

最近ではオタク用語としてもよく使われており、特定のアイドルやゲームのキャラクターを他人に薦めたいほど好きであることを表現する場合に「推し」や「推しメン」などと使います。

「推す」の類語

「推す」の類語・類義語としては、類似の事実を当てはめて見当をつけることを意味する「推し量る」、良いものとして人に勧めることを意味する「推薦」、ある人をある地位や仕事などに適した人として推薦すること意味する「推挙」などがあります。

「押す」の意味

「押す」とは

「押す」とは、動かそうとして上や横から力を加えることを意味しています。その他にも、状態や事柄をある基点から先へ進めようとすること、強行すること、確かめること、テレビや演劇などで予定した時間よりも遅れることの意味も持っています。

表現方法は「時間が押す」「念を押す」「ボタンを押す」

「時間が押す」「念を押す」「ボタンを押す」などが、「押す」を使った一般的な言い回しになります。

「押す」の使い方

「ベビーカーを押すの意外と大変です」「大事な会議などで病を押して参加する」などの文中で使われている「押す」は、「動かそうとして上や横から力を加えることや強行すること」の意味で使われています。

一方、「今押せばこの要求は通せるだろう」「念を押すことにした」「時間が押しているので挨拶を省略する」などの文中で使われている「押す」は、「状態や事柄をある基点から先へ進めようとすること、確かめること、テレビや演劇などで予定した時間よりも遅れること」の意味で使われています。

「押す」は物理的に何かを動かすだけではなく、心理的に何かを動かす場合など、様々な場面で使うことが可能な言葉です。

「押す」を使った有名な言葉としては、注意して確かめることを意味する「念を押す」、実力があって堂々としていることを意味する「押しも押されぬ」などがあります。

「押す」の対義語

「押す」の対義語・反対語としては、手前に引き寄せることを意味する「引く」があります。

「押す」の類語

「押す」の類語・類義語としては、力を入れて押すことを意味する「押し付ける」、相手の体を指先などでちょっと突くことを意味する「小突く」、強く押し付けることを意味する「圧迫」などがあります。

「推す」の例文

1.推しているアイドルの握手会に参加するために、応募券が付いてるCDを大量に買う予定です。
2.彼はとても真面目な人なので、人事部長に昇進を推すことにしました。
3.推している女優さんが出演しているドラマを観るために、今日は定時で帰るようにしよう。
4.彼女の口ぶりから推すと、今回の海外遠征は失敗に終わったみたいです。
5.この点を推していくと、今までは分からなかった物事の本質が明らかになってくる。
6.次の部長にはK子がいいんじゃないかと現部長が推しているが、実は彼女は女子の間ではあまり評判が良くないんだよね。
7.あるアイドルグループを箱推ししている姉は、銀行口座にお金が貯まったためしがない。
8.この新人アイドルを推す理由は、彼女の歌声がとても独特で個性的であり、聞いた人の心に残るからです。
9.私はあの研究者をノーベル賞候補に推すべきだと思います。彼の発見は、科学界に革命的な変化をもたらすからです。
10.彼はアイドル好きで、推しているアイドルが出演しているバラエティ番組はすべて録画しているほどだ。

この言葉がよく使われる場面としては、 人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、あることを根拠として他のことを判断することやさらに突き詰めて考えることを表現したい時にも使います。

例文1から例文3は人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めることの意味で使っており、例文4はあることを根拠として他のことを判断することの意味で使っています。また、例文5はさらに突き詰めて考えることの意味で使っています。

「押す」の例文

1.ここは人通りの多い場所なので、自転車を押して移動するようにお願いします。
2.彼の企画がとても良いので、このままの内容で押していくことにしました。
3.彼は家族の反対を押し切って結婚したが、とても幸せそうに暮らしています。
4.本当にこの内容で契約していいのか駄目を押したが、間違いないようです。
5.予定よりも大幅に時間が押しているので、司会の人に各コーナーを短くするようにお願いしました。
6.彼女は強いリーダーシップを持っているが、時折自分の意見を押し通すことがあり、周りとの軋轢を引き起こしている。
7.彼らは新しいマーケティング戦略を押し出し、競合他社との差別化を図ることに成功しました。
8.彼は自分のアイデアを押し売りすることが多いが、それが彼の成功の秘訣でもあります。
9.友達から押してダメなら引いてみなとアドバイスされて、実際にやってみたら、本当に彼の方から誘ってくれました。
10.我々は契約に間違いがないか、取引先に何度も念押ししたので、問題ないと認識しています。

この言葉がよく使われる場面としては、動かそうとして上や横から力を加えることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、状態や事柄をある基点から先へ進めようとすること、強行すること、確かめること、テレビや演劇などで予定した時間よりも遅れることを表現したい時にも使います。

例文1は動かそうとして上や横から力を加えること、例文2は状態や事柄をある基点から先へ進めようとすること、例文3は強行すること、例文4は確かめること、例文5はテレビや演劇などで予定した時間よりも遅れることの意味で使っています。

「推す」と「押す」という言葉は、どちらも「おす」と読みますが意味が異なっています。

どちらの言葉を使うか迷った場合は、人や事物をある地位や身分に相応しいものとして他に薦めることを表現したい時は「推す」を、動かそうとして上や横から力を加えることを表現したい時は「押す」を使うと覚えておきましょう。

言葉の使い方の例文
編集者
株式会社セラーバンク/例文買取センター運営
例文買取センター